<遥かなる時の流れ一瞬を生きる生命としてここに>より
エピソード1 伝説
*
暗い宇宙空間に浮かぶ、人工の光を発する巨大な要塞のメインコンピューターから、主要文明のある星、すべての情報を瞬時に見た。
『この銀河のはるか未来に希望は、、、、しかしどうあるかだ。やはりあそこか』
<彼>は一つの星へ降り立つ事にした。
・
この星では機械文明の上に、人工の美しい緑豊かな森林と山々の大自然が広がっていた。
外部との接触に過敏なのだろう。侵入する物を感知する衛星が8機星の周りに浮かんでいた。
・
中央政府防衛管理センター内のスーパーコンピューターが、おかしな情報を数分前から報告していた。
[今、G区森林地帯671に、不明なエネルギーが現れ一気に増え、すぐに消えました。先ほどの第7衛星が感知した、1光年先に出現したエネルギーと同じような反応のようです]
防衛管理センター内はパニックになりかけていた。
「馬鹿な!攻撃を受けたと言うのか?!何なのだ、早く数値を割り出せ」
「森林地帯を攻撃ですか?」
「あれが何か説明できるのか!!」
「いいえ、失礼しました!」
[数値測量 測定不能、あり得ません]
「どう、ありえないのだ?!市民を護るための防衛システムに、簡単に侵入できるような物が存在するというのか?緊急警備体制発令だ!」
[緊急警戒体制了解!]
[D区居住地域上空に不明のエネルギーをキャッチしましたがこれは弱い物です。値の幅が極端すぎます。これは攻撃とは考えられません]
「計測不能のエネルギーが街中にか?!敵のかく乱にしてもこんな事はありえない。う〜む」
すると突然目の前の壁一面の巨大パネル展開されたマップ上が次々と光り消えた。
「長官!今の点滅は多くの場合病院の上空で起こっていました。これは、、、」
「何が起こったか、中央総合病院に何が起こったか連絡を取って報告しろ!ここを頼む。大統領に会ってくる」
「はっ!」
長官は慌てて大統領に会いに飛んだ。
「失礼いたします」
「タキ長官か、ご苦労。外部から不明の侵入があったようだな」
「スーパーコンピューターが計測不能と、、、緊急措置を命じました」
「計測不能とはな。長官はどう思う」
「わかりません。敵のかく乱にしてもあり得ない形だと思います。しかし」
「待て!これを見てみろ」
大統領は、コンピューターが次々と弾き出すデーターを壁面のパネルに拡大して見せた。
側近が2人いたが、皆言葉を失って見ていた。
「これは、、、、」
「まさか」
「誰かこれを説明できるものはいるか?」大統領は立ち上がって皆を見た。
側近の一人のタダイが言った。
「伝説、、、まさか」
すると大統領がタダイに言った。
「我々の誇りある最も大切な法律として絶対平和がある。そしてこの絶対平和という思想が根底にあるのは、その“伝説”から来ている事は、すべての人々が知ることだ。しかし今我々は苦渋の決断を迫られ、すでにその期限も過ぎている。ここまでを否定するものはいないな」
「はい!しかし」
「それはあまりに」長官は否定するかのように首を僅かに動かした。
それを見た大統領は
「そうだ。この緊急事態をどう捉えて行動するかは、慎重であらねばならない。もし本当に伝説の通りだとすると、壊滅的な危機が迫っている事となる。いくつか説があるが、どう行動するかを決めたい」
「しかし伝説によるものかどうかも分からないまま、どのような行動を取るべきか」長官は言った。
「ん、タダイが詳しい。意見を聞こう」
タダイはこの大陸南端の、山岳地帯に位置する地方都市出身だったが、
中央政府立総合大学で、《誇り高き伝説》について研究し主席卒業した後、実際に各地に残る伝説を聞くため誰よりも多くの人に会い、その言葉の現実離れした内容に揶揄することもなく、謙虚に聞く姿勢は若き彼を自然に有名にしていった。
「はい。ではこのエネルギーがどうであるか以前に、3つの説を簡単に申し上げます。
1、光舞い降り、人々を導く。2、声を聞き、未来を導き出す。3、呼びかけ、共に未来のためにとの言うような言葉が残されています。
それは特別な存在、もしくは救世主とも言うべき指導者が現れると思われてきました。その存在を表現した言葉は光舞い降りですが、我々に出来る事は声を聞く、呼びかけるということになります」
「スーパーコンピューターが計測不能だという存在は、当然指導者でも救世主ではない!伝説など悠長な!」タキ長官が言った。
「タキ長官!口を慎みたまえ」
長官は「失礼しました。しかし緊急事態であります」と言うと下を向いた。
「タダイ、“大いなる力”と表現されているものもあったな」
「”大いなる力”は、“銀河を凌駕する大いなる力“という途方もないものです」
「今回のエネルギーは、その力に近いと判断できないか?」
「近いといえるかどうか、、しかし我々の知る限りどの惑星文明にも、このようなエネルギーを発生させるものはありません」
これには皆が頷いた。
「ではこの星の大統領として呼びかけよう。皆は次なる行動を考えてもらいたい。あの忌々しい宇宙要塞で、この星に突如現れたエネルギーを感知していたら、その危険性は増すばかりだ。皆の力をかして欲しい。タダイは私に伝説に関して助言をしてくれ」
「私の知る限りのお手伝いをさせていただきたいと思います」
「では外へいくぞ」
「それは危険です!」タキ長官が止めた。
「危険?測定不能のエネルギー、何処にいても同じだろう。長官は対策本部へ戻り、皆を少し安心させてやりなさい」
「、、、そうでした」
大統領はそのままバルコニーの扉へ向かった。
タダイがさっと走り、バルコニーへの大きな扉を開き大統領と共に外へ出た。
タキ長官は警護を呼んで大統領執務室の扉に付かせ、緊急対策本部のへ戻っていった。
大統領は、快晴ともいえる空を眺めた。
「良い天気だな。空気までもが何故か心地良いと思わないか?、、、危険が迫っているとはな。さて何といって呼びかければ良いかな」
「未来永劫の一説こそと思います」
「そうだな。『未来永劫平和を望む。大いなる希望と力、我らの強き願いは共にあらん。
私はこの星の大統領ルキテル、この地上に現れたエネルギーに意思があるなら応えて欲しい。我々は今危機を迎えているが平和を強く望む。その力をかして貰いたい。応えてくれ』、、、、」
・
<彼>はガッシュにそのままを伝えていた。
『そっちはどうだ?』
『面白い人物を見つけて、今交渉中です。そちらの銀河は私の記憶にありませんが、伝説の元は貴方ではないのですか?』
『そうか?誰だこんな伝説にしたのは』
・
コンピューターが一瞬ダウンしたがすぐに復旧し、緊急事態を知らせる表示が消えていた。
<彼>は、大統領執務室にフッと現れると、バルコニーへ出る大きな扉に寄り掛かり、空を見上げている大統領ルキテルと、側近のタダイを見た。
そこへ長官が一瞬のコンピューターに起こった異変に慌てて、警備となだれ込んできた。
「き、貴様誰だ!大統領!!」
叫ぶタキ長官の声に、大統領とタダイは驚いて振り向いた。
扉に寄り掛かるようにして立つ人は、身長4mほどのまさに見上げる巨人だった。
「厳重警備の中、何処から入ってきた!」タキが銃を手に何とか大統領に近寄ろうと考えていた。
その巨人は振り向くこともなく、大統領ルキテルに話しかけた。
『ルキテル、ここでは平和を望むが銃を突きつけるのか?』
自分の名前を突然言われ大統領は慌ててタキを怒鳴りつけた。
「銃などすぐに破棄しろ!私の呼びかけに応えてきてくださったのだ!」
「はぁ?!し、しかし」
「タキ命令だ!」
タキは銃を放り投げたが、まだ不審さを隠さないで言った。
「この方は、我々の監視衛星も発見できない船でやってきた異星人のようですが、あのエネルギーと、どういう関係があるというのです?」
大統領のルキテルは、美しく深い紺色の瞳を持った不思議な雰囲気の人物を間近で見上げて、わけもなく心が高揚した。
彼は説明を省いて伝えた。
『分かったかな。過去にまいた種は子孫に伝わっていたが、その内容が少し変化したようだね。
事態は簡単ではない。君たちの未来は自分たちの手で勝ち取るものだ。他の星やあの要塞にも、同じ思いの者がいることを掴んでいる。その情報は今この端末に入れた。まず双方の大量破壊兵器を無効にした。次の手を打ってくる前に、隣の銀河に平和交渉団を送る決定をすると良い。向こうには私の、、いや、君たちが望む存在に近いと思われる者が行って、同じように平和交渉をしている所だ。ルキテル、急いで手をうちなさい。
ところでタキ、任務に忠実のようだな。しかしコミュニケーションが下手では、宇宙(そと)では通用しないぞ』
タキが大統領の側に行こうとして彼の近くまでくると、まだ緊張が取れないタキを見下ろし微笑んだ。
「本当に失礼しました。しかし緊急時にコミュニケーション、、、」
『そう、だからこそ、コミュニケーション能力の高さが道を分けるのだ。これから向こうとの交渉には特に大切だ』
「そう言われると、確かにそうです」
大統領はタキ長官に頷くと室内に戻り、関係箇所に彼の入れた情報を、重要機密パスワードを解除して送りつけた。
『タダイ』
「はい」
タダイは、始めてみる人物に名前を呼ばれて返事をしたが、何故か不信感はなかった。
『君の母方の先祖はイリギア渓谷の住人かな?』
「!母の種族はイリギアの民です。何故ご存知で!?」
『くくっ、そうか。懐かしい光景を思い出した。タダイ少し君を見せてもらうよ』
彼がそう言うとタダイは光の中に包まれて見えなくなったが、光はスーッと消え、タダイがグラッと倒れそうになるのを、何かの力が支えた。
『すぐに治る。タダイ、アントンを知っているな。近い関係で生まれたね。アントンに触れると情報は開かれる。会えるか?』
アントンはタダイの2歳年上の従兄弟にあたる。
大統領は心配そうに声をかけた。
「タダイ大丈夫か?長官一緒に行ってやってくれ」
『いいや、今ここに呼び出そう』
彼がそう言うと、タダイの前にアントンがフッと現れた。
「アントン!」
「タダイ?なっ!大統領これは?!」アントンは周りを見回して驚きを隠せないでいた。
「アントン説明は後だ。良く来てくれた」
タダイはそういって両手で握手をした。
タダイとアントン双方に情報が流れ込む、二人は眩暈がした。
『返事がきだしたようだね』彼が言うと、
大統領は慌てて室内に戻ると、机の上のパネルを見て驚いた。
「いっせいに返事が来た、、、一気に情勢が変わった!」
『さぁ、これからは君たちだ。アントン眩暈は治ったか?ルキテル、タダイと共に平和勢力拡大にその力を発揮し未来を掴むのだ。良いね。隣の銀河でも同じように事が進んでいる。信じられるかな?』
「もちろんです!今この時を逃して平和はありません」
彼が優しく微笑んで頷くと、その場からフッと消えた。
数秒、誰もが彼の何故か心を打つ美しさを感じる微笑みに、見蕩れたまま消えた後をみていた。
スーパーコンピューターが異常な数値を次々と出し始めた。
「!今更読み出して何になる。もう良い!」ルキテルの声でコンピューターは静かになった。
アントンは何か思い出そうとしていた。
タダイは彼の微笑みに見蕩れて、その消えた場所をまだ見ている。
その姿を見てアントンは気がついた。
「タダイ!渓谷に伝わる、ほら微笑みが包み何だかの一説の、何かそんな気がした」
「!人々を魅了する微笑が包み、その瞳は深い青にして宇宙のように銀河を内包す!!!」
「そうだそれだ!絶対に伝説の人だ、、、目の前に本当に」タダイの頬に涙が伝っていた。
エピソード1 伝説
*
暗い宇宙空間に浮かぶ、人工の光を発する巨大な要塞のメインコンピューターから、主要文明のある星、すべての情報を瞬時に見た。
『この銀河のはるか未来に希望は、、、、しかしどうあるかだ。やはりあそこか』
<彼>は一つの星へ降り立つ事にした。
・
この星では機械文明の上に、人工の美しい緑豊かな森林と山々の大自然が広がっていた。
外部との接触に過敏なのだろう。侵入する物を感知する衛星が8機星の周りに浮かんでいた。
・
中央政府防衛管理センター内のスーパーコンピューターが、おかしな情報を数分前から報告していた。
[今、G区森林地帯671に、不明なエネルギーが現れ一気に増え、すぐに消えました。先ほどの第7衛星が感知した、1光年先に出現したエネルギーと同じような反応のようです]
防衛管理センター内はパニックになりかけていた。
「馬鹿な!攻撃を受けたと言うのか?!何なのだ、早く数値を割り出せ」
「森林地帯を攻撃ですか?」
「あれが何か説明できるのか!!」
「いいえ、失礼しました!」
[数値測量 測定不能、あり得ません]
「どう、ありえないのだ?!市民を護るための防衛システムに、簡単に侵入できるような物が存在するというのか?緊急警備体制発令だ!」
[緊急警戒体制了解!]
[D区居住地域上空に不明のエネルギーをキャッチしましたがこれは弱い物です。値の幅が極端すぎます。これは攻撃とは考えられません]
「計測不能のエネルギーが街中にか?!敵のかく乱にしてもこんな事はありえない。う〜む」
すると突然目の前の壁一面の巨大パネル展開されたマップ上が次々と光り消えた。
「長官!今の点滅は多くの場合病院の上空で起こっていました。これは、、、」
「何が起こったか、中央総合病院に何が起こったか連絡を取って報告しろ!ここを頼む。大統領に会ってくる」
「はっ!」
長官は慌てて大統領に会いに飛んだ。
「失礼いたします」
「タキ長官か、ご苦労。外部から不明の侵入があったようだな」
「スーパーコンピューターが計測不能と、、、緊急措置を命じました」
「計測不能とはな。長官はどう思う」
「わかりません。敵のかく乱にしてもあり得ない形だと思います。しかし」
「待て!これを見てみろ」
大統領は、コンピューターが次々と弾き出すデーターを壁面のパネルに拡大して見せた。
側近が2人いたが、皆言葉を失って見ていた。
「これは、、、、」
「まさか」
「誰かこれを説明できるものはいるか?」大統領は立ち上がって皆を見た。
側近の一人のタダイが言った。
「伝説、、、まさか」
すると大統領がタダイに言った。
「我々の誇りある最も大切な法律として絶対平和がある。そしてこの絶対平和という思想が根底にあるのは、その“伝説”から来ている事は、すべての人々が知ることだ。しかし今我々は苦渋の決断を迫られ、すでにその期限も過ぎている。ここまでを否定するものはいないな」
「はい!しかし」
「それはあまりに」長官は否定するかのように首を僅かに動かした。
それを見た大統領は
「そうだ。この緊急事態をどう捉えて行動するかは、慎重であらねばならない。もし本当に伝説の通りだとすると、壊滅的な危機が迫っている事となる。いくつか説があるが、どう行動するかを決めたい」
「しかし伝説によるものかどうかも分からないまま、どのような行動を取るべきか」長官は言った。
「ん、タダイが詳しい。意見を聞こう」
タダイはこの大陸南端の、山岳地帯に位置する地方都市出身だったが、
中央政府立総合大学で、《誇り高き伝説》について研究し主席卒業した後、実際に各地に残る伝説を聞くため誰よりも多くの人に会い、その言葉の現実離れした内容に揶揄することもなく、謙虚に聞く姿勢は若き彼を自然に有名にしていった。
「はい。ではこのエネルギーがどうであるか以前に、3つの説を簡単に申し上げます。
1、光舞い降り、人々を導く。2、声を聞き、未来を導き出す。3、呼びかけ、共に未来のためにとの言うような言葉が残されています。
それは特別な存在、もしくは救世主とも言うべき指導者が現れると思われてきました。その存在を表現した言葉は光舞い降りですが、我々に出来る事は声を聞く、呼びかけるということになります」
「スーパーコンピューターが計測不能だという存在は、当然指導者でも救世主ではない!伝説など悠長な!」タキ長官が言った。
「タキ長官!口を慎みたまえ」
長官は「失礼しました。しかし緊急事態であります」と言うと下を向いた。
「タダイ、“大いなる力”と表現されているものもあったな」
「”大いなる力”は、“銀河を凌駕する大いなる力“という途方もないものです」
「今回のエネルギーは、その力に近いと判断できないか?」
「近いといえるかどうか、、しかし我々の知る限りどの惑星文明にも、このようなエネルギーを発生させるものはありません」
これには皆が頷いた。
「ではこの星の大統領として呼びかけよう。皆は次なる行動を考えてもらいたい。あの忌々しい宇宙要塞で、この星に突如現れたエネルギーを感知していたら、その危険性は増すばかりだ。皆の力をかして欲しい。タダイは私に伝説に関して助言をしてくれ」
「私の知る限りのお手伝いをさせていただきたいと思います」
「では外へいくぞ」
「それは危険です!」タキ長官が止めた。
「危険?測定不能のエネルギー、何処にいても同じだろう。長官は対策本部へ戻り、皆を少し安心させてやりなさい」
「、、、そうでした」
大統領はそのままバルコニーの扉へ向かった。
タダイがさっと走り、バルコニーへの大きな扉を開き大統領と共に外へ出た。
タキ長官は警護を呼んで大統領執務室の扉に付かせ、緊急対策本部のへ戻っていった。
大統領は、快晴ともいえる空を眺めた。
「良い天気だな。空気までもが何故か心地良いと思わないか?、、、危険が迫っているとはな。さて何といって呼びかければ良いかな」
「未来永劫の一説こそと思います」
「そうだな。『未来永劫平和を望む。大いなる希望と力、我らの強き願いは共にあらん。
私はこの星の大統領ルキテル、この地上に現れたエネルギーに意思があるなら応えて欲しい。我々は今危機を迎えているが平和を強く望む。その力をかして貰いたい。応えてくれ』、、、、」
・
<彼>はガッシュにそのままを伝えていた。
『そっちはどうだ?』
『面白い人物を見つけて、今交渉中です。そちらの銀河は私の記憶にありませんが、伝説の元は貴方ではないのですか?』
『そうか?誰だこんな伝説にしたのは』
・
コンピューターが一瞬ダウンしたがすぐに復旧し、緊急事態を知らせる表示が消えていた。
<彼>は、大統領執務室にフッと現れると、バルコニーへ出る大きな扉に寄り掛かり、空を見上げている大統領ルキテルと、側近のタダイを見た。
そこへ長官が一瞬のコンピューターに起こった異変に慌てて、警備となだれ込んできた。
「き、貴様誰だ!大統領!!」
叫ぶタキ長官の声に、大統領とタダイは驚いて振り向いた。
扉に寄り掛かるようにして立つ人は、身長4mほどのまさに見上げる巨人だった。
「厳重警備の中、何処から入ってきた!」タキが銃を手に何とか大統領に近寄ろうと考えていた。
その巨人は振り向くこともなく、大統領ルキテルに話しかけた。
『ルキテル、ここでは平和を望むが銃を突きつけるのか?』
自分の名前を突然言われ大統領は慌ててタキを怒鳴りつけた。
「銃などすぐに破棄しろ!私の呼びかけに応えてきてくださったのだ!」
「はぁ?!し、しかし」
「タキ命令だ!」
タキは銃を放り投げたが、まだ不審さを隠さないで言った。
「この方は、我々の監視衛星も発見できない船でやってきた異星人のようですが、あのエネルギーと、どういう関係があるというのです?」
大統領のルキテルは、美しく深い紺色の瞳を持った不思議な雰囲気の人物を間近で見上げて、わけもなく心が高揚した。
彼は説明を省いて伝えた。
『分かったかな。過去にまいた種は子孫に伝わっていたが、その内容が少し変化したようだね。
事態は簡単ではない。君たちの未来は自分たちの手で勝ち取るものだ。他の星やあの要塞にも、同じ思いの者がいることを掴んでいる。その情報は今この端末に入れた。まず双方の大量破壊兵器を無効にした。次の手を打ってくる前に、隣の銀河に平和交渉団を送る決定をすると良い。向こうには私の、、いや、君たちが望む存在に近いと思われる者が行って、同じように平和交渉をしている所だ。ルキテル、急いで手をうちなさい。
ところでタキ、任務に忠実のようだな。しかしコミュニケーションが下手では、宇宙(そと)では通用しないぞ』
タキが大統領の側に行こうとして彼の近くまでくると、まだ緊張が取れないタキを見下ろし微笑んだ。
「本当に失礼しました。しかし緊急時にコミュニケーション、、、」
『そう、だからこそ、コミュニケーション能力の高さが道を分けるのだ。これから向こうとの交渉には特に大切だ』
「そう言われると、確かにそうです」
大統領はタキ長官に頷くと室内に戻り、関係箇所に彼の入れた情報を、重要機密パスワードを解除して送りつけた。
『タダイ』
「はい」
タダイは、始めてみる人物に名前を呼ばれて返事をしたが、何故か不信感はなかった。
『君の母方の先祖はイリギア渓谷の住人かな?』
「!母の種族はイリギアの民です。何故ご存知で!?」
『くくっ、そうか。懐かしい光景を思い出した。タダイ少し君を見せてもらうよ』
彼がそう言うとタダイは光の中に包まれて見えなくなったが、光はスーッと消え、タダイがグラッと倒れそうになるのを、何かの力が支えた。
『すぐに治る。タダイ、アントンを知っているな。近い関係で生まれたね。アントンに触れると情報は開かれる。会えるか?』
アントンはタダイの2歳年上の従兄弟にあたる。
大統領は心配そうに声をかけた。
「タダイ大丈夫か?長官一緒に行ってやってくれ」
『いいや、今ここに呼び出そう』
彼がそう言うと、タダイの前にアントンがフッと現れた。
「アントン!」
「タダイ?なっ!大統領これは?!」アントンは周りを見回して驚きを隠せないでいた。
「アントン説明は後だ。良く来てくれた」
タダイはそういって両手で握手をした。
タダイとアントン双方に情報が流れ込む、二人は眩暈がした。
『返事がきだしたようだね』彼が言うと、
大統領は慌てて室内に戻ると、机の上のパネルを見て驚いた。
「いっせいに返事が来た、、、一気に情勢が変わった!」
『さぁ、これからは君たちだ。アントン眩暈は治ったか?ルキテル、タダイと共に平和勢力拡大にその力を発揮し未来を掴むのだ。良いね。隣の銀河でも同じように事が進んでいる。信じられるかな?』
「もちろんです!今この時を逃して平和はありません」
彼が優しく微笑んで頷くと、その場からフッと消えた。
数秒、誰もが彼の何故か心を打つ美しさを感じる微笑みに、見蕩れたまま消えた後をみていた。
スーパーコンピューターが異常な数値を次々と出し始めた。
「!今更読み出して何になる。もう良い!」ルキテルの声でコンピューターは静かになった。
アントンは何か思い出そうとしていた。
タダイは彼の微笑みに見蕩れて、その消えた場所をまだ見ている。
その姿を見てアントンは気がついた。
「タダイ!渓谷に伝わる、ほら微笑みが包み何だかの一説の、何かそんな気がした」
「!人々を魅了する微笑が包み、その瞳は深い青にして宇宙のように銀河を内包す!!!」
「そうだそれだ!絶対に伝説の人だ、、、目の前に本当に」タダイの頬に涙が伝っていた。




