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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 69
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 69


今日は朝から、リゲルは落ち着かない。星の後輩たちに会う事になっていた。
ランにもガッシュにも一緒に来てくれと頼んでいた。

彼の星の過去にも悲惨な歴史がある。
巨大パワーと狂気による殺戮、危うく惑星が崩壊するほどのものであった。
この世界で一番大きな肉体とその力を持つその星の人々は、子供の頃からその能力が高くなる可能性が見られると、隔離されて教育を受ける。もちろん優秀な子供達として扱われるが、なぜそのような教育システムになったかは、誰もが知ることであった。
そこを目立たないようにしながらも優秀な成績で卒業し、シティへ来て以来リゲルは一度も星へ帰ってはいない。しかし今では彼の事はあまりに有名であり、彼の星でもリゲルに続いて、この世界の未来の為に役立つなら、我々も大いに宇宙へ飛び出ていくべきだと言う声が多くなってきていたが、あくまでもそれは、誰かがそうすべきだと言う話で終ってしまう程度の物だった。
ズバ抜けた才能は、反面恐れられる物であったからだ。なるべくなら、皆と同じである事が自分や家族ほかを守る事にもなる。
元々心優しい人々で、周辺の星々やシティでは”絶対平和主義の巨人の星”として有名だが、この星の遥か昔に起った歴史は、未だに黒い影を落としていた。

シティでリゲルの後輩達は、毎日が驚きの連続であった。
なぜならリゲルへの信頼は厚く、どこの星から来ている大人も子供も、リゲルが大好きと皆が言う。
リゲルの話を嬉しそうに話してくれる。自分達まで今では人気者扱いだ。
彼らはリトル・ログ星の友人達に嬉しくて報告を入れるが、反応は様々であった。
そしてやっと今日そのリゲルに会える。彼らも緊張していた。

「リゲル、後輩たちも緊張していますから、貴方がそんなに固くなっていては困ります」
ランはニヤニヤしながら、新しいメンバー達のためのメンバーズルームの前に立った。
静かに扉が開いたが、中までしーんと静まり返り緊張感が漂っている。

6人の新メンバーが一斉にリゲルを見た。
『な〜んだ?リゲル。ここに来る前に、皆とコンタクトぐらい取っておけと言ったのに、お前が緊張してどうする!しょうがないなぁ』
ガッシュがわざと、みんなの前でリゲルに言ったと同時に皆の心から
『やっぱり、大きい、、、』
『、、本当に綺麗な瞳だ』とこぼれ出て来た。

「ガッシュ、何もここで兄貴風吹かせるな。はじめてじゃ緊張ぐらいする」
『はぁ?リゲルが緊張するのを見るのは、たぶん初めてだぞ』
ガッシュは声を殺して笑っている。

それを見て、皆の緊張がほぐれてきた。

「あぁ、わかった。では、はじめましてシティヘようこそ。皆さんにお会いできて嬉しく思います」

「ここでそれぞれ簡単な自己紹介をリゲルにしてください」とランが言った。
6人は彼と同じ教育システムの先輩後輩であったが、同期はいなかった。
リゲルはそこでも一番大きかったので目立ちたくなくても、先輩後輩達は彼を知っていた。
そこには、彼の星の宇宙港に初めて一緒に行った時の懐かしい顔があった。
「!久しぶりだ。結局こっちに住み着いてしまった。なんだアルデがいるなら、緊張するんじゃなかった。元気だった?」
リゲルに声をかけられたアルデは懐かしそうに応えた。

「もちろん元気だったよ。プレイ・パーク、めちゃめちゃ面白かったな!リゲルはまだ成長期なのか?
前よりさらに身体もパワーも見違えるほど大きくなったな」

「あぁ成長真っ盛りだ。勘弁して欲しいと思うよ。アルデも成長期まだやっているようだな。もしかして俺の次ぐらいにでかいの?大体この部屋が狭いよな俺達だと。シティがせっかく新しくなったのに、相変らずどこでも狭い思いをしているよ。はははっ!緊張がふっとんだ」

「なんだか皆緊張しているから、俺も緊張していた方が新人らしいかなと思ってさ。はははっ」

すっかりその場は、リゲルとアルデの2人で盛り上がって、皆はリゲルに会えた事を喜んでいた。
リゲルはメンバー全員と握手しはじめた。
それぞれにリゲルに触れて驚いている。
「はじめましてベテル。皆の反対の中よく来てくれたね」
ベテルは立ち上がって、リゲルと握手をした。
アルデより少し大きい。それでもリゲルの肩より低いのだ。

「ベテルでかいなぁ、俺しゃがみこまなくて良いぞ。いや〜嬉しい!」と言いながら、ベテルの肩に手を回した。
「リゲルの次で嬉しいです。やっぱりきて良かった。きっとリゲルは、こんな人ではないかと勝手に思ってましたが、それ以上でした。なんて気持ちがいいパワーを持っているんだろう。何を恐れる事があるのかと星の皆に教えてあげたいです」
「それはありがとう。星の事は少しずつだな、皆の力を貸してください」

ガッシュは首を少し動かすと
『本当にでかいな、リゲルの星の人たちは、シティの平均の倍以上ある。近づくと首が痛くなるよ。リゲルあまり皆とつるんで歩くなよ。壁の大移動だ、がははっ!』ガッシュは豪快に笑った。

「ならガッシュと俺とランが一緒にここへ入って来た時は?」とリゲルがガッシュに聞いた。
『ん?最強軍団の壁か?お前一人で十分だ。はははっ』

リゲルは笑いながら言った。
「俺が見た目のインパクト一番だったんだが、ガッシュは超絶美男子だろ」
『あ〜ん?俺がリゲルよりインパクトあるわけがないだろうが、俺の光よりリゲルのその美しい緑の瞳の方がよほど素晴らしいよ。こうやって見ると君達が集まるとエメラルドの宝石箱状態だな。女性陣がうるさいだろう』

「ハイ、休憩時間になると皆が集まってきて、ジッと見つめるので困ります。でもまるで自分の物のように誇らしげに”リゲルの瞳は宇宙一よ”と必ず言われるので複雑でしたが、本当に美しいのですね。ジッと皆が見つめるようになる訳だ」

ベテルが「故郷の人たちにリゲルを会わせたい、、、。素晴らしい私達の誇れる人なのだから」と静かに言った。

リゲルの星の現状が垣間見られる。
ランは複雑な思いでこれを聞いていた。
かけ離れたパワーの彼の悩みの一部が見た思いがした。

ここでランは皆に話し掛けた。
「さて皆さんは、ここの生活に少しは慣れてきたでしょうか?問題点があれば何でも聞かせてください」
「なんでもいいですか?」

ランが頷いていた。

「皆さんとコンタクトが取りたいのです。お忙しいと思いますが、それにできれば、、、」
「分かりました、その件は今すぐにはお応えが出来ません。それぞれ関係の星や緊急事態に飛び回っています。リゲルも皆さんに会うのが今日初めてなので分かっていると思いますが。今ならプライベートな事以外、まとめてなんでも質問は受けますよ。一人ずつでは時間がかかりますから、まとめて情報を貰いたいがいいでしょうか?それぞれ質問を心に出してもらえれば、私達が受け取り答える形です。それに私達が知って置いた方がいいと思う事があれば、それも受けます。皆さんのプライベートをあえて覗く事はありませんが、できれば皆さんの能力ぐらいは、知りたいのですが良いですね」
ほぉ〜と溜息のような声が出た。

ランは皆とコントクトを取りながら、情報を得ていたが時々リゲルを呆れたように見ていた。
当のリゲルは彼の話をしているのだろう。
指先を見せたと思ったら、窓の外を指差して大笑いしていた。
緑の美しい瞳の人たちは、それぞれ美しい目を輝かせて情報を交換していた。

ランがベテルの事を、リゲルに伝えてきた。
『彼凄いね。アルデもだ』
『ん、たまに彼らとコンタクトを取る事にしたよ。彼らは望むが、あまり影響したくはない。ベテルはノルドに診て貰う事がある』
リゲルから笑顔が消えていた。
『そろそろ俺は失礼するよ。ランいいかな』 『ハイ』

「そろそろ、次の予定がありますので、残念ですがまた。質問には、ほぼ答えることが出来たと思います」とランが挨拶をしてリゲルにもふった。

「今日はありがとう。一緒にこの世界の未来の為に、仕事ができることを大変誇りに思います。
メインコンピューターとコンタクトを取り、できる限り学習吸収してもらいたい。さらに重要なことは、いろいろな人たちから学んで下さい。大いに自身を磨いて成長してください。では」
二人は部屋を出て行った。

自分達のメンバーズルームへ移動し、リゲルは彼にコンタクトをとった。
遺伝子までも影響できる物だろうかと質問してきた。
彼はリゲルの言いたい事はよく分かるが、それは残念な事にどこにでもある。
その全ての可能性にまで影響する事は出来ない。
たとえ他の者達にとって危険性の高い種で、パワーがどれほど高い人たちだったとしても、
それはその人たちの問題であり、歴史の中で人の知性が勝ち取るものだろう。
私も現時点で、生命を脅かす行為、自らの楽しみや欲の為に悪を働く者たちには、遠慮はしないで、遺伝子の中までその可能性を見て行く事はするがその先はまた別だ。

『リゲルの中には、過去の忌まわしい物に繋がるものは最初から微塵もない。もって生まれた優しさと、生命に対する愛情の深さが君の最高の特長だ。初めてそれに気がついた時、宇宙の計らいに、どれほど感謝したか。もしその遺伝子を、全ての生命が持つ事ができたのならと本当に思う』
『、、、ありがとうございます』

ノルドは新米ドクターたちと研究会の最中であった。
『時間がかかる?ちょっと診てもらいたい奴がいる』リゲルが伝えた。
『珍しいな。こっちへこないか』
それを聞くなり、いきなり彼らの部屋に巨人リゲルと、シティの若き指導者ランが現われて、一瞬皆固まっていた。
「また、いきなり出て来るな。ドアと言うものがあるだろう。ランまで」
「失礼しました」ランが謝ると、リゲルもそれにあわせてペコリと頭を下げた。
「何?そうだリゲルは、ほとんどのメンバーが初めてだろう」

「あぁ、突然失礼しました。シティヘようこそ。皆さんは最高の環境で、学ぶことができる事を誇りに思ってください。ドクター・ノルドは皆さんがよく知っているように、銀河NO.1の医者です。彼から学ぶことは大変多い。しかし、いざとなると医者を超えた存在として、怖いから覚えておくといいかもしれないな。ノルド、俺ってこういう時に何を言えばいい?ランは実績と肩書きだらけだから良いが。俺、馬鹿でかいリゲルです!じゃな」

「はははっ!何を言っているんだよ。見てのとおり皆さんの想像の外にいる人です。リゲルも素晴らしい医者なのだよ。しかし一番てこずらせる患者でもあるな。ちょっと静かにしてごらん。さっきと違う何か感じるか?」ノルドが皆に問い掛けた。

「、、、なんだがとても気持ちいい感じに包まれているようです」
「本当だ、、、気持ちがいいと言うのがピッタリする」
「もしかしてこれが、リゲルのパワーでのフォローなのですか?」

「いや別に、俺から溢れている分だ。ここの所テンション高いから、少し圧迫してる?」
「圧迫なんかするか!だがそのうち気絶する者がでるよ。皆も分かるように彼らがフォローを始めると、我々の仕事がなくなる。必死で分野に関わらず勉強してもらわないとならない」
ノルドは初めてのメンバーに、リゲルたちを知ってもらう為にあえて少し脅したのだ。

「すごいものですね」皆口々に、感想を言い合っていた。

『ノルド、俺の星から来たベテルの事だ』
『あぁ、一度話したのだが待ってくれと断わられた。ではセンターのNO.0へ明日、朝来るように言ってくれ』
「ではお邪魔しました。またって、医者に言うのはあまりなぁ。シティの別な所で会いたいね」
笑いがおこった。


ベテルはリゲルの呼び出しに驚いていた。
いややはり、分かっていたのだと思ったが
『できれば、もう少し待って頂きたいのです』と伝えてきた。
リゲルは
『悪いが今はベストではないが、奇跡的に全員いる俺達の都合もあるのだよ』とベテルに伝えた。

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2008.03.31 * 遥か時の61〜70 * CM:0 * TB:0 * top↑
  
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