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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 60
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>60


『ランは、どのくらい寝ているのかな?』リゲルが呟いた。
『声をかけてみればいい』

「ラン、ラン!」リゲルが、座り込んで顔をランに近づけて、声をかけた。
「、、リゲル!!ビックリした」
「そうか良かった!脅かそうと思ったんだ」
「あぁ!?」ランは、自分の変化に気がついてさらに驚いていた。

「はははっ、ランどうだ?」
「どうって、あの、、、」ランは、どう説明していいか分からないでいた。
「だからどうなんだよ!新しい情報は、うまく組み込まれたのか?」
「あぁ、とってもいい感じです」
「はぁ〜?情報の整理にもう少しかかると言う事か?」
リゲルはそう言いながらも嬉しそうに笑っている。
「さすがにリゲルだ。くくっ」
「もうちょっと待ってやるな」
「え?」
「しっかり起きろよ。遊んでやると言っただろうが」
「はい!もう大丈夫です。」
「ばぁ〜か、焦るな。体はひと回り大きくなったが、まだだよ」

「リゲルは腹が減ったのではないか?適当にオーダーするよ」
「俺は果物、野菜系が多い方が嬉しいけど、なんでもいい!遊んで欲しかったら、ランも少しは入れろ」
ダイニングルームでは用意がはじまり、暫くして[ご用意ができました]と知らせがあった。

「このテーブルいっぱいの食べ物3人分じゃないだろうがぁ!」リゲルは呆れたように言った。

めずらしい食事風景だった。相変らず食欲旺盛のリゲル。
ランは、まだ食欲が完全復活ではないにしても楽しく食事をしていた。
「よく食うじゃないか、よかったな。少しは身体にまわせよ」
「ガッシュと、まるで同じ事を言っている。はははっ」

食事も終って、リビングに戻った所で、リゲルはニヤニヤしながらランに言った。
「さて、少しリラックスしてもいいかな。ラン?」
「くくくっ、リゲル適当にな」彼がリゲルを見上げてやれやれと言うように僅かに首を動かして笑った。

リガルが、ガードを外した途端、大きく空間がゆがんだ。

「リゲル壊すなよ。ラン大丈夫か?ふふっ」
「、、、、、」
「おおっラン良いぞ!でも二人で上げたら、貴方に負担になるか?」
「いいや、大丈夫だよ、しかしランの言葉が出てこないじゃないか、もう少し下げろ」
「ラン強すぎたか?、ここでしかできない事をやっているんだよ」
「、、、フゥーッ、何でもいきなり過ぎます。少しリラックスと言ったじゃないですか」
「だから、少しだよ」
「少しって、いったいリゲルは、どうなっているんですか?」
「だから惑星ユールンの時は俺が苦労したんだよ。ランは側にくっ付いているし、俺が支えているにもかかわらず、いきなり跳ねるし。まぁ、あの時のランのパワーで、数千人のほとんどが一瞬に回復したんだがな。
星を黙らせるには、側に生命体がいない状態で使うハイパワーが必要なんだぜ。周辺のあらゆる生命を支えながらやる身にもなってみろ。ラン緊張で切れる寸前だったから分からなかっただろうけど、かなり危なかったんだぜ」

「!すみませんでした。リゲルの事をあまりに知らず、すみませんでした、、、」
「それはお互い様だな。それよりあの時のパワー、ちゃんとコントロールできないと使えないぜぇ。俺がグラッと来たのは初めてだからな」

リゲルの顔を見ていた彼が一瞬表情を変えた。
「グラッと来たって、引き込んだと言うのか?それもリゲルを?呆れた奴だな」
リゲルは頷きながら言った。
「貴方の<ON>より数段酷い!俺としては二度とごめんだな」

彼は驚いた顔をして、ランを見た。
「<ON>よりか?あれは生命に対して使うものではないのだよ。それよりも数段酷いとリゲルに言わせるとは、かなりのもんだな。くくくっ」彼は呆れたように笑った。
「リゲル、、すみませんでした」
「ははっ!謝ってばかりだ。今度からやる時は言え、引き込まれそうな人ごとガードをする」
リゲルは長い手をランの頭に手をやってブルーの髪の毛をクシャクシャとしながら優しく微笑んだ。

彼はランを前に呼び、指先でランの額に微かに触れた。
「ラン、ここなら大丈夫だ。その時のパワーを思い出せるか?」

リゲルは迷惑だと言う顔をした。
「今ここで?冗談だろ」
「大丈夫思い出すだけだ。リゲル、ガッシュにもさせていたな、ランばかり驚かしているんじゃないよ」
「分かった。ガードしろと言う事だな」
「貴方やりゲルの、負担にならないのですか?、、、、思い出すのですね」

彼は頷いて応えたので、ランは心配していたがユールンでの事を思い出し、さらにテンションが高くなった。

「、、、、、、なるほど。もうランは人を引き込む事は無い。初めてだったから、自分の中にある不安がリゲルや他のメンバーに、影響したのだろう。リゲルに一番強い影響が出たと言う事は、ランがリゲルを一番信頼していたと言う事だ」

リゲルは驚いて彼とランを交互に見た。
「えっ!そうなのか?不安でしがみ付かれて、フラッと来たわけだ。とんでもない奴だ。まいったなぁ」
リゲルは少し下げて、テンションが高いままのランに抱きついた。

「リゲル!もう、、、」
「またか。くくっ、リゲル、そのくらいにしてやれ。今日はランの最悪な日だな」
「だってラン可愛いじゃないか。なるほどOKだ。使いこなせたら、彼の次に人を癒す力のあるのがランになる。後は上手くなればいい」
リゲルが瞳を輝かせて、ランに影響していた。

「、、、離して、が回る」ランがリゲルの顔を見上げて言った。
「あはは、だいぶ俺に付き合えるようになったな」
「付き合えるじゃなくて、無理やりです」

『そうだな。座れ』リゲルはランを離して座らせた。
「マジに遊ぶのはこれからだぞ。ガッシュに助けてと言ってみるか?」
「いいえ」
ランは、まっすぐに彼を見つめていた。
「ハイハイ!彼がいるものな、、、。それにしても貴方は随分前とは違っているとも感じるし、さっきと変わらない状態のように見える」
不思議そうな顔をして、彼を見ている。

「君達のパワーは、どんな生命体にも、とても気持ちがいい。、、、リゲルの中にある、私に対する不安が取れただろう」
「貴方を苦しめた、、、。今は俺も助かった思いがする、、、たとえ自分が今後、どうなろうとも安心していられる。それは何より俺の力となる」
「リゲルはみかけによらず繊細だからな。リゲル、今後どうなろうともは無い。皆一緒だ」

ランも、リゲルを見上げて頷いた。
リゲルは弱く静かにランをフォローしていた。
「ランがもう大丈夫か?」
「はい、とても気持ちいいです」
「あのなぁ、とても気持ちいいですじゃなくて、ランも上手くなれよ。凄いものを持っているんだから。
確かに、これからが面白い期待しちゃうよ」

「ところで今日は、ここで休むので良いのかな?滞在区へ行ってもいいが」
「ここは自由でいられて、、、こんな感じは初めてです」
「ラン、向こうで影響ないように戻すのに、結構神経使うんだよ」リゲルは少し心配げに彼を見た。


夕日が落ちて、空に流れ星が見えてくるまでの間、ランと彼はコンタクトをとっていた。
ランは、彼の濃紺の瞳に吸いつけられたように、時折輝きを増して見入っていた。

リゲルは、シティでの通常の状態に下げて、バルコニーへ出た。
幾重にも重なる輪が美しく輝き、金色に輝く小さな流れ星が無数に飛んでいる。
そこかしこから、虫の音が聞えた。湖の対岸は、霧がかかって幻想的な風景だった。

バルコニーの手すりの上に、ふと目をやると小さな虫が止まっている。
暫くするとリゲルに話し掛けるように、虫が音楽を奏ではじめた。
風が僅かに吹いている。

リゲルは、ハッと気がついて彼に礼を伝えた。
『俺の星の、空気をありがとう』
『リゲル、休みを取る事にしたと言ってなかったかな?まだ体調が完璧じゃないのに、常時そうやってフォローしていては、いずれまた、い眠りにつく事になる。中へ入って休むように、、』
『分かった』
リゲルはバルコニーから、部屋へ入るドアを、頭を低く下げて入ってきた。
ソファーに寄りかかるようにして、足を投げ出して床に座った。

「貴方の寝室は、またこことは別もので、さらに自由でいられるって言っていたが、ランを連れて行かないのか?」
「今回は、このぐらいで十分だ、なぁラン」
「私はもうこれ以上無理です。リゲルは?」
「リゲルは、完全には体調が戻っていないから、連れて行くわけにはいかないんだよ」
「あんなに、めちゃくちゃなパワーでですか?」
「そう思うか?、、、ゆっくり行っているんだが」

ランはリゲルの美しい緑の目をジッと見て表情が変わった。
「さっきまで高すぎて分からなかったけど、少し乱れがあるようだけどリゲル大丈夫なの?」
「少しフォローしてみるか?くくっ」
彼が笑って言うので、リゲルが慌てて止めた。
「やめろぉ!俺も素直に休むから、もう寝る。ここでいいだろ?ランも早く休め」

「酷いな。だいぶ上手くなったって、前に言ってくれたじゃないですか」
「フォローが必要なほどじゃないだろうが!外の虫の音を聴きたくて下げたんだぞ」
「なるほどリゲルの苦手は、ランだったのか」

彼は二人の会話に微笑んでいた。
するとリビングの照明が、間接照明のほのかな光だけになり、この星の2本の輪から出る無数の金の流れ星が、尾を引いていくのが美しく見えた。

「綺麗だなぁ、、、」

                            *


早朝、空気がまだ冷たいうちに、彼の家を三人で出て山頂へ向かった。
「さてと直接輪へ行くか?それともホテルで朝食か?」
「昨日かなり食ったから、まだいらんな」リゲルが言うと、ランも頷き
「輪へ行きましょう!」と言った。

「よし元気だな。ラン覚悟しろよ」
「リゲル、適当にするんだぞ、無理するな。お前の遊びは無茶苦茶やるからな」
「ん、ゆっくりな」

                           *

彼らが輪で遊んでいるのが、宇宙港だけでなく、地上でも分かるほど派手なもので、星の人々は、彼の相変らずさに多少呆れながらも、大変な喜びでこの事を受け止めていた。
ランは前日に彼とコンタクトを取ったことで、情報の処理も一段と飛躍し、素晴らしい判断力と動きを見せた。地上に戻るために、例の緑色に変化して見える小衛星ヨークで美しい景色を見ながら、調整し戻る事にした。
リゲルは以前の事が気にかかり、彼の様子を見ていたが、それは心配するほどではなかった。
その日は戻るとすぐに彼とランのために、緊急に長老会議を持ち、ランの一回り大きくなった体の変化に皆が驚きの声をあげたが、彼の変化には気がつくものはいなかった。

会議の席上最長老のトゥーは、ガッシュの功績を称え、彼に再度伝えた。それは会議出席者一同の声となった。
この間リゲルは会議はいいから、ガッシュの言っていた上手いものを食わせろと言う事で、思う存分、滞在区のホテルの特別室で食事をとっていた。

彼からリゲルの好きな物をどんどん食べさせてやってくれと伝言が入っていたので、魚料理と果物をふんだんに使った料理とデザートにリゲルは大喜びだった。
『美味〜い!やっぱ俺は魚と果物だな」と超が付く高級料理を平らげていた。


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2008.03.28 * 遥か時の51〜60 * CM:0 * TB:0 * top↑
  
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