<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 4
リゲルが私を支えながら心配そうに見つめていた。
『大丈夫か?』だから言ったんだ。彼を連れて帰る」
今回の調査チームの責任者ベガは、リゲルを見上げて辛い思いで抗議した。
「今ついたばかり、、」ベガはリゲルの目を見て言葉が止まった。
「あぁ今着いたばかりだ。その数分で全てが解ったということだ。もう良いだろ」
リゲルの怒りには通じない。
ベガは、リゲルを超える者がそういない事を知っていた。
・
メディカルセンターの部屋の天井とリゲルの顔がぼんやり見えてきた。
胸が痛い、頭痛もある。そのまま意識を失っていたようだ。
「ひどい顔色しているぞ。俺のようだ」ニヤッとしながら、私を覗き込んでいる。
「貴方の最近の状態から、地上に下ろす事を反対したんだ。この仕事を長くやりすぎている、
もう十分だろ?貴方なら最後の文明の残骸を見るまでもない事が解っていたからな。
ベガは”それでは、ここの調査が終った事にはならない”と言いやがった。
任務になると冷たい女に変身するな。この星を最後に、仕事はやめるぞと言ってすっきりした。
まだ痛むようだな。こんなにダメージを受けるとは、本気で止めていれば良かったな、悪かった」
『ありがとう。しかし彼女を脅してはならない』
「そうだな。ベガも顔色変えていた。でもダメージを貯めているのを見ていて、俺の優秀な頭脳が、貴方の精神を護れとさ」
笑いながらエメラルドのような美しく大きな緑の瞳が、私を覗き込んでいる。
私から情報を受け取り、リゲルの目は暗く沈み怒りをあらわした。
「うぅ、滅んだ文明はどこもかしこも本当に狂っている。セントラル・シティで報告と同時に、この調査の終了にしてもらおう。酷い、、」
『伝えられるのは限られた情報だけだ。普通神経が持たない』
「確かに俺は、普通じゃないな」
『、、、リゲルにもすべては伝えていない。しかし間違えなく君のフォローがあってできる事だ』
「くっ!まっいい、俺が役に立っているわけだ。十分に休養をとってから、あの星の報告をするといい。その時はまた俺が必要だな」
『ありがとう。ドクターが来る』
少しすると部屋の扉が開きドクターが入ってきた。
「患者に大声で何を話しているのですか」巨人のリゲルを見上げて言った。
「あぁ、地声だ」
私がニヤッとしたのを見た医者が
「良い刺激に、は、なっているようですね。」
わざと区切って言いながらモニターを見ている。
「脳は厳重に保護されているようでしたが、心臓へのダメ−ジは酷く一時、皆慌てたのですよ。まったく驚異的な回復力です。貴方には神経に作用する薬が効かない様で申し訳ありません。他の方法も検討しているのですが、リゲル、君がそうして付き添ってくれて助かっているよ。二人だけの時のデータ―が違うからね」
「少しは回復の手助けになればと思って側にいるんだが、鋼の心臓の持ち主だからもう大丈夫だ」
「しかし今の仕事は、やめなくてはなりません。間違えなく負担が大きくかかっていますよ」
『分かっている』
「さあ、休ませて上げてください。また後で」
「おやすみ」そのままリゲルは、一睡もせずに付き添ってくれた。
*
今朝はすっきり目が醒めて気分も良い。
少ししてドクターがやってきた。
「モニターで経過を見ましたが、もう退院してもいいでしょう。
仕事の件では報告を入れさせてもらいましたよ。暫く休みを取ってください」と言ったあとに
付け加えた。
「メディカルセンターでは、貴方とリゲルを大歓迎します。なぜならだいぶ前から、一斉におかしな事が起ると度々報告が来ていて、それは貴方やりゲルに関係あるとメディカルセンターのデータ―管理と
医者達の間で噂になっていました。もちろん外には漏らしてはいません。医者が要らないことになってしまいかねません。いつか来ていただける事を願っています」
「新しい仕事は、ドクターのお手伝いか。それもいいが、プレイゾーンの管理人をしながらじゃダメですかね」とリゲルが言った。
「プレイゾーン、はははっ!子供達は良い。しかしこちらにも来てくれる事になれば嬉しいですね」
この5日間点滴だけで後は大きな声の持ち主の力強いパワーが静かに私を包んでいてくれた。
彼のパワーに癒される事の気持ちよさは、すでに経験済みだった。
精神と身体に傷をつけてでも自分のコントロールできる限り、ここの者達と共に生きる事が大切なのだ。
ベガは毎日来てくれたが、ある緊張感がつきまとっていた。
リゲルには彼女に伝える事があると、入院以来始めて部屋を出てもらった。
ベガは、私と同じようにリゲルの素晴らしさを知っていた。
しかしリゲルは私の事でかなり強い調子で言ったらしい。
過去に彼女が経験した何らかの怖れが復活し、彼女の心にプレッシャーをかけていた。
ベガの瞳を見つめながら
「毎日ありがとう。私は心に叫びがあるのをほっては置けない、その為なら違反行為もする。
利用できる部分だけ残しても消しても良いが?」
と言ったがこれからの為に彼女の意見は無視した。
「今の仕事はもう降りる事にするよ。君は責任者として立派な仕事をした。また別な仕事を一緒にしたいね」
「ありがとう。私が誘ってしまった事で、大変なことになってしまい、すみませんでした」
気丈な彼女の目に、うっすらと浮ぶものがあった。
「私があえて、望んでやった事だ。皆に迷惑をかける事になった。私の方こそ謝りたい。もう大丈夫だね」
彼女はゆっくりと頷くともう一度謝って、笑顔で部屋を出て行った。
退院時に医者は、
”残念ながらメディカルセンターでは、あなたの神経構造は複雑すぎて手におえなく、
ショック状態を緩和する為のものを中心に強化栄養剤を投与するしかありませんでした。
暫くはゆっくりしてください”と嘆いていた。解りきっている事だった。
*
異星人同士が行動する為に必要な検査は、どこでも当然行われる事だが、
ここでは仕事の関係上、徹底した検査が全てのメンバーに対して行われた。
科学者も医者も興味の全てを持って、”能力と影響の実態”という研究課題で
リゲルと私は何度か調べられた。
結論はそれぞれ惑星人の中でも希な突然変異だとされている。
解明できるまで付き合うつもりは無い。ここでも私は違法行為の常連者となった。
リゲルは、
「俺たちはきっとコンピューター登録機密事項に、特殊生命体か化け物となっているぜ」
と冗談を言っていた。
宇宙に存在する全てが、唯一無二の存在である事実は変えようが無い。
しかし、どうも一定の枠に入れて同じかそうでないかを、分別したい種が多くて厄介だ。
これで子供達の元気に遊ぶ姿でも見れば、かなり完璧だろう。
若い生命は、個々がエネルギーに満ち溢れ、周りに燦燦と生命エネルギーを
惜しむことなく降り注ぐ。それはまるで恒星のようだ。
いや、生きた宇宙そのものなのかもしれない。
この子等に「すばらしい未来を」と思わない者はいないのだが、現実はあまりに悲惨な事が多い。
久しぶりに
「プレイゾーン”に行ってみようか」とリゲルに声をかけると
「おぉ行くかぁ?! だが適当にしないと、滅茶苦茶に遊ぶのは、まだ早いだろう」
「それはリゲルだろう。私は君と子供たちが遊んでいるのを見ている」
「確かにそうだ!ハハハッ!」
彼は入院中一睡もせずに、付き添ってケロッとしているのだ。
そしてメディカルセンターの治療だけでは、私はまだ深い眠りについていただろう。

リゲルが私を支えながら心配そうに見つめていた。
『大丈夫か?』だから言ったんだ。彼を連れて帰る」
今回の調査チームの責任者ベガは、リゲルを見上げて辛い思いで抗議した。
「今ついたばかり、、」ベガはリゲルの目を見て言葉が止まった。
「あぁ今着いたばかりだ。その数分で全てが解ったということだ。もう良いだろ」
リゲルの怒りには通じない。
ベガは、リゲルを超える者がそういない事を知っていた。
・
メディカルセンターの部屋の天井とリゲルの顔がぼんやり見えてきた。
胸が痛い、頭痛もある。そのまま意識を失っていたようだ。
「ひどい顔色しているぞ。俺のようだ」ニヤッとしながら、私を覗き込んでいる。
「貴方の最近の状態から、地上に下ろす事を反対したんだ。この仕事を長くやりすぎている、
もう十分だろ?貴方なら最後の文明の残骸を見るまでもない事が解っていたからな。
ベガは”それでは、ここの調査が終った事にはならない”と言いやがった。
任務になると冷たい女に変身するな。この星を最後に、仕事はやめるぞと言ってすっきりした。
まだ痛むようだな。こんなにダメージを受けるとは、本気で止めていれば良かったな、悪かった」
『ありがとう。しかし彼女を脅してはならない』
「そうだな。ベガも顔色変えていた。でもダメージを貯めているのを見ていて、俺の優秀な頭脳が、貴方の精神を護れとさ」
笑いながらエメラルドのような美しく大きな緑の瞳が、私を覗き込んでいる。
私から情報を受け取り、リゲルの目は暗く沈み怒りをあらわした。
「うぅ、滅んだ文明はどこもかしこも本当に狂っている。セントラル・シティで報告と同時に、この調査の終了にしてもらおう。酷い、、」
『伝えられるのは限られた情報だけだ。普通神経が持たない』
「確かに俺は、普通じゃないな」
『、、、リゲルにもすべては伝えていない。しかし間違えなく君のフォローがあってできる事だ』
「くっ!まっいい、俺が役に立っているわけだ。十分に休養をとってから、あの星の報告をするといい。その時はまた俺が必要だな」
『ありがとう。ドクターが来る』
少しすると部屋の扉が開きドクターが入ってきた。
「患者に大声で何を話しているのですか」巨人のリゲルを見上げて言った。
「あぁ、地声だ」
私がニヤッとしたのを見た医者が
「良い刺激に、は、なっているようですね。」
わざと区切って言いながらモニターを見ている。
「脳は厳重に保護されているようでしたが、心臓へのダメ−ジは酷く一時、皆慌てたのですよ。まったく驚異的な回復力です。貴方には神経に作用する薬が効かない様で申し訳ありません。他の方法も検討しているのですが、リゲル、君がそうして付き添ってくれて助かっているよ。二人だけの時のデータ―が違うからね」
「少しは回復の手助けになればと思って側にいるんだが、鋼の心臓の持ち主だからもう大丈夫だ」
「しかし今の仕事は、やめなくてはなりません。間違えなく負担が大きくかかっていますよ」
『分かっている』
「さあ、休ませて上げてください。また後で」
「おやすみ」そのままリゲルは、一睡もせずに付き添ってくれた。
*
今朝はすっきり目が醒めて気分も良い。
少ししてドクターがやってきた。
「モニターで経過を見ましたが、もう退院してもいいでしょう。
仕事の件では報告を入れさせてもらいましたよ。暫く休みを取ってください」と言ったあとに
付け加えた。
「メディカルセンターでは、貴方とリゲルを大歓迎します。なぜならだいぶ前から、一斉におかしな事が起ると度々報告が来ていて、それは貴方やりゲルに関係あるとメディカルセンターのデータ―管理と
医者達の間で噂になっていました。もちろん外には漏らしてはいません。医者が要らないことになってしまいかねません。いつか来ていただける事を願っています」
「新しい仕事は、ドクターのお手伝いか。それもいいが、プレイゾーンの管理人をしながらじゃダメですかね」とリゲルが言った。
「プレイゾーン、はははっ!子供達は良い。しかしこちらにも来てくれる事になれば嬉しいですね」
この5日間点滴だけで後は大きな声の持ち主の力強いパワーが静かに私を包んでいてくれた。
彼のパワーに癒される事の気持ちよさは、すでに経験済みだった。
精神と身体に傷をつけてでも自分のコントロールできる限り、ここの者達と共に生きる事が大切なのだ。
ベガは毎日来てくれたが、ある緊張感がつきまとっていた。
リゲルには彼女に伝える事があると、入院以来始めて部屋を出てもらった。
ベガは、私と同じようにリゲルの素晴らしさを知っていた。
しかしリゲルは私の事でかなり強い調子で言ったらしい。
過去に彼女が経験した何らかの怖れが復活し、彼女の心にプレッシャーをかけていた。
ベガの瞳を見つめながら
「毎日ありがとう。私は心に叫びがあるのをほっては置けない、その為なら違反行為もする。
利用できる部分だけ残しても消しても良いが?」
と言ったがこれからの為に彼女の意見は無視した。
「今の仕事はもう降りる事にするよ。君は責任者として立派な仕事をした。また別な仕事を一緒にしたいね」
「ありがとう。私が誘ってしまった事で、大変なことになってしまい、すみませんでした」
気丈な彼女の目に、うっすらと浮ぶものがあった。
「私があえて、望んでやった事だ。皆に迷惑をかける事になった。私の方こそ謝りたい。もう大丈夫だね」
彼女はゆっくりと頷くともう一度謝って、笑顔で部屋を出て行った。
退院時に医者は、
”残念ながらメディカルセンターでは、あなたの神経構造は複雑すぎて手におえなく、
ショック状態を緩和する為のものを中心に強化栄養剤を投与するしかありませんでした。
暫くはゆっくりしてください”と嘆いていた。解りきっている事だった。
*
異星人同士が行動する為に必要な検査は、どこでも当然行われる事だが、
ここでは仕事の関係上、徹底した検査が全てのメンバーに対して行われた。
科学者も医者も興味の全てを持って、”能力と影響の実態”という研究課題で
リゲルと私は何度か調べられた。
結論はそれぞれ惑星人の中でも希な突然変異だとされている。
解明できるまで付き合うつもりは無い。ここでも私は違法行為の常連者となった。
リゲルは、
「俺たちはきっとコンピューター登録機密事項に、特殊生命体か化け物となっているぜ」
と冗談を言っていた。
宇宙に存在する全てが、唯一無二の存在である事実は変えようが無い。
しかし、どうも一定の枠に入れて同じかそうでないかを、分別したい種が多くて厄介だ。
これで子供達の元気に遊ぶ姿でも見れば、かなり完璧だろう。
若い生命は、個々がエネルギーに満ち溢れ、周りに燦燦と生命エネルギーを
惜しむことなく降り注ぐ。それはまるで恒星のようだ。
いや、生きた宇宙そのものなのかもしれない。
この子等に「すばらしい未来を」と思わない者はいないのだが、現実はあまりに悲惨な事が多い。
久しぶりに
「プレイゾーン”に行ってみようか」とリゲルに声をかけると
「おぉ行くかぁ?! だが適当にしないと、滅茶苦茶に遊ぶのは、まだ早いだろう」
「それはリゲルだろう。私は君と子供たちが遊んでいるのを見ている」
「確かにそうだ!ハハハッ!」
彼は入院中一睡もせずに、付き添ってケロッとしているのだ。
そしてメディカルセンターの治療だけでは、私はまだ深い眠りについていただろう。




