宇宙(そら)
私は、宇宙(そら)を見上げるのが好きだ。
夕方、SORAにかかる輪が、今日の最後の光に照らされ、
刻々とその色を変化させていくさまを見る。
その僅かな時間が僅かに癒される時だ。
今日も空中(そら)の交通事情は管理され、ある程度整然と流れている。
私は地上3000mから、眼下に広がる灰色の世界の空中交通網の管理をしている。
このシステムが出来たばかりのころは、大変人気があった。
行き交うものがあまりに多くなると同時に、ここ数年禁止区域での
違反が増え、苦情が始終端末にアクセスしてくる。
本来居住区に入る手前で、地下へと交通の流れは移り、
居住区の空をさえぎる物は少ないはずだった。
「ちょっと最近、マナーは、どうなっているのかしら?!
さっきも居住区の上にいるグループを見つけて、注意したのに無視よぉ。
3回注意、警告1回、まるで無視ってどういう事!
空間チャンネルを変えさせてもらったわ。今ごろこの星の裏側よ」
彼女の綺麗なブルーの瞳の色が、少し濃くなったように見えた。
「ここのところ多い。どうやら空間チャンネルの変更による移動が、
面白いという噂が広まって来ているらしい。エスカレートしてもらっては困るんだが」
「まぁ、条例変更して違反の常連者は、集中ダスト管理センターの
”集積場”にというのはどう?いきなりゴミの中に、ぽい!」
「おいおい!」
「もちろん、命に別状がないゴミの上よ」
「そういう空間チャンネルの使い方は、危険だなぁ」
「そうかしら?今の取り締まりでは、まるで効き目がないんですもの」
「とんでもない。裏側とはいえ、決まったチューブ路に安全に出るが、
長時間かかって戻って来るしかない。それに彼らは、けしてゴミではない」
私はそう言いながら、今日自分の頭の中に浮んだ光景を思っていた。
惑星連邦の犯罪者はこの空間チャンネルを使い、
<巨大ガス惑星M>の衛星の一つ<I>に送られ、刑期を過ごすことになっている。
私は、眼下に飛び交う交通手段のすべてを衛星<I>へ送り込んだ。
この星の暗闇ともいえる裏側ごと、、、。
そこには表で暮らすものを支えている産業がある一面、
ちまたでは、今だに惑星間条例で禁止になっている武器や麻薬を製造し、
空間チャンネルを利用して、密輸している組織があるといわれている。
そう、一部は確かに無法地帯でもあった。
表と切り離せない企業と政治の故に、この星ごと衛星<I>へ、、、。
ふふっ、幸いなこと?に絶対に有りえない。
なぜならこの星は、衛星<I>の58倍の大きさの星だからだ。
私は感じていた。
透き通った空気と香りたつような森の緑、点在する光輝く湖水、
青い山々の景色にいだかれて、大地に立っている私は、
清々しく晴れ渡ったSORAに、美しく横たわる虹のような輪を見上げて、、。
視界が霞んでいく。
「、、どうかして?」
彼女は驚いたような顔で、私を見た。
「ん?いいや、、、。そろそろ次の担当者が来る、ご苦労様。さぁ、君は帰りたまえ」
「、、はい。ではお先に失礼致します」
そう言うと彼女は壁の中に消えた。
彼女のいた正面のパネルの上にハンカチがあった。
忘れ物?
一瞬意味が分からずに、じっと見ていたが、ふと手を頬にやり苦笑した。
あらゆるシステムの問題点は、この星の全てにつながって、
この歪みがじわじわと表面化しようとしていた。
疲れがたまっていることは分かっていたが、長期連続勤務に限界に
来ていたのかもしれない。次の担当者が来たら、私も帰るとしよう。
以前にあの輪の中の、幾つかの小衛星にあるホテルに行ったことがある。
その中でもNO.1の眺望を誇る「グランド・ギャラクシー」は
宇宙港のある一番外側を周る衛星にあり、
主に外からのVIPを、静寂と眺望と最高級のセキュリティーをもって
受け入れている。
そこでは、静かに光り輝く銀河を浴びていられた。
移住した星の、開発をし続けた歴史を持つ我々が、
いつしかまた外の世界に夢を見ているが、すでに惑星間連合が出来上がって久しい。
他の星を自由に開発出来た時代は終わっていた。
次は我々の恒星系を出て銀河連邦を目指すのだと、、、。
まるでSFの世界の話。
現段階で外の世界に、我々が移り住めるような星は見つからず、
懸命な探査の900年もの歴史にも関わらず、
自分達以外のヒューマンの痕跡さえ見つからない。
虚栄と矛盾の巨大な塊のような、地上ではなく、
数日でいい、休暇を申請し少し外へ出てみたくなった。
漆黒の宇宙に存在する、不変の真実の煌めきを感じたいのだ。
私は、宇宙(そら)を見上げるのが好きだ。
夕方、SORAにかかる輪が、今日の最後の光に照らされ、
刻々とその色を変化させていくさまを見る。
その僅かな時間が僅かに癒される時だ。
今日も空中(そら)の交通事情は管理され、ある程度整然と流れている。
私は地上3000mから、眼下に広がる灰色の世界の空中交通網の管理をしている。
このシステムが出来たばかりのころは、大変人気があった。
行き交うものがあまりに多くなると同時に、ここ数年禁止区域での
違反が増え、苦情が始終端末にアクセスしてくる。
本来居住区に入る手前で、地下へと交通の流れは移り、
居住区の空をさえぎる物は少ないはずだった。
「ちょっと最近、マナーは、どうなっているのかしら?!
さっきも居住区の上にいるグループを見つけて、注意したのに無視よぉ。
3回注意、警告1回、まるで無視ってどういう事!
空間チャンネルを変えさせてもらったわ。今ごろこの星の裏側よ」
彼女の綺麗なブルーの瞳の色が、少し濃くなったように見えた。
「ここのところ多い。どうやら空間チャンネルの変更による移動が、
面白いという噂が広まって来ているらしい。エスカレートしてもらっては困るんだが」
「まぁ、条例変更して違反の常連者は、集中ダスト管理センターの
”集積場”にというのはどう?いきなりゴミの中に、ぽい!」
「おいおい!」
「もちろん、命に別状がないゴミの上よ」
「そういう空間チャンネルの使い方は、危険だなぁ」
「そうかしら?今の取り締まりでは、まるで効き目がないんですもの」
「とんでもない。裏側とはいえ、決まったチューブ路に安全に出るが、
長時間かかって戻って来るしかない。それに彼らは、けしてゴミではない」
私はそう言いながら、今日自分の頭の中に浮んだ光景を思っていた。
惑星連邦の犯罪者はこの空間チャンネルを使い、
<巨大ガス惑星M>の衛星の一つ<I>に送られ、刑期を過ごすことになっている。
私は、眼下に飛び交う交通手段のすべてを衛星<I>へ送り込んだ。
この星の暗闇ともいえる裏側ごと、、、。
そこには表で暮らすものを支えている産業がある一面、
ちまたでは、今だに惑星間条例で禁止になっている武器や麻薬を製造し、
空間チャンネルを利用して、密輸している組織があるといわれている。
そう、一部は確かに無法地帯でもあった。
表と切り離せない企業と政治の故に、この星ごと衛星<I>へ、、、。
ふふっ、幸いなこと?に絶対に有りえない。
なぜならこの星は、衛星<I>の58倍の大きさの星だからだ。
私は感じていた。
透き通った空気と香りたつような森の緑、点在する光輝く湖水、
青い山々の景色にいだかれて、大地に立っている私は、
清々しく晴れ渡ったSORAに、美しく横たわる虹のような輪を見上げて、、。
視界が霞んでいく。
「、、どうかして?」
彼女は驚いたような顔で、私を見た。
「ん?いいや、、、。そろそろ次の担当者が来る、ご苦労様。さぁ、君は帰りたまえ」
「、、はい。ではお先に失礼致します」
そう言うと彼女は壁の中に消えた。
彼女のいた正面のパネルの上にハンカチがあった。
忘れ物?
一瞬意味が分からずに、じっと見ていたが、ふと手を頬にやり苦笑した。
あらゆるシステムの問題点は、この星の全てにつながって、
この歪みがじわじわと表面化しようとしていた。
疲れがたまっていることは分かっていたが、長期連続勤務に限界に
来ていたのかもしれない。次の担当者が来たら、私も帰るとしよう。
以前にあの輪の中の、幾つかの小衛星にあるホテルに行ったことがある。
その中でもNO.1の眺望を誇る「グランド・ギャラクシー」は
宇宙港のある一番外側を周る衛星にあり、
主に外からのVIPを、静寂と眺望と最高級のセキュリティーをもって
受け入れている。
そこでは、静かに光り輝く銀河を浴びていられた。
移住した星の、開発をし続けた歴史を持つ我々が、
いつしかまた外の世界に夢を見ているが、すでに惑星間連合が出来上がって久しい。
他の星を自由に開発出来た時代は終わっていた。
次は我々の恒星系を出て銀河連邦を目指すのだと、、、。
まるでSFの世界の話。
現段階で外の世界に、我々が移り住めるような星は見つからず、
懸命な探査の900年もの歴史にも関わらず、
自分達以外のヒューマンの痕跡さえ見つからない。
虚栄と矛盾の巨大な塊のような、地上ではなく、
数日でいい、休暇を申請し少し外へ出てみたくなった。
漆黒の宇宙に存在する、不変の真実の煌めきを感じたいのだ。




