<遥か時の流れ一瞬を生きる生命としてここに>91

  • 2008/05/15(木) 18:27:12

<遥か時の流れ一瞬を生きる生命としてここに>91


彼が突然ランを抱きしめて来た。
皆一瞬息を飲んだ。

『ごめん。ランの知らない、私になろうとしたのではないよ。それも私の一部だと言う事だ。君がこのように変化するのと同じだ。必要がなければ、することもない』
ランはブルーの瞳に涙を貯めて震えながら、スーッとパワーを下げて元に戻った。

彼はランを支えてソファーに座らせ、ほんの少しのあいだフォローをした。
『ラン、ベテルのフォローの一つだ。覚えたかな?もう一度?』と言うと、ランの前の床に座って手を取り、静かに穏やかに落ち着かせていった。
『分かった?驚かせたね。でも前に言っただろう。したいと思った時に触れると』
ランは黙って頷いた。
リゲルがランの前に来た。

彼は立ち上がってリゲルを見上げ、ランの横に座った。
ガッシュもノルドも、彼を心配している。
『そんなことをして、大丈夫なのですか?』と聞いて来たが、彼は静かに笑って頷くだけだった。

リゲルは座り込んで、美しい緑の瞳でジッとランを見つめた。静かにリゲル特有の力がこの部屋全体に広がった。そしてランの心の奥に語りかけた。

『ラン、彼はランの思いをニの次に思ったことは一度もないよ。ランの家族として君に応えたいと、いつも思っていてくれている。何とか表現してくれようとしている。君の奥にある思いを知っているからなんだよ。俺は彼に話していない。でも今のでよく分かった。ラン、彼の家族として素直に思いを伝えていいんだ。彼も変化している。互いの為に出来る事をしていけばいい。ランは、ランであればいいんだ。大丈夫か?』
「、、、リゲル」ランは、まるで子供のように泣き出してしまった。

今度はリゲルがランの頭を大きな手でくしゃくしゃっとした。
彼はリゲルをジッと見ていた。

「ふあ〜っ、久しぶりにリゲルだ。、、、、気持ちいい」ノルドは改めて実感したように、リゲルに言った。
『リゲルありがとう、本当に気持ちいい。たまにサービスしてくれてもいいね』
彼が深呼吸をしたのを見て皆心配そうにしている。
『?大丈夫だ。リゲルも私もかなり急激に下げて、戻って来た所へ君たちがすぐにやって来たから。なぁリゲルフォローはもういい。少し戻したほうが良い』

『そうだな。俺の部屋またバージョンアップして貰わないとね。サービスするから、お願いします。はははっ』
『OK。サービスのフォロー付きでな。くくっ』

二人とも、さっきのランより高くなってきた。

ガッシュがリゲル代わってベガとノルドをガードしていたが、ノルドが手のひらを上に向けて肩をすくめた。
「もう遠慮しますお邪魔しました。こんなビッグパワーにはとても付き合えないよ。ベガ帰ろう。ガッシュ、頼むよ」と言った。

「そうね。帰ってきて、いきなりお邪魔してしまったから、随分我慢させてしまったようね。すみませんでした。でも、顔を見られて安心したわ。では、お休みなさい」
ノルドとベガが戻って行った。

二人がいなくなると、リゲルがいきなり溜息を付いた。
『ふぅ〜、帰って早々思いが溢れていて、、、。ラン、俺高いよ。今日はこのまま、いるつもりか?』
「心配です。こんな事、、、」

『ラン、後で私の部屋へいこう』
「え?お邪魔するつもりは、、、」
『私もここに、常時いるわけではない。たまには星にいた時のように一緒にいてもいいだろう。見た目がもっと若い方が良かったね。生まれた時からと考えると、本当は君の思ったとおりなんだけよ、ラン兄さん。
さっき昔のランの日常の細かな事まで、いろいろ思い出したよ。本当に楽しかった。家族ってこんなに良い物かなって、毎日君の顔さえ見ていれば幸せを感じていたよ』
と言いながら、彼は今度はリゲルの腕に触れてきた。
一瞬リゲルもビクッとしたが、黙って彼を見ていた。
『ラン兄さんって、、、』

『そうなんだろうとは思っていたけど、なんかラン兄さんは衝撃だなぁ』ガッシュは、複雑な気分だなと言った。

『人としての実体験が未熟な子供のままで、姿だけ大人で皆に苦労させている。すまない。さぁ、リゲルが少し疲れてきている。ラン部屋に行くよ。ガッシュにお願いしてもいいかな』
『分かりました。お休みなさい』
彼とランが消えた。

『リゲル、疲れたのか?』
『いろいろあった8日間で、戻ってきたら幸せが待っていて、ちょっと溢れただけだ』
『何だかよくわからない説明だぜ、それ』
『ん。俺今ガッシュがいてくれて、とても安心だ』
『あぁリゲルは繊細だったな。皆の思いに溺れそうになったわけだ。で、もう大丈夫なのか?』
『ガッシュ溺れていると思ったら、見ていないでさぁ〜』

『お前の方がかなりでかいんだぜ。自分で上がって来いというまでもなく、ちゃんと彼が救い上げてくれていたじゃないか。随分触れていたけれど、本当に大丈夫なのか心配になって来たよ。皆が溺れないようにと無理してくれていたな』

『あぁ、彼も変化した。しかし前ほどではないにせよ。疲れているのは彼のほうだ。俺はコント−ロルする緊急訓練をしたわけだ。今、問答無用で彼らになるべく弱くサービスしているよ。ガッシュはまだ大丈夫かな?』
『ふふっ、リゲルらしいな。あぁいいよ。ここが壊れない程度にな』

『ありがとう』リゲルの雰囲気が一種にして変わり、この部屋の空間が揺らいだ。

『おいおい!ちょっと高すぎないか?お隣りさんも、シティでもビックリするだろう』
『ここから、漏らしてはいないよ。ガッシュは中身が濃い状態の中にいる、、、』
リゲルが深呼吸をした。
『少しずつ慣らしていく、予定だったのにいきなりだ』
『これでいいのか?俺、ダメそうだったら、外からお前を見ているから良いんだよ』
『ガッシュ、本来の自分になれば、いいじゃないか。問題ない』
『リゲル〜。、、まぁ、そうだな。しかしそれでここまで高いとは、お前もう十分だよ。本気出したら、えらい事だな』

『俺の本気?そんなもん、出さなくて良いようにする。一生、体感したくないね』
『俺もだ。遠慮するよ。彼女の能力をいくつか吸収したようだがどれくらい迫ったんだ?』
『はぁ、迫った?彼女のどこに迫れるんだよ』

『リゲルあの時、彼を本気で受けていたら、、、、想像の外かぁ。リゲル、さっきの俺の話だが、まじだぜ』
『ん?俺にか、、、。ガッシュが終わりを経験したくなったら言えよ。俺はそんな風になりたくはない』
『怖いなぁリゲル。お前一人ぐらい、面倒見ていけると思っていたんだが、、、本来の俺ならね。君の命を救う事が出来れば、いい程度なのだろうか』

『十分すぎる位だ。ありがとう。彼女には出来ないのか?』
『とんでもないって、言われた。とっくに何度も経験している、もうこのままでいいって、、、。リゲル、彼女のようになるなよ。悲しすぎる』
『そうか?宇宙に存在する全ての限りある命達は、そうやって生死を繰り返して来たのだろう。そういうもんだと、割り切れないなら付き合うのを止めて、もとの形で影響する方が良いんじゃないか?苦しむだけだ』
『ふふっ随分と割り切った事を言うが、俺にいてもらって安心するといったのは誰だよ』

『ランじゃないんだぜ。俺は形には、こだわらないつもりだ。ガッシュの本来の姿で構わない。
個性の雰囲気が変わると、ちょっとつまらないかも知れないが、別な意味で面白そうだし。俺ちょっと楽しみだな。彼が男であろうが女であろうが構わない、そもそも違うんだ。
俺を見ろ。シティではガッシュの次にインパクトあるのが俺だぜ。考えたら光に包まれた姿より、元がこっちだといわれた方がインパクトあるかも!はははっ』
リゲルは自分を指差して笑った。

『お前、なんでも面白いかどうかが基準だな。簡単でいい。性格の全部がそうなりゃいいのに、えらく繊細な部分があって、面倒な奴だ』
『それを個性豊かって言うんだぜ』


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