<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>  11

  • 2008/03/04(火) 16:57:36

<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>  11

2つ目の恒星が登るころリゲルと我が家を出て、ここで一番高い山の頂上に来た。

リゲルは、ここでは、乗り物は使わない主義か?まで言うと上空を見上げて言った。
「、、、、輪が近くなって迫力が違うな、あれ?ここだけ雪が無い!
それに晴れていたのに周りは見えないな?霧か」
「さぁ星の人たちに、リゲルを紹介しに行く準備だ。もう少し下げてくれないか?」
「おぉ!そうだな」
次の瞬間通常よりやや高めだが、穏やかなパワーのリゲルがそこにいた。

「少しだけ時間をくれ」
私は、山頂の岩に腰掛けて目を閉じ、落ち着くのを待った。
「ここへ戻るのは簡単だが、出るのは、少し、、、」
「何?いつもこうなのか」
『まぁ、そんなところだ』
暫く、じっとしていた。

「いくつかの事が重なったせいだ。、、、、、もう大丈夫。周りを見てみろ」と、
後を指差した。
そこには連なる山々の緑と青の濃淡と、雪をかぶった峰の大パノラマが展開していた。

「おお〜!この山は随分高い山だったのだな。貴方がこの世界に同調しないと
見えないのか?俺は、たいがい驚かずにストレートに何事も受け止められるが、
こう次から次じゃ着いていけないかもよ」
「くくっ。そうは、見えないがな。あの奥の方に見える山が、この星で一番高い。
そして、星の裏側に2番目の山があり、ここが3番目だ。あそこにキラキラと輝い
て見えるのは、この星最大のミントリア湖だ。外側の麓の森にも私の友人達がいる」
「みずうみ〜?!海じゃないのか、でかいなぁ。湖も森にもいろんな生き物が
いるのだろうから、貴方がいったら大変だろうな」

彼は静かに微笑んだ。
「待っていれば、下から大飛鳥が挨拶にやってくる」
「ここまでかぁ?どんな鳥だよ!」
「森の住人たちは宇宙を飛ぶ鳥とも言う。私がここにいると、必ず遊びにやって
くるよ、もうすぐ来るぞ。そうだ、彼らと滞在区まで飛ぶか?」

リゲルはニヤニヤしながら言った。
「鳥と空を飛ぶのか?なんかなぁ」
「そうか?彼らを見ると恥ずかしいとは思わないぞ」

ブワッ!ブワッ!
2羽の巨大な鳥が、あっという間に我々のいる山頂をこえて、さらに高くまで
飛んでいったと思ったら急降下し、真っ白な羽を大きく動かして目の前にフワッと
優雅に降り立った。

「なんて大きな鳥だ。羽を広げると俺よりでかい。こんなでかい鳥は見たことないぞ」

ブワッ!ブワッ!ブワッ!
下からさらに3羽飛んできた。

「いつもの5羽がそろったな。今日は大切な友人を連れて来た。リゲルだ
大きいだろう?」彼がそう言うと、5羽は首を少し傾けてリゲルを見た。
羽の下側は真っ白だったが、外側は緑と青の羽に虹色の縁取りがあるように
見えそれは美しい巨鳥だ。

「どうだ彼らと行くか?」

大飛鳥達は、リゲルに興味を示したように側に来た。
「鳥と飛ぶのは初めてだ。何かワクワクするな」
リゲルは、早速、彼らの羽や頭を撫ぜてやっている。

「野生の鳥だろ?でかいくせに、なつっこくって可愛いな。随分と信頼が厚い」
「小さい頃からの友人だからな。さぁ、真下の彼らの森から行こうか」

大飛鳥達は彼の意思を了解したかのように、一斉に天に向かって頭を上げて、
大きく羽ばたきながら高い声で鳴いた。

「リゲル、彼等とゲームだ。森のぎりぎりの高さまで落ちる。行くぞ!」
崖の先端へいくと、いきなり少し飛んでリゲルの視線から消えた。

「うそだろ!本当に落ちるだけかよ!」リゲルも飛んだ。

急降下で物凄い風圧だが、巨大な鳥もこちらを意識しているのが分かる。
彼等はこのゲームを楽しんでいた。

ぐんぐん迫って、視界の全部が緑一色の森になったところでリゲルは宙に止まった。

私と大飛鳥は、木々の枝の先端に触れるまで落ちていった。

風圧で森がざわめき、小鳥達が一斉に飛び出してきた。
大飛鳥達が喜んで騒ぎ飛び回っている。

「ギリギリって、そんなに行くかよー!地面にめり込んで、裏側にでも行くのかと
思ったぞ!」リゲルが上から怒鳴った。

「くくっ!小鳥達には迷惑だな。」
「リゲルには景色も見せたいから、ここからはゆっくり行こう。いつもは行く先を
彼らに伝えて競争をするんだよ」
「へぇ〜、!向こうから仲間がやってきた。一緒に行くかな」

さっきの2羽が側まで飛んで来て、彼に何か伝えている。
「乗ってくか?」
「うそだろ〜!俺はでかいぞ」
「彼らに体重はかけないようコントロールすればいい。さっき君が触れただろう。
リゲルのパワーが気持ちいいものだと分かったようだ。肩につかまると良い」

リゲルは大きな目を輝かせて側の1羽に触れた。
「お〜っ羽が暖かくて気持ちいい、ウォッ!肩の筋肉すげ―!」
「くくっ!彼らは、リゲルが好きだと言っているよ」
「気にいってもらえて、嬉しいぞぉ」と周りにいる大飛鳥達にリゲルが叫んだ。
大飛鳥達が一斉に鳴いている。

大飛鳥達とは、滞在区の手前に広がる広大な森の上で別れることにした。
25羽になっていた巨鳥達は、彼を名残惜しそうに見てから、一斉にさらに上空へ
行くとくるくると回ってから、湖の方向へ飛んでいった。


「最高に楽しかった〜ありがとう!見事な景色と感動で最高だ!」
リゲルはまだ興奮していた。

「さあ、ここから滞在区だが”管理人の御曹司”じゃないから入口は通らないよ。
今チェックは受けたくないからな」
「ん?滞在区まできてチェックがあるのか?」

異星人滞在区のS・H・Rホテルの、ロビーの正面にミントリア湖の大壁画があり、
その裏側が、各部屋へつながるチューブ通路になっている。その前にある中庭から
行く事にした。

「これは滞在者のコンディションに合わせて調整するためのものだ。リゲルに
合わせるわけにはいかないだろう?それにせっかく来たのだから、メディカル・
センター行きには、なりたくないしなぁ」

「!?メディカルセンターって、山頂での事がまだ影響しているのか。本当に
大丈夫なのか?」
「もう少し時間がかかるだけだ。急ぐな」

リゲルは少しムッとした顔で見下ろして言った。
「急いでいるのはどっちだ!真剣に心配しているんだ。貴方の体を休める為に
来たんだぞ。俺の観光じゃない!そうじゃなきゃ俺は帰る」

「分かっている。リゲルの素晴らしいパワーの一部に触れている事は、メディカル・センターに行くよりましだ。それにどうやって帰る、もう私の移動方法を
自分のものにしたかな?」と笑いながら言った。

「フーッ、結局いつも”逆らえない”貴方の”思い通り“って訳だ」と
真剣な意志をぶつけてきた。
『そ、、そんな事は無い、支配するつもりもない、、今から帰ってもいい』
突然苦しげに変化した私を見てリゲルは慌てた。

「おい!大丈夫じゃないじゃないか。くそ!俺が行きたくて来たんだ。それに
支配って何だ。今朝からやっぱり変だぞ」
リゲルのパワーが私を包み込んだ。
『私が悪いのだ。今3人来る。もういい、、ありがとう』
「何を言っているんだ。まだ苦しそうだ。来たら適当に誤魔化して、飛ぶか!?」
『この星で誤魔化す?無理だな、、ほんの少しONにするよ』
「、、ま、た、いきなり”ON”か」
「巻きぞえ許してくれ。無数にあるスイッチの、1個を”ON”に入れたような
ものだ。これでしばらくは大丈夫だ」
「大丈夫には見えない。俺と同じような顔色だぞ」
「?かなりひどいか」
「誰の事だ、まったく」


向うから立派な紳士を先頭に三人が、彼の前に歩み出て来ると深々とお辞儀をした。

「お帰りなさいませ。コンタクトをお待ちしておりました。貴方が滞在区内にと、
管理センターでは大変な騒ぎでした。ご一緒に異星人のお客様がいらしていたの
ですね」
「彼は共に仕事をしているリゲルだ。大切な友人として持て成したい」

笑顔を絶やさず彼とリゲルを見ている。
「わかりました。有名なリゲル様でしたか。特別なお客様として、お迎えをさせて
いただきます。今、御着きになったばかりのようですが、お部屋の方にいかれて、
少しお休みになりますか?最上階の特別室をご用意できます」
「ありがとう。暫くリゲルとこれからの予定を話し合いたいから、少し時間が
欲しい。こちらから行くと伝えてくれ」
「わかりました。お待ちしております。では後ほど。皆も大変喜ぶ事でしょう。
リゲル様、滞在を楽しんで頂けるよう、何なりと申し付けください。こちらから
どうぞ」手を入り口の方へ差し向けて、軽く会釈した。


リゲルと二人で最上階直通のチューブに入った。
「いくつかの事が同時に重なってこうなっているのだ。一人でできる事には限度が
ある。もう少し時間がかかるのだ。リゲルに不快な思いをさせてしまった事を
許して欲しい」
「一人で何を?俺には言えない事か。こんな事繰り返していては危険だ」
「そうだな。時が必要なんだ、待っている間は仕方が無い。私は出来うる限りの
事はしなければならない。それがここに存在する理由だからだ」

「説明されても解らない事ばかりだな。ところで今の人をコントロールしたのか?
貴方の事も俺のこともOKなんて」

周りの光の変化が移動している事を示していた。

「コントロールはしていない。異星人をいきなり連れてきたと、文句が出ると
思っていたか? この星では相手が言ってこない事を、いきなり聞かないのが
礼儀だよ。普通だろ。ここだ、最上階へようこそリゲル」

「!噂には聞いたが、まさに宇宙一の超豪華ホテルだな」
リゲルは入り口から見える部屋だけで驚いていた。
「リビングはこの奥だ。リゲルが手足広げても大丈夫なように、部屋の大きさが
変更できる。セントラル・シティでは、狭い所で我慢しているから広くしよう」
「!それはいいな」
スーッと壁面や家具が動いてあっという間に、陽光が燦さんと降り注ぐ会議場ほど
のリビングとなった。

「すげぇ〜!天上が透明で斜めになった!家具も勝手に動くし面白い部屋だなぁ。
おぉ広大な森が一望できる」
「何か飲まないか?」
「そうだな、ともかく何か元気になるドリンクでも飲んで、少し休もう」
「わかった。リゲルは何にする?」
「俺は熱いコ−パある?」

この最上階担当アンドロイドのアリアンが飲み物を持ってやってきた。
「お帰りなさいませ。どうぞ」
私には冷えたグラスにアイス・ブルーをくれた。

「リゲル様ようこそ、おいでくださいました。どうぞ、ごゆっくり滞在区を
お楽しみください」と熱いコ−パをテーブルの上に出した。

「ありがとう。凄い美人さんだね。名前を聞いても良いかな?」
「失礼いたしました。アリアンと申します。何なりとお申し付けください」
「今はこれで結構だよ」とリゲルがいうと彼女は微笑みながら軽く会釈し、
スーッと壁が開いて、もどっていった。

「いいなぁ。セントラル・シティにも、彼女のようなアンドロイドがたくさんいる
と目も楽しいのに」
「シティの者には、リゲルの美しい目の方が楽しいけどね」
「俺の場合目その物じゃん!その綺麗なアイス・ブルーって、なんだ?」
「栄養ドリンクだよ、ドクター・ボォンからだ」
「へぇ〜専用のオリジナルドリンクか。私はもう十分だ。暫くは誰も来ないか?」
「そう、私のコンタクトを待っている」

リゲルは、私がアイス・ブルーを飲み終えるのを待ってニヤッとすると
「少し休んだ方が良い。俺が支配するって言うのはどうだ?」
大きな美しい緑の瞳で見つめ、そのパワーでソファーに持っていかれ、押さえつけ
られてしまった。リゲルの生命エネルギーが流れ込んでくる。

「分かったから離せ。一応今は女じゃない」
リゲルのビックリして力を抜いた。
「うわっ失礼!、、でも貴方はツィンじゃないだろう?!」

私が頷くとリゲルは気が抜けたように言った。
「驚かすなよ〜。俺をドキドキさせてどうする!」と言いながらソファーの横の
床に座り込んだ。

「リゲルの星ではツィンと言うのか?私はツィンとも違う。必要とあれば老若男女
もありだ」
「えっ!そんな事初めて聞いたぞ」

彼は少し首を傾けると
「何をそんなに驚いている?行く場所や必要に応じて、もっと多様な姿もとるが、
そのように相手が感じていれば、すむだけの事だ」
「ちょっと待てよー!もっと多様って、、、、、人間か?!」
リゲルは、長い睫をパサパサさせ大きな目をさらに見開いた。

「人間か?なんて言い方をする奴は他にいないぞ。リゲルとは始終一緒だが私は、
いったいなんだ?」
「ぁ、、悪かった」
「いや、怒った訳ではない。私と一緒にいることで、リゲルがどう感じ取っている
かを聞いただけだ」

「貴方といると、次々と強烈な刺激ばかりで、頭が追いついて行かない。、、、、
申し訳ないが、今の俺の力では貴方をあまり癒せないのだろうな」
「身体の事は、間違えなく私に問題がある。リゲルが追いついて行かないという
のは、頭で理解しようとするからだ。そこに事実としてあるのだ。それでいい。
心に壁を作るな。柔軟でなくてはいけない。そうでないと道をふさぐ事になる。
私は常にリゲルに興味を持って楽しみ、影響しあっているから自分も飛躍する」
そこまで言うとリゲルは表情を少し変えて言った。
「そうだ、悪いのはそっちだ。俺には貴方とは違う形で、人を癒す力がある、
もっとしっかり受け止められないのか?心に壁があるのはどっちだ!」
「くくっ!その通りだ」

「もういいから休んで。ここは貴方の星だろ、少しはリラックスできないのか?
さっきの影響か、、医者に診て貰う必要があるな。何か貴方に効く薬ないのか?」
「後で怖い主治医の所へ行く」

リゲルはどうしたらよいのかと情報を探って、緑の瞳は輝きを増しながら微妙に
変化し続け、私を見つめていた。

「湖の中でリゲルのエネルギーに触れてみたいものだ。気持ちよすぎて溶けるかも
しれない」
「ん?水溶性だったのか?ははっ、水中は気持ちいいよな。元気になったらあの湖
にでも連れて行ってくれ」

リゲルのパワーは、優しく私を包み込んでくれていた

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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>  12

  • 2008/03/04(火) 16:58:31

<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>  12


リゲルは、さっそく最上階のジャグジーに入っている。
「おぃ〜、こりゃいいな。景色も最高だし、もう少しジャグジーが大きかったら
超最高だったなぁ」
「ああ、君ならプールが必要だな。飲み物でも何か欲しい物はないか?そこから
オーダーできる美人のアリアンが持ってきてくれるよ。私は下からご機嫌伺いが
あったから行ってくる」
「あっ!なんだよ。俺も一緒にいくよ」
「いや、来なくていい。リゲルの紹介は後ですることになっている」

『ここの人々の中に貴方に近い存在はいないようだけど、本当はこの星の人間では無いの
か?』リゲルは突然問い掛けてきた。
『間違えなくここの生まれだ。リゲルもリトル・ログ星人の外見的特長以外まったく規格外だろ?外見も少し規格外なのが私だ。くくっ』

「少しね。なるほど規格外どうしか。わかった!」
「元々声が大きいのだから叫ばなくて良い。じゃぁ好きにしていてくれ、ただし」
「わかっている、ここで楽しんでいるさ」 
「OK」

この星のもう一つの私の家は、首都の東の高原にある小さな湖や池が点在する
「水の森」の一角に、広大な敷地と城が1つ、屋敷が2棟あるうちの一つだ。
できれば周りとの距離が離れている方が良いだろうとの配慮で、ここの城で定期的
に長老会議をする事以外に、誰も使っていない大昔の王族の別荘だった屋敷を借りている。

数本の小川と大小の池が点在しているが、川の流れは途中で地面の中に消え、地下水として湖へ流れ込んでいる。ここに自生しているオールの木は、幹が白く若葉の色は本当に美しく、数千の時を生きている長寿の木として有名だ。オール最長老の木の根元に行き、ゆっくりオールの巨木と時を語り合うのも楽しみのひとつだ。


[お帰りをお待ちしておりました]城の大扉が開いた。
奥の大広間に皆が待っている。やけに静かだ。

高さ10mの扉が開くと、すぐ横に立っていたランが出迎えてくれた。
「おかえりを一同お待ちしておりました、滞在区で貴方に会った者がお疲れのようだと大変心配しておりましたが?」
私の大切な友ランだ。明るい笑顔の心は不安で一杯だった。
「只今」ランと握手をした。

『ランの代わりにリゲルが 私を守ってくれていた。安心してくれ』 
『貴方の周りに感じるパワーはリゲルのですか』 
『そうだ。後で紹介する』

「心配をかけました」
最長老の、トゥーが心配そうに私を見つめていた。
「後ほど」主治医のボォンは、明らかに苛立っている。

議長が口を開いた。
「それではお戻りになられたので、定例会議及び滞在者のリゲル様のことに
関して、意見の交換をしたいと思いまいます。皆さん席に着いてください」

ここで私が今までの報告と、仕事を続ける意思、諸規制に対しての特別許可、そして子供達との交流をと皆に伝えた。

皆は一斉に私のいなかった間の事、規則違反について。リゲルは危険だ。もう外へは行かないように等々、たまっていた不満を伝えてきた。心配をかけている仕方が無い事だ。

「もう、いい加減にしないか!」
最長老のトゥーの一括で,静まり返った。
「静かにすべてを受け止められているのが,分かるだろう。」

「皆は不安なのです。いつかこの星を出て行かれる。その時が来たと」
長老カーマイが絞りだすように言った。

「ここは私の生まれた星、帰る家。ただこの世界には、あまりにやらなければならない事がたくさんある。これからは長期開ける事にもなるだろう。自由な出入りを許可して欲しい」
心が泣いている者達がいる。

「自由を許可とは!貴方を止められる者はおりません。私達はただ心配をしているだけです。」
もう一人の長老ヤンが怒りをぶつけてきた。

「ヤン、言葉に注意しなさい!」とトゥーが心配そうに私を見ながら言った。
「そうでした。失礼いたしました」

その時後ろにいたドクター・ボォンは、怒りを含んだ言葉で言った。
「貴方のご自由だが、久しぶりに星にお戻りになったと思ったら、何故そんなに」

『後で』ドクターに伝えた。 
「ドクターのご心配はもっともです。なるべく早く済ませ、後ほど」とトゥーが助けてくれた。

皆の思いに出来うる限りの事をして応えたい、私の愛するこの世界の人たちを、
悲しませる為にいるのではないが、この世界でできる事は,かなり制限されている。

「ありがとう」
私は立ち上がり思いを込めて深々と頭をさげた。皆は私の思いを受け止めてくれた。

『リゲル皆に紹介したいが来られるか?』
皆に紹介するためにリゲルをここへ連れて来たのだ。彼を知れば皆、間違えなく喜ぶ。
『了解』と返事が返ってきたと同時にリゲルがフッと現れた。


<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 13

  • 2008/03/04(火) 16:59:36

<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 13

「おお〜っ!」
大広間の扉の前に現われた、倍以上の身長の巨人リゲルに思わず驚きの声がでた。
しかし同時にその瞬間、なんとも気持ちの良い穏やかなパワーがこの大広間に広が
り、リゲルを危険だと反対していた者も少し考えを変えた。

リゲルは片足を引いて、立てひざで「はじめまして、リゲルといいます」と挨拶をした。

「リゲル、お会いできて嬉しい。彼にご一緒して来て下さったことを感謝致しま
す」最長老トゥーが先ず挨拶をした。
「お城とは、ビックリしました。こういう所は初めてです」
リゲルは皆をキラキラと輝く美しい緑の目で、皆を見回してもう一度小さく会釈をした。
トゥは城の説明をした。
「ここは大昔王族の別荘だった場所で、そのまま復元したものなのです」

今回の長老会議には各代表者もすべて集まっていて、順に挨拶を交わした。

「ようこそリゲル」

「私は宇宙港で何度か貴方の星の方とお会いして、宇宙のどの宝石よりも美しいと
言われる皆さんの瞳には感動しましたが、リゲルは特に素晴らしい!本当に美しい。
それに貴方は抜きん出て大きいですな」

「ありがとう。一番でかい!ぉ大きいです」
思わずでかいと言った事で、好ましい笑いが漏れた。

リゲルが目を留めた少年が挨拶をした。
「私はランと言います。彼がここへ入ってこられた時に、すぐに貴方を感じました。
いつも護ってくれていたと聞きました。本当にありがとうございます。
彼は、この星の者にとってかけがいのない存在なのです」
そう言うとランはリゲルに握手を求めて手を上げた。

リゲルは少しビックリしたのような嬉しそうな顔で、ランを見下ろしている。

なぜなら異星人同士が初対面でいきなりの接触は、互いの影響を考えて
決してしないのが普通だ。まして彼ほどの巨人に何の警戒心もなく接触を求めて
くるのは子供ぐらいなものが、それはランの善いところで、リゲルにも共通している。

リゲルの大きな瞳は輝いてランを見つめ、身体を丸めてなるべく低くすると
握手どころかいきなり子供にするようにランを抱擁した。これにはランも周りも
少し驚いていた。

「くくくっ!ラン、私も危うくリゲルに抱きつかれそうになったが大丈夫かな?」
「ちょ、ちょっと苦しいです、でもとても優しくて暖かくて気持ち良い、、です」 
「あっはははっ」広間に皆の笑い声が響いた。

ランは恥ずかしそうにリゲルの腕の中で下を向いてしまった。
リゲルは周りの事など気にもせず、ランをその緑の美しい瞳で見つめていて言った。
「ごめん、君の気持ちが嬉しかったのでつい力が入った」そう言うとランを離して『ごめん。ランは素晴らしい人だ』と伝えた。

「リゲル、ここの人たちは心が柔軟だろう。気持ちはわかるがパワーの違いに気を
つけて」彼がリゲルに言うと
「わかった。これからは気をつけて抱きしめるよ。だが貴方を抱きそびれたのは
残念だ。ははっ!」

一同は冗談だと思いながらも驚いて声を上げた。
「はぁ?!」
「これは驚いた。はははっ!」

『どうもテンションが高いな。貴方の家で高かった影響かな?』
リゲルが心に話し掛けてきた。
『そうだな。暫くコントロールを意識した方が良い』

すぐ側にいた一人の女性がリゲルを見上げて言った。
「失礼でなければ、そのお美しい緑の瞳を少し見させて頂きたいのですが」
「どうぞ」リゲルは絨毯の上に座ると、背を丸めて顔を見せた。
「、、、なんて美しいのでしょう」
周りも暫し見惚れていると、瞬きを我慢していたリゲルが長い睫をパサパサさせて
瞬きをした。
「!ごめんなさい。見惚れてしまいました」
リゲルは笑顔で頷くと、背を起こした。

先ほどの緊張感はどこかに飛んで、広間の雰囲気は笑顔に満たされていた。

その中でランはリゲルの心に話しかけた。
『リゲル、彼の心は自在に影響できます。それをあえて私達に合わせてご苦労を
されている。未来の生命の為にと、、心配なのです』 

『彼はある意味頑固な方だ。誰も止める事ができない。実は俺、昨日生まれて
初めて、とてつもない存在に出会った喜びに感動した。彼はいったい、、
いつも一緒にいるのに、知らない事だらけだ。本来なら大概の事は自分の思い通りに、
いや、彼が望めばいつでもこの世界の支配、?』
『リゲル!!!』ランの心が叫んで、リゲルを止めた。

長老達は眉をひそめ、広間の空気は一瞬にして凍りついた。
「なんだ?!」リゲルは動揺した。
彼の横にドクター・ボォンとランがついていた。
「!大丈夫ですか」
ボォンが下を向いた彼の顔を覗き込むようにして聞くと彼が頷いている。

「俺が何かしたのか?いったいどうしたんだ」『、、、大丈夫か?』
周りの緊張感にリゲルは彼の側に行くのを躊躇うほどだった。

トゥーが静かだが強い意思でリゲルに伝えた。
『リゲル、君は知らないのだね?彼に対する言葉と思考に気をつけてください』

すると彼が顔を上げて言った。
「リゲル、これは私に問題がある」
ボォンは何かあわただしく部屋を出て行った。
「前よりかなり鍛えられただろう。ビクともしなく、、なりたいものだが。
それも危ないか」とランに笑いかけたが、
「何をおっしゃるんですか」怒られてしまった。

「俺が何をした?」
リゲルはそう言いながら私の所へ来て、心配そうに美しい緑の瞳で覗き込んだ。
『何だかよく分からないけど、すまなかった。さっきから変だぞ、どうしたら良い?』
その緑の大きな瞳は,微妙に色を変化させて情報を探りながら、パワーを変えて
フォローしてくれていた。
『大丈夫だ。この世界に存在する為の簡単なキーワードがあるだけなんだ。後で』

リゲルの暖かく柔らかで気持ちの良いパワーに、皆はうっとりしている。
広間にいる全員が、彼の本質の一部を知る事になった。未来への希望の命が
ここにも、つながっていたことを。
「リゲルもう良いよ。これ以上は皆、気絶してしまう」
リゲルは周りを見回してから
「貴方は大丈夫か?」と聞いた。
「ありがとう。ドクターが出て行ったが今戻ってくる」

ランはいつも私の心に寄り添って,私からこぼれた情報を受け止めてくれる。
何やら長老と話をしていたが、
「リゲル、君はなんという人だ。なぜ彼が貴方を連れて来たか少し解りましたよ。
リゲルの事をもっと知りたい。さあ皆さん昼食会にしませんか」

それを合図に、給仕アンドロイドが、テーブルに昼食とは思えない料理を次々と
並べていった。

ボォンは戻ってくるとケースに入ったいくつかの錠剤を見せた。
『まだ痛みますか?使えそうな物を選んできたのですが』
「ありがとう」ケースの上に手をかざし、すべて吸収した。

それを見たボォンは表情を変えた。
『そんなに怖い顔をしないで、皆が心配する』
「お側におります。後で必ず診させていただきます」と言うと後の壁の前にある
ソファーに座った。

「こちらヘ」とランが案内をしたが、ランは私とリゲルの間に自分の席を取った。長老達は頷いて見ていた。

リゲルは横に座ったランを見て
「ビッグパワーの俺と彼の間にくるのか。彼を守る為なら何時でも命を張るか、
凄い奴だ。ランをもっと知りたいな」
ランは困ったような顔をして彼を見た。

彼は笑いながら
「何かありそうだったら、リゲルをそのフォークでつっつけ。ラン」
「ぷっ!それは名案ですね。そうさせて頂きましょう」
リゲルは少しむっとした顔で言った。
「この星のテーブルマナーを勉強してなくて悪いが,フォークでつつくマナーは、
どこにもないだろう」

すると正面の美しい女性が言葉をかけた。
「ふふっ。美味しく食べていただければ結構ですのよ。この後子供達の所に
お連れしようかと思っているのたのですがご都合はいかが?」
リールが笑いかけた。美しいブルーの瞳の女性だ。
「都合も何も是非行きたい,子供は大好きだ」リゲルの心がこぼれだしている。

巨人のお客様はどれもこれも美味しいと、周りの人にもすすめながらガンガン
食べている。
「美味いぞ。『まだ痛むのか?本当にすまなかった』」

「『いや。リゲルが謝る事じゃないよ』料理も自慢できるだろう、楽しんでくれ」

リゲルは皆の心に浮ぶ次々と出てくる質問にも、何気なく話すように快く答えて、
楽しい昼食にしてくれている。
リゲルのこの星の人との交流の仕方は、絶妙でみんなの心をとらえた。

「ラン、リゲルをたのんでいいか」
「はい、もちろんです。私を抱きしめてくれたのは、親以外では彼だけですから」
それを聞いたリゲルが不服そうに
「貴方は行かないのか?子供が好きなのに」
「ボォンを鎮火させてから行くよ」
ドクター・ボォンは、後ろの壁に掛かった大きなタペストリーの前からこちらを
見ていた。心は硬く閉ざさし、その目は少し赤かった。

「なるほど、大爆発しない内に鎮火しておかないと、帰れなくなりそうだ」

『この星になら彼にあう鎮静剤あるだろ?』リゲルが、ランに尋ねた。
『ドクターが後で診てくれ、、』『後でか』リゲルが呟いた。

ランは先ほどの事だけではないと気が付いたようで、私に真実を求めてきた。

「さっき、ボォンが持ってきてくれた」心配そうなランとリゲルに言ったが、
『リゲル、ラン、ボォンには私が話す、大丈夫だ』
「、、、わかりました」ランの心が悲しんでいるのが分かる。
「悪かった、ランが一番心配していたな」
リゲルの心は、ランを優しく包み込んでいた。
「よくわからないが言動・思考にも気をつける。彼はかけがえのない存在だ。
俺も護りたい。ラン」
「ありがとう、その美しい緑の瞳は真実を伝えている。リゲルもまた、かけがえの
ない存在です」
「俺はセントラル・シティに来るまで、そんなふうに言われた事がない、ずっと
自分を偽って生きてきたからな」
リゲルの大きな瞳が輝きをまして、ランをジッと見つめている。
新しき出会いは、また運命的な出会いとなる。

ラン、リール、長老達はゲストのリゲルを伴って”子供達”が待っている
教育システムの見学ヘ行った。
リゲルを知った人たちは、いつのまにかその魅力に警戒心を溶かされてしまう。
今日は特別に休講という計らいになって、巨人のリゲルを全員グランドで待って
いるという。
グランドに着く前に、リゲルと子供達の心の交流がはじまっていて、
「馬鹿でか〜い!」『馬鹿は余分だぞ、こらっ』「わははははあぁ〜」
「本物の巨人だぁ」『一応そうだな』「きゃ〜!」
「こらこら、何を騒いでいるのですか?!もうすぐ着くそうです。
静かに待ちましょう」と先生が声をからしていた。


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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 14

  • 2008/03/04(火) 17:00:31

<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 14

城の地下深くに、この星の緊急時管理センターがある。
敷地から遥かに離れた都市の地下が入口で、ミントリア湖まで地下道が走り、チューブハイウェイを使って湖の水中へ入り、巨大な大地の裂け目の地下水路をとおり、巨大な地底湖の中に出るそこに緊急管理センターがある。
通常は数十人のアンドロイドが仕事をし、緊急時には10000体が人命救助等に動けるように待機している。

直通でこの城から入るのは、長老会議に参加しているメンバーのみとなっていた。
もちろん私の屋敷とも、つながっていた。そしてここのメディカルシステムには、残念ながらよくお世話になっていた。

ボォンは、私のモニターを見て呆れていた。
「先ほどの薬がもう効かないとは、、避けられるはずなのにどうして。治療の痕跡があります、どうなさったのですか?だから私達は、外へ行かれるのに反対をするのです」
「未来に同じ過ちを繰り返さない為にしたことだ。それに出来る治療は終わっている。その後にいくつかの事が重なった、そのせいだ。ボォンが思っているより、私は適応能力が飛躍したよ」

「先ほども前なら、意識を失っていたところですが、益々能力を飛躍させているのは確かなようです。リゲルが貴方に影響しているわけですね。しかしご自身を傷つける事に対して無頓着すぎます。それは過ちです。貴方は我々を一瞬にして治す事が出来ても私達には残念ながら、、、。このダメージを癒すのに、どうしたらよいか。せめて痛みを和らげることができれば」

「柔軟なはずの心の底にあるプレッシャーが、ブレーキとなってダメージを作るのだ。皆に心配をかける事も、ダメージを持つ事も、ある意味人間らしい。しかしそれはいくつかの事が重なってこうなっているのだが。この世界に別な形で存在できるなら、それでも良かったかとも思う」

「何をおっしゃるのですか!!元々貴方は並外れて繊細な方でした。痛みは心を蝕みます。少々お待ちください」と言うとパネルに触れて、ケースに入った物を持ってきた。

「今の貴方にはどのくらい調合すればよいか教えてください」
ボォンが差し出したケースに触れた。
「タイプはこれだけか?ダイレクトと長時間タイプでできるだけ用意して欲しい」
「ダイレクトで?!とんでもありません!」
「滞在区に入った時、ほんの僅かだが”ON”にしたがそれでこうだ。周りへの影響を考えるとまずい、少し時間がかかっているだけだ」と私のしてきた事とその理由を伝えた。

ボォンは後悔していた。目が涙で潤んでいる。
「そうせざるを得なかったのですね。お気持ちは解ります。しかし弱った状態では貴方の命にかかわります。、、すべての者に恨まれることにだけはしないで下さい」

「ボォンが恨まれてはいけないな。しかし私の適応能力は高い。少し時間がかかるが、そのうちこれも必要じゃなくなる」

「貴方の”少し、そのうち”は、我々のどの位なのでしょう。私は貴方の苦しむ姿だけを見ているのは耐えられません」
「、、、そうだな。ボォンが安心する私を見せなければいけないな。私の未来を見てみるか?」
「そんな事を?!例え本当の事でも、信じろという方が無理です」

「未来は不確定なもので常に変化する。限りある命として未来のため、今の一瞬に生きていくのは、生命として永遠の時を生きると感じる至福の時でもある。ボォンにはずっと心配だけをかけて来た。私の事をもっと知ってもらっても、いいと思っている。自身の苦しみ悲しみもすべてが生きるということだ。
生きる喜びの現われの一つとして私の中にあるのだ。私をそういう存在と思ってはもらえないだろうか?皆も同じなのだよ。悲しまなくていいのだ。
ボォンが悲しんでいる事こそ、私の悲しみであり苦しみなのだよ」

「貴方のおっしゃる事のすべてを、理解する事は出来ません」
「そうか。では”今はこの姿でいる時なのだ”と、思ってくれ。ずっと同じでいる生命はいないだろう。いつかボォンにも私の世界を少し見せよう。私の言った事の意味や喜びがわかる」

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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>  15

  • 2008/03/04(火) 17:02:22

<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>  15

セントラル・シティのセクション1が、まだ交流のない未知のK銀河の探査に向かった。ここに知的生命体が存在する事は、この銀河が宇宙に発している電波で知ることができる。文明の程もいろいろであり、その危険度も分かる。友好的な生命体と出会いたいと願うのは、皆同じであろう。

コンタクトするための条件は厳しく定められている。先ずはこの銀河に侵略的で危険な文明がないかを調べ、その後に外周を周りながら、文明とコンタクトを取るかを決めていく。
我々が外見上それほど特殊でないこと、後は重力・空気・病原体等、それぞれには、何の影響もない事でも問題を起す事があるため、厳重に調べた上で調査メンバーを人選する。


宇宙に存在する文明は、その数だけの多様な歴史を刻むが
”危険な文明は、銀河を超えて旅をするようになる者達にはなれない。
なぜならその危険な性格ゆえに文明は、自らを滅ぼしてしまう”からだ。


ここには、小さな小競り合いはあっても、大規模な惑星間戦争などしているところは無いようである。
惑星間交流と小規模な連合体をもっている文明に、いやな予感がしたのでボスに報告した。
5人で、先ずW星に行く事にした。惑星軌道上にシップを置いて4人で地上に降りる。
リゲルはその目立ちすぎる体型からシップで待機する事になった。

この星は、環境的にかなり悪い状態に進み始めている。住人たちの努力で復活できると思われたが、ここの人たちの目は、すでに宇宙に向いていて、近い星々に移住し、惑星連合に加盟していた。

宇宙港で一応登録してあった方が、後々シップでの移動はしやすいので、あえてチェックを受ける事にした。
コンピューターに頼り切っている世界は簡単でいい。私が最初にチェックを受ければ、コンピューターに接触してきた瞬間に、この星の情報、惑星連合の情報等必要な物をもらい、情報の書き換えと我々の登録も済む。ただしこれは、あくまで期間限定のもので我々が去るときは、元の情報に戻すことにしてある。

「登録にない型の船ですが新型ですか、いいですね。滞在期間3日となっておりますが変更があればお知らせください。管理区以外は、ほとんどがマスクの必要なところですので、お気をつけください」

「ありがとう。この船もそのうちに多く見られるようになるんじゃないかしら」とベガが、嬉しそうに話しているうちに無事宇宙港でのチェックは終了し、晴れて惑星連合の加盟国の者としての、フリーパスをもらった。

ノルドとベガも同じ星ということにした、ガッシュも大きな身体を持っている。私はガッシュより身長が高いので別に適当な星出身と言う事にした。リゲルよりは低いのだが。

このとき軌道上のリゲルが自分の姿を倍の8m越えにして、ここが騒ぎになっているイメージを送ってきたので皆で笑った。

この宇宙港のある大都市、タルトの人々とのコンタクトからはじめた。情報を得るための常套手段は裏だ。早速表の世界では、暮らしていけない者達の地下都市へ行った。ここに、明らかに違法入国の異星人とわかる者が多く、この星にいるはずのない反惑星連合の者もいた。あらゆる情報で溢れていた。

いかにも臥体のいい男が向こうからニヤニヤしながら来た。
「オイ、そこのでかくて綺麗な兄ちゃん、美人な彼女と二人連れじゃ目立ちすぎるぜ」
「2人じゃない、4人だ」
「ふん、男3人か。ボディーガードか?別嬪さん、へへへっ」
「ここに来る位だ、変な考えはしない方が身のためだぞ。彼女はべらぼうに強い。くくっ」
『彼は偽装パスだ』
「あら、べらぼうは余分だわ。ちょっとだけ。でも移動はお得意よ、異星人さん」彼女の手には、彼の偽造パスがあった。
「な、なんだよ。返せ!」と言って彼女の手からパスポートを奪い取って、逃げていってしまった。

「彼には知りたい情報がたくさんもらえたし、ここにいる人々からの情報で、確実にそう遠くないうちに、戦争を起すつもりだと言う噂が立っているようだ。かなり危険な状態で戦争を先導している者達がいる、そこへ行くがその前に寄る所がある」
「病院ですね。ここじゃまともな治療を受けられない人々だらけだ。余分な物をもらっては危険ですから気をつけて」ノルドが言った。

我々は誰もがそれぞれ持った能力で人を癒す事ができるが、ノルドはメディカル・センターの医者でトップの実力を持っている。このミッションに参加するまでは、他の惑星系の新メディカル・システムの構築のために、呼ばれて留守にしていた。

私の指定した所にベガのテレポートで移動した。
「ここは、病院じゃないわ」
「裏世界の病院にさえ入れない人たちの隔離施設のような、、、ひどい」
立ち止まったままだったので、ガッシュは「このままここで?」と私を見た。
この施設にいる528人の生命に影響した。

この最悪な環境での生活を強いられている人達の、免疫力とポジティブな精神に影響した。
「さぁ、上の病院へ行こう」
「そんなことして、大丈夫なのですか?」
「星丸ごとじゃない、大丈夫」
「星!、、、」
『メディカル・センターにいる時より遥かに多くの人を救う事ができますね』
ノルドの声がした。
『生命体のいない、宇宙空間にいる時以外は どこにいてもだいたい同じだよ』
『そうでしたか』 

宇宙港に程近い、惑星連合総合メディカルセンターに来た。さすがに異星間交流が盛んな事だけあって、多くの生命体の情報がある。未解決の不治の病、風土病他厄介な病気は、いろいろな星と交流する中で蔓延し、また逆に意外な方法で解決している事がある。

私の情報を伝えられる範囲で、コンピューターの中から、偶然に見つかったようにセッティングする。

タッチパネルで受付をし、中央コンピューターにつながる体調を調べるセンサーの所に来て機械に触れながら、順番待ちをしている人に話しかけた。
「お大事に」
「どうも?」

たくさんの不明な病が惑星連盟の中で蔓延しつつあった。本当は戦争などをしている場合ではないのだ。
『ノルドここでは後で病との戦争になりそうだ充分に注意が必要だ』しかしこれはあとで不明なまま根絶してしまった。私の少しのOPENが影響した。

「ねぇ、ここは惑星連合の病院でしょう、誰か問題の関係者が入院しているって事はないの?」
「ベガ、君はすばらしい!女性の直感には、時々驚かされる、、、、」
「規則違反だが、あったぞ」
「すごい!それで?」情報は、コンパクトに伝えられた。
「ベガ、サウス53Fの010号室だ」
「惑星間戦争は第1級緊急事態のひとつだ。ここからは完全にコントロールさせてもらう」

中には、警備の者が3人と部下が2人そして、心も身体も末期状態の狂った指導者の一人がいた。
うつろな目で、天井を見ていたが、私が話しかけると「誰だ!どこにいる!」思いのほか大きな声が出た。このぐらい、元気が出るようならば結構。部下達は一瞬慌てたが誰もいない。
警備の一人がセンサーで調べようとしているが、それも無駄だ。

『戦争は避けなければならない。残りの時をその為に使え』と彼にインプットし、私達は宇宙港に戻った。
彼の部下は短い時を惜しむように彼が平和主義者に変わっていくのを見ることになる。
暗殺などされては困る。大いに影響力を発してもらいたいので、NO2も周りのものもすべて同調するようにした。

「ずいぶんと早いですね。予定の変更ですか?」
「えぇ、医者が2人とも緊急呼び出しで。医者となんか来るんじゃなかったわ」
ベガは、魅力的な微笑で言った。

「美しい方には何度もお越し願いたいものです。行き先はセントラル・スペース
ステーションですね」
「そうです」

リゲルの待つ軌道上のシップへ戻り、セントラル・シティに報告した。
リゲルは話を聞きながら
「う〜む、ついでに全部コントロールして戦争回避は出来ないのか?」

「そうだな、それぞれの指導者と部下、武器商人、裏世界のその関係者か」
「何千人どころじゃないかぁ」
「きっと誰よりも、そうしたいと思っている。しかしこれは禁止条例違反になる。我々は、決して宇宙の支配者じゃないのだリゲル。戦争回避の為の平和の種を植える事が仕事だ」

「わかっているが、人命第1優先だ。難しいな」
「戦争回避に全力を尽くした上で、緊急に助けなければならない人たちを救うのが仕事と言う建前があるが、緊急事態は別で禁止条例違反もするのが本音だ。この世界では同時に、このようなことが多くの場所で起っているのだ。一人でできる事には、限りがあ、!!!『リゲル、ONだ』」

私の情報を受け取ったその瞬間リゲルの瞳は、燃えるようなオレンジ色に激変し、二人とも宇宙空間にいた。
「リゲルの瞳がオレンジに」 
『ベガ 行け!』 
ベガ達は惑星連合圏の外へ待機した。


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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>  16

  • 2008/03/05(水) 00:56:31

<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>  16


反惑星連合・GK星の都市近くで、核の”悪魔”が大爆発したのだ。それは、他からの攻撃に
よるものではなかった。
リゲルは、被害を最小限にする為に、爆発の巨大な力を垂直方向の宇宙に向けてコントロールし、
彼自身が白熱していた。
『宇宙空間に放出できるか?』
『OK、遠くへだな』

その瞬間に生きていた人たちを含む、すべての危険地域の人々を安全圏まで移動した時、
この人たちの生命を維持する為に、すべての人の命に触れた。

得た情報の優先順位をすべて変更し同時に爆心地の、放射能”悪魔の息”の除去、
この惑星連合に関係する、大量殺戮兵器・惑星破壊兵器、、、、。
悪魔すべての息の根を止めて置かなくてはならない。

ほぼ同時に我々が行くことになっていたセントラル・スペース・ステーションの一部が吹っ飛んだ。
出来うる限りの生命を安全な所へ移し、ステーション内の危険物チェックOK。
今やっと、外からの攻撃に対するバリアが張られた。

惑星連合総合メディカルセンターに入院していた者に敵対している、複雑に存在するいくつもの
勢力が、覇権の奪い合いをはじめたようだった。

『リゲル次は地上の生命たちの救助だ。リゲル!』

リゲルは、怒りで白熱したままであった。チッ!
通常テンションを遥かに超えている。ONの影響も強いようだ。

『リゲルしっかりしろ!時間が無い!』
『、、、凄い』
『凄いのはリゲルだ。このレベルのONを生命体に使ったのは初めてだ。さぁ、行くぞ”!』

上空から放射能を除去をし地上へ降りた。
それが済んだ時点で、ベガ達にノルドを中心に人々の治療にあたってもらった。

私とリゲルは危険な状態の数千人を診る。
「いったい最初の瞬間にどれほどの人々が亡くなったのだろう。何でこんなものをもつ必要があるのだ」
リゲルの瞳は、怒りの色に変化していた。

「いや、亡くなった人は、まだいない筈だ。しかしこんなに多くの人が命の危険にさらされてしまった。
残念ながらこの世界での限界だ。破壊兵器はすべて使えなくしてあるから、自然災害以外の
緊急事態は、この惑星連合系で暫く起らないが、地下組織で武器生産をし始めれば、きりが無い。
後の必要な情報は、皆に今伝えた。ここが終わり次第、次ぎの手を打ってくれ。
リゲル、君が恐ろしくタフでよかったよ」

「亡くなった人はいないって、知ったその一瞬にすべての命を救ったのか?」
「安全な場所へ移動する時、生命に触れた。その瞬間に脳波が残っていれば、どんな状態でも
その人たちは、私が離さない限り死なない。しかし無傷で救う事が出来なかった、それが限界だ。
何のために、、、くやしい」
「おい!今、数千という人の、生命を支えているのか?いくらなんでも危険だ!」

「リゲルの言うとおり、私が非常事態モードだ。少しOPENにするが影響がある。
悪いがすべてコントロールさせてもらうぞ。早速、禁止条例の大幅違反だ」
「ONじゃなくてOPENかよ!ここでは使えないのでは?」
「影響が大きい。一瞬それもほんの僅かにだ。使いたくないが仕方ない許してもらう」
「許してもらうって?」
 「リゲルや大切な人たちと、自分に。結果的にそうなる」 
「それが答えか? 相変わらずだ」
リゲルは、何か変だと感じていたが、次第に不安が大きくなるのを抑えられなかった。

「リゲルは、数千人プラス私を支えている事になる。まだかなり高いな、少しそのままでいられるか?」
「OK。貴方が大丈夫ならもっと上げるが」
「いや、リゲルには、この後やることが山ほどある」


リゲルは次ぎの瞬間、どうしようもない高揚感と生命の爆発のようなエネルギーに触れたように感じた。
そして、目の前で起る数千人規模の肉体の再生が真実であるのかと、頭をめぐらしていたが、
自分の能力が封鎖され、夢を見ているようだった。

『終わった、リゲル』
「、、、あぁ」
「気分はどうだ?」
「、、、わからない」
「大丈夫そうだな。リゲルの吸収能力は想像外だな、すぐ能力を封鎖した。今はまだ処理範囲を超える、
この後使い物にならなくってどうする。しっかり見極めてコントロールしろ、、、、」
「、、、すまなかった」
『ノルド達のフォローを、、、私は、もう使えない』
「使えないって?」
リゲルが、私の身体に触れようとして手を伸ばしてきた。

『触るな!!後の事、頼む』
                          
                           *

セントラル・シティは、リアルタイムで送られてくる情報が突然途絶えてから、核爆発以外に
次々起る膨大なエネルギーの発生源が何かが解らずにいたが、リゲルのコンタクトで騒然としていた。

『彼が外へ飛んだ。説明をしている場合じゃない!安全を確認できたなら、すぐにもメディカルセンターを出動させろ』
「メディカルセンターの件、了解。彼が外へって、どこかわかるか?」
『解るわけがない、目の前で消えたんだ!たぶん、この世界じゃない。急げ!』
コントロールルーム全体に衝撃が走るほどの強いテレパシーだった。

メディカルセンターは、この銀河の外周軌道から、我々のいる恒星系の周回に入ってきている。
もう少しで、ノルド・ベガ・ガッシュを開放できる。
暫くリゲル以外は、メディカルセンターで、医者として使い物になるまで少し休養だ。


リゲルは、セントラル・シティのメインコンピューターに報告を入れたが、エネルギーの詳細に
ついては、自分でも始めての事なので、解らないとしか答えられなかった。

そして彼のOPEN時エネルギーの事について質問したが、
[OPEN、記録されていない。ただ生命体すべてが一瞬、高揚したまま空白状態になっていた。それに関係あるのか]と逆に質問されて、
「そうかもしれない」と言うリゲルは曖昧な返事をした。
「!それは、セントラル・シティでの事か」と聞くと
[そうだ]と答えた。

この銀河の外周にいるセントラル・シティで?
このあとで彼が託した仕事の続きをする為の行動予定と、新たなメンバーの人選、
そして彼の捜索に行く許可を求めた。


リゲルは、私とは大きく違う、この世界で今、自在に自分の力を発揮し始め、遠回りなことをやって
いる暇はないと、すべてを一瞬に終らせようとしていた。しかしパワーの影響力の大きさに、
いくつかの遠回りを強いられたが、例の入院患者の影響力も捨てた物ではない事が分かって、
惑星連合の安全に協力をする事を約束し、私の捜索に単独で飛んだ。

単独行動は厳しく罰せられる事になるが、リゲルは長時間続く緊張でパワーが高くなりすぎていて、一緒にいける者がいなかったのは事実だった。
リゲルという生命体は、経験と共に急速にレベルUPしていく存在だった。
どこがリゲルの限界なのか、計り知れない。
しかし、まだまだ経験を積んで貰わねばならないのだ。



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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>  17

  • 2008/03/05(水) 01:24:51

<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>  17


リゲルをはじめ、セントラル・シティの主だったメンバーが、常時私にコンタクトを求めていた。
完全OFFの状態なのに、大事な人々の心の叫びは、眠りの深海の底にある、
硬い岩盤の扉を突き抜けて、、、、。

『静かに、、緊急か』
『!!どこにいるのです?大丈夫ですか!』
『皆 21Dもの間、貴方の事を心配していました』

『   21D、、、起きろと言うわけか、、 分かった』

それから、さらに3D、コンタクトが取れない状態であった。
しかし皆は彼が生きてどこかにいる事を知って安心した。

                         *

25Dの午後、突如生命をいとおしむような懐かしく暖かいエネルギーが全身を包み込んできた。

コントロールルームにいるすべてのメンバーが、彼だと気づいた。
「ボス、メディカルセンターだ」リゲルは、ボスとメディカルセンターへ飛んだ。

センター内のキッズルームの前で、彼は目を瞑って壁にもたれて床に座っていた。 
「なんでここに!大丈夫か?」リゲルも床に座り込むと彼をそのパワーでフォローしはじめた。

ベガ・ノルド・ガッシュも慌ててやって来た。
彼は、嬉しそうに微笑んでベガ達に礼を言った。
『4人に後の事を押し付けてすまなかった。元気な顔を見て安心した』

「多くの人々を助けていただきました。ありがとうございます」
ベガはあまりに多くの出来事を一瞬で経験した事を、なんと礼を言って良いか分からずに、泣いていた。
『ベガ、分かっている。大変だったね、ありがとう』

『、、、無理やり起されて戻ったが、緊急事態でもなさそうだ。 子供達は良いなぁ、リゲル。
ここに私の部屋が欲しい、、、』

「そんな、泥酔状態のような奴は危なくて駄目だ」
「リゲル!口を慎め」ボスがリゲルに言った。
「リゲル、集中治療室へ!」ドクター・ノルドは彼の様子に緊張を隠せないでいた。

「アッ、リゲルだぁ〜」
キッズルームで車椅子に乗って遊んでいる子供が、リゲルを見つけて立ち上がると
通路の窓の方に向かって行った。
そこにいた数人の看護士はびっくりして、その子供たちに駆け寄った。
キッズルームの中はリゲル!の大合唱だ。
ほぼ全員に退院許可がでる状態になっていた。

リゲルは子供達の声に振り向くと、ニヤッと笑って手を振った、
「また、後でなぁ!やばい。行くぞ」

リゲルは私を、そのパワーで包み込んで、特別室へ運んだ。

『リゲルと子供達は良い。とても気持ちが良い、、、 眠らせてくれ』
「ああ、しばらくノルド以外の医者達を止めておこうか?」
リゲルが、顔色が悪い彼を覗き込むようにしていった。

『心配をかけた、、、自由に』
「珍しい応えだな」
『ボス皆に、後の事ありがとうと伝えて欲しい』
「分かりました。酷く無理をさせてしまったようですね。本当に申し訳ありません。
しかしメディカルセンターでいいのですか?貴方の家のほうがいいのでは?」
『、、、今はここに 』
「分かりました。リゲルたのむぞ」ボスは、ドクターと入れ替わりで出て行った。

「少しでも役に立つでしょうか」
ノルドは状態を見るためにモニターをセットしたが、他の医者が、「モニターにでません」と伝えた。

「彼自身がOFF状態だ」リゲルは指先で私に触れていた。
「リゲル、君のパワーが一番だということはわかっているが、何かできる事がないか」
「ん、、、。冬眠中の動物のようで、すべてが低いレベルだな。彼は、まだ眠いんだ。
25Dも経って戻って来たのに、まだ消耗がこれほど酷いとは、、」
「もっと時間が必要だったのですね」ドクターの一人が言った。
「そうだな。“もう休んでいいか”と聞いているぞ」

リゲルの心に、かすかに『疲れ、、た』と聞こえた。
「早く!」
ノルドと2人のドクターが、生命維持装置のセッテングを急いだ。
彼のリストバンドにチューブが複数繋がっていくのを確認した。
「ゆっくり休んでください。リゲル、私もここに居たいが、2人だけのほうがいいか?」
「そうだな。俺がついている。ノルドが、こっちに来る時は声をかけてくれ」
「わかった。頼む」


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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 18

  • 2008/03/06(木) 19:38:27

<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 18


それから6D目の早朝、突如少しずつ彼の状態がモニターできるようになった。

さっそくドクター・ノルドが
『リゲル、モニターに出始めたが何か変化は?』と聞いて来た。
『まだだ』
『分かった。もう少ししたらそっちへ行く』

それから数分後、彼の意識がフッともどった。
『やはりリゲルか、、おはよう』
「やっと、お目覚めかな」

「ずっと付いていてくれたんだな。ありがとう」
彼は身体についている物を、全部はずしてモニターを止めた。

「!突然そんなことしたら、モニターを見ているノルドの心臓がとまるぞ」
「ノルドにも、おはようと伝えた大丈夫だ。今ここへ来る」

個室の3重の厚い扉が開いて、ノルドをはじめとする医者達が入ってきた。
「皆さんおそろいで回診だ」

彼は目が醒めてから驚異的な勢いで回復し始めていた。
「おはよう」
「モニターを止めるのが早すぎます」
「モニターのセットままだったら、壊れている」
「そこまで戻ってきているのですか?それは、、良かった」
「ドクター・ノルドまだ調整中だが」と彼は手を差し出した。
ノルドが手に触れると彼が心に話しかけてきた。
『心配掛けた。ありがとう』

すぐに手を離したノルドが小さなため息をついて
「急速に変化を続けていて、これでは確認どころではありません」
「そういう時は、わかるようにしてあげないとな」リゲルは、嬉しそうだ。

「ノルドどうなんだ?」センター医長が聞くと
「通常のレベルに戻りつつあるというところです」
「そうか。キラン、前に来なさい」センター医長が言った。

一番奥に、美しい黒髪を後ろで一つに結んだ若い女性がいた。
彼女は彼の星からやってきた医学研修生だった。
目を赤くして涙を必死でこらえてこちらを見ている。

「はじめてだねキラン。貴女の心は届いていたよ。とても良いパワーだ。
心配をかけてしまったね。ここへ」
彼は優しく微笑むと彼女を呼び寄せた。

その時、彼のなんとも美しい微笑みに、ほぉとため息がもれた。
誰もが目を離せなくなっている。

キランは彼の前まで来ると片足を引いて右手を胸にお辞儀をした。
「どうしても心配で、申し訳ありませんでした。私はドクター・ボォン門下です」
そこまで言う間に、大きな涙がポロポロとこぼれた。

「謝ることはない。キランは必ず立派な医者になれる。できれば医学全般に
渡って学んで欲しい。キランが、受け入れられるようになった時、いつか私の
情報を分けてあげよう」
「はい、ありがとうございます。必ず良い医者になります!」

センター医長が優秀なキランに微笑んでいった。
「キランは大変優秀ですが、そんな能力もあったとは。キラン一緒に学ぼう。
是非私達にも貴方の情報を、センターの医師全員が努力する事を
お約束します」

「それは良いが、リゲルに患者を預けて勉強することになるよ。
S・S・コンピューターを超える機種開発は、遅れているようだし、できれば
ポルキシアンで使われている物位は最低欲しいのだが、まだ少し先だな。
メインコンピューターを極秘でバージョンUPするというのはどうかな」

彼がリゲルを見あげると、リゲルはニヤッと笑って頷いた。

センター医長は首を少し傾けて
「ポルキシアン?勉強不足です。どうも努力という話ではなさそうですね」
「ポルキシアン銀河、民族と文化の多様性が面白いところだ。いつか話そう」

ボス、ベガ、ガッシュが入ってきた。
「もうよろしいのですか?途中で起してしまって申し訳ありませんでした」
「徐々にというところだ」

「徐々に、、、、」ノルドが呆れ気味に言った。
「そう徐々にだ。ここも定員オーバーなほど人がいるし、扉の外にも皆が
集まっていては、多少有効な ”ON”もできないだろう?
ところでリゲル、寝坊の私が起きたと、シティ中に伝えただろう。皆から質問
攻めだ。ここにいては、静かな目覚めは期待できないな」

心配をかけていたのだ仕方ない。
<心配をかけましたが、寝坊の私もしっかり目が醒めました。ありがとう>
とシティ内にメッセージを伝えた。

ノルドは、リゲルを睨みつけて言った。
「リゲル!回復にはそれぞれ時間がかかるものだ。退院が決まってから発表
するのが常識だ」
「ん、そうだな。すまなかった。ノルドは医者の時は怖いな」

「リゲル当たり前よ。でも皆のホッとした心が伝わってくるわね」
ベガがリゲルを見上げて言った。

「これから暫く、静かな我が家で調整したいが良いかな。ボス」

「ここはあまりにうるさいかも知れません。静かなところで休養なさる事も
必要でしょう。ドクター・ノルド、どうだ?」
「そうですね。でも一人で、、、」

彼は少し首を傾けて、入り口に目線を移すと
「一人の方が負担はない。私にとってはそこの扉に歩いていくより近いんだが」
「貴方の主治医には、2度とシティに行ってはいけないと怒られる事に
なりませんか?申し訳ありません」医長が言った。

「キランの先生は、私の怖い主治医で一番の難関だな。顔を出さないに限る。
キラン内緒だよ」
キランが頷くのを見たリゲルは巨体を揺らして笑った。
「たしかに怖い。がぁはははっ!」
「リゲル、大声で笑うな」
皆クスクス笑い出してしまった。

リゲルは皆の頭の上から
「さて、家に戻る前に調整していくんだろ?ほんの少しの”ON“でも、ここでは
絶対無理だからな」
「リゲル、我が家に戻るからいいのだ」

するとノルドが皆に言った。
「皆さんはこの部屋から出て、扉の外にいる人も含めてこのブロック内の人は
すべて、すぐ出てもらってください。”ビックパワー“二人の会話も小声で、
ブロック内で収めてください」
「くくっ、ノルドの言う通りだな。リゲル」

「では、お元気で戻ってこられる事をお待ちしております」
ボスの言葉を合図に皆、彼に挨拶をして出て行った。

ノルドは扉の前まで行ってから戻ってくると
「深い眠りから覚めて、まだ十数分しかたっていないのに、あまりに急に上げ
すぎていませんか?負担がかかるのではと心配です」ノルドの意見だった。

「少しでも早く、通常の状態に近づけたい」
「それでは、医者を納得させる答えになっていませんが」

「そうだな、私はリセットが必要になった。私が耐えられる範囲ならあえて
超えなければならないことが、この宇宙にはたくさんあるのだ。
気の遠くなるような遠回りをしてでも、少しずつ伝えて行くしかない。
皆にも出来うる限りの経験を積んで、能力を飛躍させてもらいたい。
伝えたいことはあまりに多いのだよ」

ノルドは目の前にいる彼という”人”の存在が、どれほどなのだろうと思った。
「リセットですか、、、どうかお元気でお戻りください。リゲル頼むぞ」
「もう良いだろ、行け」
言葉は悪いが、リゲルの美しい緑の瞳は優しい。

ノルドが出て行くと、リゲルは、やっと静かになったと言いながら
「出来るならまとめて伝えられないのか?まったく気が長いんだな。
S・SコンピューターのバージョンUPを貴方がやるとしたらどんなだろう。
いつか見てみたいもんだな」

「そうだな。リゲルの想像した、まとめて伝えるという範囲が指の先だとして、
今の私の情報量は握りこぶし程度と想像しなかったか?」

一瞬リゲルは頭をめぐらしたような表情をしてからニヤッと笑った。
「わかったよ。どうせ星とか、銀河大とか言うんだろ。どんだけだよ」

「握りこぶしから一気に銀河までか、遠くは無い。多くは未来に役にたつ事だ」

「げっ!とんでもないぜ。例えいくつか受け取っても、理解不能だろ?」

「宇宙自体が常に情報を発信し続けている存在だから、しょうがない。
必要な時に解れば良い。その時役立つように、鍵を皆に渡すようなものだ。
鍵一つなら多少違っても誰でも持てるだろう。時間をかけて道は、未来に
繋がって行く。その平和への道がより良いものであればいい」

「今だけでなく、未来に生きているのか、いいな」
「そう、遥か時の流れの中で、一瞬を生きる生命として間違えなく誰もが未来
に影響している」

横にあるモニターをONにし、その上に手を置くと、メディカルセンターのメイン
コンピューターへ侵入し、セントラルシティ・シティのメインコンピューターである
S・Sコンピューターに割り込みをした。

ポルキシアンで使われているコンピューターには遥かに及ばないが、技術的に
使えるものは利用した。メインコンピューターがフル稼働し始め、コントロール
ルームは突然の制御不能に大騒ぎになった。
すぐにセキュリティーから、メディカルセンターのモニターからの進入が分かるだ
ろうが、新しい情報量はメインコンピューターの空きの容量をを大きく超えている
という矛盾にスタッフは混乱するだろうが、それもすぐにコンパクト化される。

セキュリティ・スタッフに対するお詫びと、変更の簡単な説明をメッセージにして
入れて置いた。

モニターから手を下ろしてリゲルを見上げると、ニヤニヤしてみている。
「向こうで騒ぎになっているようだけど?」

「リゲルありがとう。後でメインコンピューターとコンタクトを取ってみると良い。
少しだがバージョンUP完了だ。ボスには私が勝手にした置き土産だと言って
代わりに怒られておいてくれ。さてそろそろ行くよ」

「いきなりだな、、、行くって本当に家なのか?」

「残念だが今私に必要なものは、まだリゲルの世界のものではない。
しばらくは私から声をかけることは無いが心配は要らない。皆の成長を楽しみ
にしている。君達は素晴らしい、自分自身を信じろ。私たちは互いに影響しあ
っている。それは思った以上に鳴ってしまった。情報は思い出せば良い。
どうしても私が必要だと言う時は、また無理やり呼び出せ」

「何故そんな、、、、暫くというのはどのくらいの事なんだ?家ではなくて貴方の
世界へ戻るのだろう」

「私も始めての事だから分からないが、そう遠くない、、、リゲルに私の世界の
入口を見せよう。外を見てごらん」

リゲルは窓の外に目を移すといつものように星々が輝いていた。

見慣れた景色だったが、突然宇宙(そら)が揺らいだ?!


リゲルはそのまま意識を失っていた。

この日、メディカルセンターにいた患者は、一気に退院ラッシュとなり、
リゲル一人がここで寝ている事になった。





<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 19

  • 2008/03/08(土) 20:40:34

<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 19


リゲルが目覚めた時、メディカルセンターと、セントラル・シティの主だったメンバ
ーが歓声を上げた。

「お帰りリゲル。4Dも眠りつづけていたんだぞ。彼がリゲルにお土産を残したか
ら伸びているが、自然に目覚めるまで休ませてくれとメッセージをくれた。
その時からメディカルセンターに患者はいない、ガランとして静かなものだ。
ただ一人寝ている、でかい奴がいたがな」ノルドが嬉しそうに言った。

リゲルの美しい緑の瞳に輝きが戻リ、微妙な色の変化が激しく起っていた。

「どうした?」

リゲルは長い睫をパサパサさせ、興奮した様子で言った。
「すごい!、、、すごかった!」

「何が? やれやれ、寝ぼけてないか」
皆一斉に笑った。

「よく解らない、でも彼が帰る時に一瞬だった。猛烈に光と生命が溢れて飛び
出して来た、、どう伝えていいか。あれが入口って」

「おい!落ち着け。パワーも心拍数も上がっているぞ。一般人がいるんだからな
気を付けてくれよ」
ノルドが冗談半分に笑った。皆にも興奮が移って笑いが止まらない。

「ん、大丈夫だ。皆も見たのか?」

「いいや。だが我々もほんの一瞬だったが、凄い生命エネルギーを感じた。
パワーがまだ上がり続けているぞ!心配してたくさん人が来ているんだ。
影響を考えろ気絶させるつもりか」

「あぁ、悪かった、、みんな大丈夫か?」元のリゲルに戻っていた。

「私とガッシュだ。ガッシュは問題ないとしても、医者の心拍数上げてどうする」

「ノルドが?」リゲルは少し驚いたようにドクター・ノルドを見た。

「リゲルには遥かに及ばないが、私も経験を通して自分をUPするタイプなんだ!
彼とリゲルの影響でこれでも飛躍したんだぞ」

「そうか、ノルドも彼の置き土産か」

ベガも興奮して、美しい薄紫の瞳が輝いている。
「リゲルは凄い体験をしたのね。私達にも貴方の興奮は十分すぎるぐらいに
伝わったわ」


ボスが腕を組んでニヤッと笑った。
「リゲル貴重な体験をしたようだな。ところで何か報告する事があるだろ?
大変な騒ぎになっていたんだぞ」

「?ぁメインコンピューターの事か。彼が置き土産だと伝えてくれと言っていた」

「彼以外に考えられないからな。数千人の人々が暮らすシティのメインコンピュ
ーターがいとも簡単に、メディカルセンターのモニターから侵入できた上に、
今までの物と比べ物にならないほどの情報が、一気にコンパクトに入れられた
んだ。セキュリティーに彼からのメッセージがあったが、どれほど凄い方なのか」

「そう!すみませんでした。代わりに怒られとけと言われていたんだ」
リゲルはぺこりと頭を下げた。

「ははは!」皆が笑っている。

「代理か。では一応、勝手な事は困る。後はありがとうだな。この4Dの間、
ありとあらゆる人が、コンピューターと接触し皆興奮しているよ。ともかくすごい事
になっている。後でリゲルも見てみると良い」

「ポルキシアン銀河と言う所のコンピューター程度が欲しいと言ってたが
ほんの少しだけUPしたって、、、面白そうだな」

「あぁ、彼のほんの少しなんだろうな、そのポルキシアン銀河の科学は、
とんでもないようだな。しかし皆の興味は圧倒的にリゲルの方なのだぞ。
元々大変なパワーのリゲルがどんな変化したのかとな」

皆頷いてリゲルを見ている。

「今のところ特に何も?彼は思い出せば良いといっていた。
普段は分からないのかもしれないな」

「そうなのか」「本当か?」
ボスとノルドが同時に言うと、リゲルは首を少し傾け、
「たぶん」とだけ言った。

「皆今聞いた通りです。最終メディカルチェックをするので解散してください」
ドクターが言うと一斉にガヤガヤと騒ぎ出した。

「なんだー。リゲル出し惜しみするなよ」
「なんか思い出したら聞かせてくれよぉ〜」
「リゲル、これからが楽しみですね」

「それは後の楽しみだ。ほら入り口に溜まってないで出てくれ」

皆口々に言いたい事を言いながら、この部屋から出て行こうとして扉が開くと
通路にいた者たちから歓声が上がった。

「これからメディカル・チェックだそうだ。リゲルも今は何も分からないらしい。
これからなんだろう。全員解散!」
ボスが追い払うように言った。

扉が閉まるとリゲルはノルドに目を移した。
「皆も凄いことになっていたんだな。もうメディカルチェックやらなくていいだろう」

「いや、お前のコントロールが完全じゃないと、ここにはいられなくなるぞ」
ノルドは自分の胸に手を当てた。

「まだ?すまないな大丈夫か」
「魅力的な君の瞳に、ドキドキしているんだぞ」ノルドがニヤッと笑うと

「誰がだよ!ん〜もう少し寝てれば良かったかも」
リゲルは小声でブツブツと言った。

すると医長が別の医者にノルドを診るように指示した。
「もう大丈夫です」
「いいや、リゲルのパワーを受け止めるなどと言う事は、彼しかできない事だ。
ガッシュのおかげで気絶せずにすんだ。少し部屋で休んだほうが良い。
ここのスタッフは、より完璧に近い状態で仕事をする規約になっているはずだ」

「わかりました。リゲルコントロールには気をつけるんだぞ。ガッシュ頼む」
「あぁ、わかった」
ノルドは親友ガッシュに後を頼んで、同僚と部屋を出て行った。


「皆に彼からのメッセージが入っている。私にはリゲルと触れて欲しいとあった。
良いかな?」と言うとリゲルの大きな手に触れた。

「リゲルは本当に気持ち良いパワーだな。これで多くの人を癒してくれる。
もう安定したようだ、大丈夫だな。何かあった時にどう対処するかは経験による。
いままでは彼がある程度コントロールでもしていたのだろう。これからは
皆が影響を直に受ける事になると思うほうが良い。自分をよく知る事が大切だ」

リゲルは話を聞きながら、真剣に医長の目を覗き込んでいた。

「ちょっと医長を知りたいが良い?」
「もちろん、しかし私を遥かに超えているリゲルに、何か役にたつ事があるか?」

「医長には、とてもバランスの取れた安定した生命エネルギーを感じる。
こうしていると不安が消える。乱れを正す、安心感と共に自信が湧いて来る。
指導者、医者として素晴らしい能力だ。今まで気がつかなかった、、、」

「そうか?患者やスタッフに、力を発揮して貰わねばならない必要を感じた時は、
特に意識をしているがね。医者としてはいい能力だと思う。自分から自然に
溢れ出ているものは、あえて止めていないから、誰も気がつかない程度僅かに
影響していると思う」

「医長を知る事が出来て良かったです。ありがとう」

「いいや、私こそだよリゲル。もう戻って良いぞ」
そう言って医長は出て行った。

やり取りを聞いていたガッシュがニヤニヤ顔で言った。
「話し方も少し学習したようだな。いい事だ。早速行くか?」

「なんだよガッシュが、しばらく俺の監視役か?」
「リゲルのとんでもないパワーの危険さを少しは知っているからな”注意しろ!“
となら言えるという訳だ」

俺の前を<危険物取り扱い注意>と言って歩くのか?ははっ」
「まぁ、そんなところだな」
「ひでぇ!」
「がはははっ!」

リゲルとガッシュの二人連れも、かなり目立つものがあった。
巨人のリゲルはもちろんの事として。
ガッシュは、リゲルと彼が来るまでは、シティで一番背が高く、鍛えあがられた
見事な筋肉を持ち、男女問わず誰もが目を奪われるほどの超美系で有名だ。
リゲルの星の巨人たち並みパワーを持ち合わせ、かつてはシティNO.1の
パワーの持ち主であった。

メインコンピューターのコンタクトブースまでの間、すれ違うスタッフに声をかけら
れると気軽に手を上げて返事をしながら、異常な威圧感がある二人は移動した。

「ガッシュにも、彼からのメッセージがあったんだろ」

ガッシュは片眉を上げてリゲルを見上げた。
「あったよ。リゲルと苦労しろとさ」

「なんだ、ありがたくない話だな」
「がははっ!ありがたくないのは俺の方だろうが!さぁ、彼のメッセージを
聞いて来い。俺はここで待っているよ」

「いつも俺が彼にそう言ったんだがな」

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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 20

  • 2008/03/09(日) 21:12:52

<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 20

コンタクトブースの前に立つと、個人認識と同時に扉が開いた。

[お待ちしておりました。メッセージをお預かりしております]

巨体のリゲルは、いつものようにイスをどかし床に直に座って正面の画面を
見ると彼が話しかけてきた。

「ゆっくり休めたかな?リゲルのせっかちな所の影響を受けたのか
皆に普段、躊躇している事を置き土産にした。
ノルドたちとは接触してから、ここに来ている事と思うがすでに情報を得た
ことだろう。それは、それぞれの扉を開ける鍵となっている。

この世界ではリゲルを超える存在は出てこないだろう。
大いに情報の交流をし、あらゆる経験を積む中でもっと自分を知ることだ。
全宇宙の平和の為に、未来につながって行く事を期待している。

一つ頼みがあるランの事だ。私の事は伝えたがランは傷ついている。
私の側にいて最も影響を受けた存在だ。そう、時を待っていただけなのだ。
リゲルと共に仕事をさせたい。君を支える存在に飛躍するだろう」

「ランの事はわかったが、、、、、いつ頃戻って来れるのだ?」

「いくつか不確定なことがある。皆にもほぼ同じような答えをした。私は呼び
出されれば、いつでも皆の望む所に、どんな形をとってでも行く。
しかし、しばらく待てば影響できるようになった時点で応える事になるだろう。
だが、リゲルの叫びには、、、、、、命をかけてでも応える。

私には行かなければならない所が多くある。そのどこも緊急事態だ。
それに応えられる限りの事をしながら存在している。何もかもがほぼ同時に
起こり”人”である部分の自分の許容範囲を超えると、私の星にリゲルを連れ
て行った時や、今回のようなことになる」

「命をかけるって、、、、」

返事はなかった。リゲルは厳しい表情で画面を睨みつけて言った。

「何故、、、、こんな答えは受け入れられない」

「リゲルは望んだ答えではないと怒っているだろう。いくつか不確定な事がある
と言ったのは、今の時点では、まだそうとしか言えないという事だ。
しかし私には戻る意思がある。分かって貰えたか?」

「、、、待つしかないんだなんだな」

しばらくすると
[他に質問が無いようでしたら、彼のメッセージは終了します]

「ありがとう、、、、もう良い」

リゲルは小さなため息をつき、狭いブースの中でこの不安の答えを自分の中に
求めた。過去にコンタクトを取った多くの人たちの顔が浮び、その情報が溢れる
ように広がっていった。
我々には、彼が戻るまでにやることがたくさんある。

[メインコンピューターの新しい情報を、ご覧にならなくて良いのですか?]

「ん、今は良い」
リゲルは立ち上がった。
ブースは天井も扉も低かった。頭を下げて潜るようにして出ると呟いた。
「もう少し大きくしてもらいたいもんだよな」

「随分早く出てきたじゃないか。皆なかなか出てこなくて時間制限されたんだぞ
ん、どうした?」
ガッシュの顔から、笑いが消えた。

「いや、しっかり経験を積んでおけとさ。いつごろ帰れるのかという質問をしたら、
皆に同じ事を聞かれると言っていたよ」

「同じだ。呼び出されれば、いつでも皆が望む所へ行く。でも暫く静かに休ませ
てくれと言っていたな」

「、、、、、そんな答えだったな」

「何だ、違うのか?」
ガッシュは、リゲルの緑の瞳をジッとジッと見ている。。

「それぞれに合わせていくつかの答え方を用意したとさ。一般の人にまでまで
戻ってくるまで、しっかり経験を積んでおけとは言わないさ」

「そうだな。みんな会えば、何て言っていたかという話題で盛り上がっている。
スタッフには、それぞれ少しずつ違う言い方だったようだが、
<何かあればすぐ戻ると言う事と、しばらく休む>と言うのが共通だな」

一瞬リゲルの瞳の色が微妙に変化した。

「緊急呼び出しには応えるとさ。もっと我々を信用してもらいたいもんだ」

「彼から見れば、我々はやっとフラフラ立ち上がって、歩き出した赤ん坊の
ようなものなんだろう、後は何を?」

「ん、自分を知れと言われた。バージョンUPを見るのは、またの楽しみにする」

「そうか?随分あっさりしているな」

「彼は戻ると皆に伝えた。それでいい。それまでにやる事が山のようにある」

「随分と固い決意をしているようだな。託されている物が違うだろうからな」

「それは違う。彼は皆に影響し未来を託したんだ。これからよろしく頼む」
リゲルはガッシュに深々と頭を下げた。

ガッシュは一瞬驚いたような顔をしたがすぐに応じた。
「こちらこそ。俺はリゲルとすべてを超えて来いと言われた。リゲルとでは
あまりに差がありすぎるが、覚悟は決まっている」

「よし、ガッシュと気持ちは同じだ。さてと俺は腹が減ったんだが」

「おい、人が真面目に話しているのに」

「俺はマジに腹が減っているんだ、ずっと食っていない。これ以上我慢している
と切れやすくなると思うな」

「おい!飯で脅すなよ。美味い物食いに行こう!」

リゲルは、ふと何か感じたような気がして小窓の外を見たがいつもの見慣れた
星々が瞬いていた。

「その前に、ノルドのところへ寄って行こう」
「そうだな」


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