<遥かなる時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>81

  • 2008/04/08(火) 06:09:55

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>81

「起きたときいて、、、」
リゲルの様子をみたベテルの顔色が変わった。

「ベテル、状況はわかるな。今リゲルは高いパワーは受け付けない。君の
フォローならと思ってきて貰ったんだが」ノルドが言った。
「は、はい、、、」ベテルが、リゲルの横に行った。

「ベッドを下げますよ。何でこんな、、、!身体を動かすと苦しいのですね。
じゃ、このまま少しずつ弱くからはじめて見ます。
ダメなら我慢しないで言ってください。私も少しですが昔の感覚が戻って来ている
ので、いくつかの違う物ができます。どれか少しでも役に立つといいのですが。
横を向いてもらって背中の方からしたいのですがリゲル?」
『ん。ありがとう』

ノルドはベテルの一言一言に改めて感心ていた。
その相手がビックパワーのリゲルに接すると言うより、本当に大切な人をいたわって
いる事が解るからだ。
ノルドは自分がリゲルの為に、何かできることは無いかとあれほど悩んでいたが、
とてつもない存在である事を知っているゆえに、病んでいる一人の人間に対する、
いたわりに欠けていたと痛切に思った。

「何でこんな、、、」ベテルは辛かった。

リゲルがベテルに話しかけてきた。
『俺の思いにランとノルドが、応えてくれたんだよ。彼らのせいじゃない。それに君が
そんなに乱れていたら俺が辛いよ。少し落ち着いて』
リゲルがベテルに言った。

「すみませんでした」
ベテルは、目を瞑って静かに数回呼吸を整えてから、フォローをはじめた。
リゲルは、静かにまるで眠っているかのようだった。
「どうですか?効かないようでしたら、我慢しないで下さい」

『うぅん、気持ちいい、今の俺にはベテルが良いようだよ。俺の為にシティに
来たのではないのにな、ありがとう』
「よかった。じゃぁ、このまま横に向いてもらいますが、どっち向きが良いで
すか?それからもっと重力下げられますよ。負担がかからない程度に下げ
て置いた方が楽だと思いますが」

『右でいいかな。後は任せるよ』
「すみませんが、ミネラルウォーターを用意していただけますか。少し熱があります」
「わかった」

「ランも、ご自分の部屋に戻らずにいらっしゃるのなら、そこのソファーで横になって
いてください。リゲルがこんな状態で何かをしたのでしょう。ご自分の事を
大切にしてください」

「ベテル、ありがとう」
ランは、ソファーに横になってリゲルとベテルを見ていた。

ノルドはリゲルの顔のところに行き「少しどうだ?」ミネラルウォーターの飲み口を
持っていき聞いた。

リゲルは少し飲んで、『ありがとう、ベテルのおかげで楽になって来た。ラン
を診て上げてくれ』とノルドに伝えた。

ベテルはリゲルの背中にそっと触れている。
『ふーっ、ベテル、ありがとう。嘘のように痛みが消える。ベテルは大丈夫?
何、泣いてんだよ。皆に説明しなきゃならないな。今こういう状態の時でこの後
別物になる予定だ。ふふっ』
『はい、、、』

『ラン、自分の部屋で休めばいいのに』
「はい、ベテルのフォローを見させて貰って、私もできるようになりたいのです」
『確かにそれはありがたいな。ふふっ、誰か実験台になってもらって、、、。
ガッシュを呼び出して、ベテルに見てもらいながらやったら?ガッシュは頑丈だ』
リゲルが笑って、ランを見ている。
「私でもよければ、試してみてもいいですよ」とベテルが言った。

『ベテル、ランは集中するととても高くなる。特に初めてだとね。
だから今はやめておいた方が、、。
ふふっ、すごいなぁ。ランを吸収してしまわないでくれよ』

「とんでもないです。ランがとてつもない事は知っています」
『ん?あんなもんじゃないよ』
「あんなもんじゃないって、あの身体で?」

『そう、あの華奢な体でバランス悪いよな。その点じゃ俺と同類だな』
「推定比率ですが、リゲルの方がはるかにバランスが悪いです。それに私はまだ
成長期大きくなります」
『ん〜何でも俺が悪いよ。俺達の星の者はまだまだ成長期なんだけど、なぁベテル。
シティが狭くて嫌になる』
『はぁ?!』
「ベテルじゃないけど、はぁ?!だね。私の比率をそのまま、リゲルにパワーを
当てはめたら、リゲルは体長数十mになえうけど、かなり怖いなぁ」
ランが呆れたように言った。

『!あ〜ぁ、必要な時以外は、一生冬眠状態でいよっかな』
と、リゲルが笑って言ったが、ノルドは”お前なら寝ていても成長する”と笑った。
「リゲル、少し熱が出てきている。水は少しでも口にした方が良い。栄養補給を
左手に追加するか?」
ノルドの言葉を聞いて、ベテルがボトルの先をリゲルの口元に持っていって
飲ませた。

『ベテルは必要だと患者にはこうするんだ。問答無用に飲めだな。ふふっ。ノルド、
横になっているだけじゃだめか?左手首に3本も繋がっている。じゃまだから、
起きているときは点滴じゃなくて、もっと簡単にしよう。さっき、もう少し起きている方に
切り替わったんだよ。俺の後輩達をもっと知りたい。ベテル、皆に怒られない程度に
教えてくれ』

『ノルド、全部終ったよ』と言ってリゲルは、左手の3本の点滴をはずした。
「全部終った?時間かけてゆっくりやる意味無いじゃないか。まるで無視だな」
ノルドは少し辛そうな顔をした。
『悪い。そんなつもりじゃなかった。起きているときは他ので、、、。悪かった』
「いや、君の事をもっと考えなければならないのは私の方だ。わかった」

「今のはリゲルが悪いです。それでは貴方がノルドに無理して付き合って
いると言っているようなものです。
自分の為にもっと積極的になって頂かないと、皆は、不安になるばかりです。
リゲルは絶対に大丈夫だと、それぞれが必死で自分に言い聞かせているのを、
分かっているじゃありませんか。好きにしろと言わんばかりでなく、、。
すみません、苦しんでいるのはリゲルでした」
『だから悪るかったって、、、、』

「、、すみません。怒られない程度ですね。リゲルのせいにしておきます」
『もちろん』
少しの沈黙の後、リゲルは溜息をついて
『何とかしなければな、、、』
「ありがとうございます」

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>82

  • 2008/04/08(火) 06:32:07

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>82


「リゲルに効くようなら、我々全員でもフォローできます。皆リゲルの役に立って
みたいのです」
『ベテル、怖いこと言うなよ。全員でってすごいだろう。いい気持ちを通り越して、
きっとやばい』
「皆さんのようなビックパワーじゃないですよ。違う形でのフォローがあるのです」
『そうか、じゃぁいつかね。皆に影響は?』
「いいえ、ちょっと気分がハイになると思いますが」

『ふ〜ん、それならいい。それにちょっと面白そうだな。そうだ。アルデを呼んで
せっかくランもノルドも、そして珍しく起きている俺もいる』
『アルデは、ベガのクラスに行ってます』
『ベガかぁ、まずいな。さっさと追い返してしまったような感じだったからな。
俺がベガに頼むか。こわ〜!一瞬沈黙された。今笑っているけどOK取れた』
リゲルは笑っている。

アルデがリゲルの部屋に来たが、いつもと違う感じがしたので
『これでいいでしょうか、、?』と寝室の前で聞いてきた。

「さすがアルデだね」ノルドが言った。
「リゲルどうですか?、、、、ベテル?」
『俺がめずらしく起きている、ランもノルドもいるし丁度いいだろう、メディカル・
センターの医者の試験を受ければと思って』

それにはノルドも驚いて呆れたように言った。
「リゲル、お前本当マイペースだな」

『患者は我儘なもんだ。アルデこっちへ来てベテルの隣りに座れ。アルデは特に
希望ってあったけ?』
「はぁ?いや、突然で、、、医者の知識があればと思ったぐらいなので、何にも考えて
なかったです」
『あっそう。じゃ総合的に全部。ベテルのお手伝いぐらいできるようにいい?』
「リゲル、ちょっと、、、」
ベテルは心配そうに様子を診ている。

『熱があるから情報が変かも、、、ラン足りない部分を補充するのは、君にお願いして
ノルドと合格かどうか決めて』

リゲルは二人の目を順に覗き込んだ。一瞬リゲルの大きな瞳の色が金色がかった
緑色に変化した。
「おぉ!綺麗だな、それ」ノルドが言うと、リゲルがウィンクをした。

『医学全般勉強終了。試験はそちらで受けて』
「超インスタントじゃないか!俺の必死で勉強した過去の時間を返してくれと
言いたくなってきたぞ!」ノルドはリゲルに文句を言った。
『俺に?』
「あぁ、新しい情報は常に俺を先に更新してくれよ」
『了解』

アルデとベテルは、何が起ったか理解できていない様子だった。
「リゲルの瞳の色が金色に変わった!凄いの見たな。ベテル」
「はい。リゲルの目は特別綺麗でした。でも勉強って実感が何もないのですが?」

ランがソファから起き、座リ直して彼らを呼んだ。
「いいんだよ。こっちへ来てちょっと見せて」

ベテルとアルデがランの前に行って座った。
「悪いけど、大きいからもう少しかがんでくれるかな?アルデからいい?、、、。
リゲル後輩にサービスし過ぎじゃないですか?総合的にって、アルデ大丈夫?」

アルデは少し首を傾けると
「はぁ?いやちょっと待って下さい。、、、あぁ、、、なるほど凄いですね」
「アルデ、もう引き出し方がわかったんだ。他人事のように言っているけど凄いよ。
くくっ」

「じゃ、ベテル順調に回復したようだね。もう目眩とかしない?」
「あっ、ちょっと立ち上がった時に、ふわっとしましたが大丈夫です」
「そうだね。ずっと続けてではかなり疲れる。リゲルちょっとハードだったよ」

『ん、ベテル、ごめんな』
「いいえ、とんでもないです」
「ベテルは、また、、、リゲル、、、、大丈夫なの?」
『何?彼は上手に使いこなすよ、見ていてご覧。この二人はかなり面白い』
「面白いって、けっこう怖い先輩だね」
ランはやれやれと言うように首を振った。

『そう?弟に怖い思いさせられているけどな。より多くの力ある人材が必要なんだ。
来たメンバー全員がアルデとベテルぐらいになってもらいたいと思うよ。
十分歴史から学んだし、この世界には彼もガッシュそしてランもいる。
それを超える存在が出る事はない、、。
どうせあの星の恐怖になっている俺が、コントロールする方がよほど簡単だよ。
つまらない恐怖感などいらない。護りあっていけばいい事を皆の中に安心感と
共に入れれば良いだけだろう。普通歴史からそのように学ぶ。
他の星を知るほどにあまりにくだらない話しが、今だ現実にあると思うと頭に来る。
えらく遠回りだが歴史として残す事が必要だろう。それもできるが、、
俺は直接関わるつもりはない』
ベテルとアルデはジッと身動きせずに、静かに受け止め覚悟をした。

『ノルド試験は?そろそろ終わりに、我儘で悪いな』
リゲルがノルドに伝えてきた。

「ベテル、この熱は薬で下げていいのか?」
「すみませんノルド。私がします」

『先にそっちだ。ランありがとう自然に本当に上手くやるようになったね、驚きだ。
微妙なコントロールをする。さすがだ。ちょっとした刺激で大きな変化するようになった。
ふふっ、さっきので少しすっきりした?』
「リゲルのおかげです。くくっ」

リゲルは本当に嬉しそうだった。

ノルドは二人を見ると頷きながら
「二人とも十分すぎるくらいだよ。アルデは実際に患者にかかわった経験が少ないから、
しばし私とベテルの助手をやってもらっていいね。明日からでもメディカル・センターに
時間がある時は来て欲しい。たまに講義を代わって貰おうか、合格だ」

「本当ですか!ありがとうございました」

『おめでとう。いよいよスタートラインに立った所だ。大いに楽しみにしている』

ベテルがリゲルの熱を下げる為のフォローをはじめた。
皆真剣に情報を共有している。
ベテルの手元が震えていた。
ランとノルドは、ベテルが泣いていた意味が分かった。
星の者達特有の波の乱れは収まっていない。

ベテルは一瞬雰囲気を変えた。

『今はそれは、、、君が倒れるだけだ。熱が下がってきて楽になったよ。
十分だありがとう。アルデ、いつも悪いがベテルを見てくれるか?ゆっくり休ませて
あげてくれ』と、リゲルはアルデに伝えた。



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<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>83

  • 2008/04/08(火) 06:53:20

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>83


メディカル・センターにいるノルドが
ランに“プレジデント・ファッジの意識が戻りそうだ”と伝えてきた。

ファッジの個室には、ドクター・ノルドとベテル、そして彼についてきたリュートが、
目覚めを待っていた。記憶が戻るかどうかも分からない厳しい状態だが、身体の
失った部分を人工物で補う手術は、殆ど終了している。
彼はあの惑星にとって必要な人だと、リュートは力説し助けて欲しいと懇願して
いた。
ランは、あれ以降、復興及び平和維持のための協力と、相互理解の話し合いが
取られている事を、逐一リュートに知らせ、ファッジと他の患者達の状態も向こうに
知らせていた。

ファッジが微かに動いた。
「ファッジ様!」リュートが思わず叫んだ。
瞼の下で眼球が、動いているのが分かる。
「リュート、彼の名前を呼んで」ノルドが言った。
「プレジデント・ファッジ!ファッジ様!ファッジ様、どうか目覚めてください」
ファッジの手が少し動いた。
「リュート、手を」ノルドが言った。

「はい。ファッジ様、リュートです。わかりますか?あっ、ファッジ様!」
リュートが握った手を、ファッジは僅かに握り返して来た。
「ファッジ様、わかるのですね!よかったー。うぅっ」
リュートは泣き出した。

「リュート、私がコンタクトを取ってみるよ」ランがファッジに聞いた。
「お願いします」
『プレジデント・ファッジ、私はセントラル・シティで仕事をしているランと言います。
貴方の星の危機は去りました。星の医療では治せないような重体の患者と共に
貴方は今セントラル・シティのメディカル・センターにいます。全員助かりましたよ』

ファッジに伝えてから、ランは心の奥のファッジとの会話に静かに入っていった。

『ファッジ、わかりますか?貴方の横にはリュートがいます』
『ラン?、、リュート、、、』
『そうです。リュートが横で泣いています』
『リュートが泣いている、、、?』
『貴方が目覚めてくれそうで、嬉しくて泣いているのです』

『リュートに怪我は?』
『元気です。ただ、あなたの事が心配のあまり、だいぶやつれています。貴方の
手を握っていますよ』
『あぁ、、、リュート』
ファッジは、リュートの手をさっきより強く握り返して来た。

「ファッジ様、リュートです、ランが伝えてくれて分かります。私は元気です。星は
助かりました。首謀者達は全員捕まり、裁判にかける事になっています。皆も
貴方が助かった事を喜んでいます」リュートは一気に報告をした。

『貴方は身体の多くの部分を失いましたが、皆で協力し命を支え最新医療を
使い命を取り留めました。この後時間はかかりますが、少しずつ普通の生活に
戻る事が可能です。ただ星の要職にあるとの事、やらねばならないことが多す
ぎるでしょう。私達で協力させて頂きます。
実はシティで仕事をしている私も、自分の星を代表する5人の一人として、
両方させて頂いております。どうぞ焦らずに、皆の為にも身体の回復に努める事
です。大丈夫ですか』
『星を救って頂き、、、、、ありがとうございました』

「リュート、良かったな。伝えたい事がいっぱいあるだろうが、今はこのくらいだよ」
ノルドが泣いているリュートに言った。
ファッジは、ランによってまた眠りについた。

ファッジと共にここへ来た者は、日に日に回復していっているところへ、ファッジ
の意識が戻った事で皆は本当に喜んだ。
まだ意識が戻らないのは、後1名残すのみとなっていた。


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<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>84

  • 2008/04/08(火) 08:42:42

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>84


ランは最後の一人の、メイのベッドの横に立って話し掛けた。
『メイおはよう。今ファッジが目覚めたよ。後は君だけだ。皆が待っているよ』

ランはメイを見つけるために、彼女の精神の奥深くに入ろうとしたその時、
『ラン、一緒に捜しに行こうか』リゲルからだった。

『リゲル、まだ起きていたの?一緒にって大丈夫?』
『ランについて行く必要があると感じた。呼び出されたようなもんだ』

『メイ、宇宙1美しい緑の目を持ったリゲルも来てくれているよ。今日こそメイに
会いたいな』
『メイ、はじめましてリゲルだ。あぁ、ランじゃない事を分かってくれているね。
ありがとう。皆が待っているよ、もどっておいでメイ』

『何か君の心の一部にでも触れさせてくれないか』
『、、、、ラ、ン』
『、、、メイ、、、ん?』

『メイ、もう少しはっきり教えてくれ。ランも俺も君の為に、手伝えるかもしれない
と思っている、わかった、、、、最後に会ったところ。どこだったか覚えている?
君は知りたいのだね。待っていて、、、』リゲルがメイの心と会話していた。
『リゲル、探しに行くの?無理をしないでください』
『無理は出来ない。ランはメイといてくれ。ランにも分かるようにする』


リゲルは、メイの星を見ていた。
メイが最後に会った場所、、、リゲルは広大な森の中の、小さな村を見ていた。
リゲルの雰囲気が変わっていった。
自分の中にある、彼の能力に触れている。
リゲルは、メイの記憶の中と同時に過去を見に行っていた。

村から少し離れた、川のほとりにメイが立っていた。
川を挟んで対岸に、メイと同じくらいの年頃の若い男が立っていた。

メイが叫んでいる「なぜ、黙っているの?どうして応えて下さらないの?」
男は悲しそうな目でメイを見ている。

「ねぇ、お願い。黙っていないで、何か言ってください!もう私のことは、、、」
メイは、声が詰まってそれ以上いえなかった。

「これは戦争だ。待っている必要はないんだ。君は生き残って欲しい」
「えっ?よく聞えないわ!待って!」
メイが叫んだ時には、その男は消えていた。

リゲルは、消える前の男の心を覗いた。
メイを心の底から愛していた。しかし現実は戦争へ。
その男は心の奥深くに強く決意するものがあった。
愛する人を、その家族を守る為に、、、。

リゲルは、今またその男を探す為に現時点の星を見た。

『ラン、攻撃が始まった時に、強い思いか何か気が付かなかったか?、、、』

『あらゆる攻撃が始まって、それを止めるのに、、憎悪、怒り、言い難い悲しみ。
、、、強い思いだった!あっ、彼女達を殺されたと思っていた』

『その時点で、生きていたという事だな。でも今は彼の精神はつかまらない。
それを感じたのはどこだった?良く自分の中の記憶を見ろ。、、ラン分かった。
そこから遠くないな』

リゲルの意識がフッと広がり、ランの中にも、情報が流れ込んで来た。

『やはり病院にいたぞ。生きている。彼は記憶を失っているんだ。心の奥に微か
に何か感じるが、、、メイかもしれない。後の全てを手放している。彼の名は
ガーランドだ』

『リゲルありがとう!メイ、ガーランドは生きていたよ!ただ記憶をなくして病院
にいる。あの川での別れの時、彼の心の中は君への愛しかなかった。メイと君
の家族を守る為に出て行ったんだ。嘘ではないよ』

メイは泣き出した。
『うぅっ、、、ガーランド』
『そう、ガーランドが待っている。早く元気になって、彼を迎えに行くんだよ』
『はい、、、、本当にガーランドでしょうか?』
『彼を時々見舞っている人が、ガーランドと言っているし、間違えなく川の向こうに
いた人だよ。ほらガーランド』
リゲルの心が優しく触れて知らせた。

『、、、ガーランド。生きていた、、、』
『メイが、戻って来てくれてよかった。これでメディカル・センターへ来た全員が
何とか星へ帰ることが出来るな。ガーランドはメイが戻れば、きっと記憶も回復
するだろう。もし難しいようだったら、ここに来なさい』 

『プレジデント・ファッジに伝えてください。ガーランドが生きていたとガーランドは
彼の長男です』
「!そうだったの、分かった」

『ガーランドが入院している病院には、暫くしたらメイが迎えに行きますと伝えた。
彼は大切にされている。友人も見舞いに来てくれているが、ちょっと気にかかる、
彼は誰だ?』

リゲルは、メイの心に見舞いに来てくれている友人の顔を伝えた。
『私達の仲間では、見た事がない人です。でも誰か知っているかもしれません』
『そう、君も今目覚めたばかりだしね。皆さんこの人を知っていますか?』
皆の反応は、同様に知らないと言うものであった。

『ラン、彼を探ってくる』
リゲルの意識がこの部屋から消えた。

暫くするとリゲルが、ランとメイに伝えた。
『彼はファッジが、ガーランドを守る為によこした、特別に訓練された人物だ。
顔は整形だな。気になったのは、彼自身の中にある違和感だ。たぶん敵を欺く
為に、強い自己催眠がかかっているのと整形のせいだろう。
ファッジとガーランドに対する思いは確かなものだ。メイ安心して良いようだね』

『リゲルありがとうございます』

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<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>85

  • 2008/04/08(火) 16:40:15

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>85

ランは、リゲルに驚きを伝えていた。
『ありがとうございます。リゲルは彼のそんな能力さえも、自分の物にしてしまっ
たのですか?』

『彼の情報は受ける時点で、吸収出来るものはするし、面白そうなものを、一応選別
してみている。なんでもかんでもは、ランじゃないんだ。覚えてられるかぁ。
それでもいろんな情報を与えてもらったからな。ごく近い過去なら、OKのようだ。
真似事が出来る程度だよ。彼は星の始まりまでも遡る』

『吸収する、、、リゲルの情報量とその処理能力も本当に凄いですね』

『彼が言うには、俺は吸収力がいいそうだ。現時点ではランの方が情報量は、
多いんじゃないのか?全部ランの中にあるだろうが、俺はいつでも頭の中を見学
させてやるよ。今の事も元の情報の範囲でやっている。ちなみに今俺がやった
事を、どう見ていたんだ?どう使えるか考えてみたか?』

『今やってみます』ランは困った顔をしていた。
『ほら、テンポがこれだ。ふふっ。それがランの良いところかもしれないな。
君が別物になるのは、もう少し先だな。俺がランに早く!と言われるようになると、
面白いと思うんだ、マジになって遊べる。彼の気持ちが分かるような気もするな。
じゃぁ、ちょっとモールとチップを見にいく』


リゲルはモールに呼びかけた。
『ドクター・モール、おはよう。チップの事よかったなぁ。小児科いいよな』
『?!リゲル!そうなんです!貴方のおかげです』
『それは違うだろう。モールさ』

『おはようチップ、リゲルだ。随分良くなったって、モールが嬉しそうだな。君の
目をベテルが治してくれたんだってね、良かった』
『リゲルって本当に?あの、目の綺麗な大きな人、、、』

『ははっ!ベテルより今のところ頭一つぐらい背が高い。シティでは一番でかいな。
ベテルと同じ緑のでかい目なんだけど、俺の目みたい?』
『見た〜い!ここに?』チップのワクワクする心が伝わってくる。

『ふふっ。ごめん!そこには行けないけど伝えられる。ベッドの横に立ってみようか?』

「うっわぁ!」
他の患者が”どうした?チップ”と驚いて聞いて来た。
ドクター・モールが「大丈夫。はははっ!」と言って、ごまかした。

『シ〜ッ!内緒だ。後でここの皆にチップから、早く元気になって下さい、星で皆が
待っていますと伝えてくれるか?』
『うん、はい!』

巨人のリゲルは顔を、チップに近づいて来た。
『今日は目の調子どうかな、よく見える?』

リゲルの大きな美しい緑の瞳は、輝きながらチップを覗き込んだ。

『凄い、、、綺麗だ。リゲルの目って宇宙一綺麗って本当だね』
『ありがとう。誉めてもらえて嬉しい。でも宇宙一ではないよ。体はいつも馬鹿
でかいと言われるが、チップはうわぁ!だったな。今度からウワァのリゲルか?
チップ痛いところは?、、、リハビリをすると痛い所だらけか。
酷い思いをして、やっと少し楽になったかと思う間もなく、痛いのは嫌だもんな。
よく分かる。チップも皆も、そろそろここは退院で、星の病院でリハビリだな。チップも
本当は早く帰りたいだろう』

『うん、母さんにあいたい、、、』

『ここに来ている皆が助かって、そろそろ星の病院へ移れる事は伝えてある。
チップはお母さんのいる病院だな。身体に受けたダメージより、チップの心配の
方が大きかったから、とっても喜んで待っている。随分元気になったよ』
『そう、母さん元気になったんだ。良かった、、、』
チップは泣き出してしまった。

モールが慌てて、チップにタオルを持たせて、ゆっくりと顔に持っていくのを
手伝った。
『腕、痛いか?』モールがチップに聞くとチップの肩にそっと触れた。
チップは頷いて、自分で目にタオルを当てて泣いていた。

『モールは、チップのリハビリのカリキュラム作って、ボォンか、キランでもいいな。
見てもらったらどうだ?モニターに全部出てくるんだから。モールも痛いと言う感覚は
十分経験したよな。俺も生命を助ける時に、フォローにも一段と意識できる』

『リゲル、そろそろ戻れよ』
リゲルの部屋にいる、ノルドだった。
『ん、ごめん』リゲルはノルドに謝っていた。

『じゃぁね。チップ頑張れよ』
『うん』

一瞬リゲルのフォローがNO.1を包んだ。

「あぁ、リゲルだ。チップわかった?」モールは、嬉しそうにチップに言った。
「ん、、、なんだか気持ちがいい、ホワ〜ンとして、どこも痛くない。これ、リゲルがやってくれたの」
「そうだよ。これが私を治してくれた、リゲルの力だ。痛くないって、腕まだ痛いのか?」
と言ってモニターを見た。
「大きく動かすんじゃなければ、痛くないよ。時々いろんな傷口がちりちり痛くなる位で、それがなくなったみたい」
「そうか、ビックリした。そうだね、、ごめんな」

皆が気持ちいいなと口々に言っている。
「皆さんにリゲルから伝言です。星の方には、皆さんの事は伝えてあります。早く元気になって下さい。皆が待っていますって言っていました」
チップが皆に聞えるようにと、一生懸命に声を出していた。
「随分声が、出るようになったんだ」モールは驚いたような顔で、チップを見ていた。

「本当か、早く帰りたいよ。しかし、気持ちいいな、不思議な感じだ」
「うん、モールが言っていた人だ。俺と同じ位子供が好きだっていう、一番大きくて目が宇宙一綺麗な人」
みなから、「あぁ〜!ベテルよりでかい!」と言う声があがった。

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>86

  • 2008/04/08(火) 18:00:58

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>86


『リゲル?』ランがリゲルを気にして声をかけた。
『もう、大人しくしている。今、ノルドに悲しい顔されて、凹んでいる所だ』
『リゲルが、凹んでいるの?じゃ、後で見に行きます。くくっ』

『ふん、もう遅い。ノルドがずっと、俺にへばりついているのは、良くない。ラン、少し引っ張り出してくれ。ノルドが辛そうだ。俺から開放してあげたい、ガッシュもこんな時に戻ってくれるといいのにな。ラン、、、』
『わかりました。でもノルドはリゲルと共に生きる事を、誇りにしています』
『わかっているよ。思いっきり分かっているさ。俺を知る人全てを、コントロールしてしまいたいよ。今の俺に付き合うのは、皆、、、、俺のできる事を考える』

『辛い思いをしているのは、リゲルの方です。皆は何でもいい、貴方の役に立ちたいのです。リゲルの今に付き合わせてください。開放だなんて悲しいです』

『、、ラン悲しいか、人として生きている証拠、、、、皆に傷をつけるのは耐え難いものがあるな。彼にも君にも俺の事はわかるからいいな。暫く俺にとって都合のいい場所を行ったり来たりしているよ』

「それは、どういう意味だリゲル!」
ノルドだった。
『ノルドにも俺は分かるだろう。寝たり起きたりしている、今と同じさ。都合のいい場所へ体調によってその都度、行ったり来たりすると言っているんだよ』

「彼がリゲルの為に考えたここの環境が、今の君には都合が悪いのか?」
『ここの環境のせいではない。俺自身だ。時々強く出る、、、。』

「ベテルのフォローじゃダメなのか」
『ベテルをずっと付き合わせるのか?彼がやっているのは、違うんだよ。俺のは自分から溢れている分だ。ベテルが続けては無理だよ。せっかく生きる時をもう一度手に入れたんだ。俺が奪えるか、、』

「皆で、、、リゲルの性格じゃそうはいかないな。お前こそ、厄介すぎる、コントロールできるもんならしたいよ」
『まったくだな。一番何とかして欲しいと思っているのは、俺自身だぜ』
「欲張りすぎなんだよ。今は元気になるだけにしろ。他の事はその宇宙一美しい瞳と君の優しさだけでも、皆の心の支えになるのに」

『ノルドこそ欲張りだなぁ。それ全てだぜ。ノルドは気がついていただろうけれど、この目も宇宙一とはいえん。ベテル達に譲る事になるかも。まぁ俺には大して問題はないけど』
「リゲル!?」
『かもと言っただろうが!ノルドもランも、悲しむなよ、、、俺が苦しい。、、、ははっ、立場が逆転している訳だ。どっちにしても俺は迷路やらなんやら、いらないものを捨てに外へ行く。ベテル達の面倒も見なきゃならないし、ランにもこの頭を見学させてあげる事にしたから、ちゃんと戻る。これでも皆に応えられるように、努力しているんだ。ノルド』

「『リゲルの、僅かばかりの自由か、、、』君の自由だよ」と言ってノルドは黙った。
『ありがとう、ふふっノルドストレスが凄いぞ。無理やり付き合わせて悪いな。ラン、ノルドを頼む』
『分かりました』

ランが部屋の空間にフッと現れた。

「ノルド、ちょっと厄介なリゲルに捕まった私達は、気苦労が耐えないね」
「まったく、だが幸せだ。今はまだ彼と一緒に未来へ向かって歩けている。そうだろう?ラン」

「私も、そう思います。誰も欠けずに今をいる事が本当に感謝です。リゲルは自分の道を歩みながらも、我々に応えようとしてくれている。そうでしょうノルド。少し貴方も休んで下さい」

ランはノルドの前に来ると、右手をノルド額にかざし眠らせ、ソファーに移動した。

『ラン、ありがとう』リゲルはノルドの礼を言った。


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<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>87

  • 2008/04/08(火) 21:32:42

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>87


『ガッシュ、、、行ったり来たりしろよ。ノルドが寂しいってさ。しっかり下げてから、戻って来てくれ』リゲルは、ガッシュと久しぶりにコンタクトを取った。

『おう、久しぶりだな。ノルドじゃなくてお前だろが!今行ってやるから、ちゃんと起きていろよ』
『ん、でも、、、疲れたぁ、少し休むよ』

少しするとリゲルの部屋に、ガッシュの生命力の光が満ち、その中に体格の良いガッシュが現れた。

『リゲル、戻って来たぜ。起きているか?』
光が揺らめいているように見える。

リゲルはガッシュの姿に笑顔だ。
『、、ガッシュ綺麗だなぁ。無理やり呼び出して悪いな。急激にここに合わせ下げ過ぎで、具合が悪くならないと良いが、ノルドを頼もうと思って』
『俺の心配は要らない。最高に調子がいい。リゲルこの位で良いか?』
『ん、ガッシュがここにいるって、安心するもんだな、、、』

『これでも一応長男だからな。お前もだぜリゲル。ちょっと外へ行くって?』
『聞いていたのか?ふふっ、情報の共有し過ぎじゃないか。後でゴミを捨てに行くだけだよ』
『後でいいのか?いらない物は早く捨てた方がいいぞ』
『心配性の兄貴だ。ランもノルドもコンタクトを取りたがっていたから、後にする事にした。ガッシュも来たし』
『俺と話がしたいわけか?』
『また後で、、、帰って来てくれて、ありがとう。、、、』
『疲れたか、、、また後でな、リゲル』

ガッシュとランは、黙ってリゲルの寝顔を見ていた。

話し始めたのはガッシュだった。
『かなりだな。彼も辛そうだった、、、。!リゲルを心配してだよ』

「本当に?大丈夫なのですか」ランはガッシュに聞きなおした。
『今は他ヘ行っている。彼もリゲルを見に戻って来るから会える。ラン』
「はい。ファッジ達を助けていただいたのですが、コンタクトを取ってなくて」

『この間はありがとう。その後大変だったな。しかし俺は彼と、ランを見てやっと動き出したなと話していたんだよ。惑星ガイヤの時といい、いきなりやることが凄いな』
「でもリゲルには別物になるのは、まだまだ先だなと呆れられてしまいました」

『リゲルは、もとから別物さ。あいつの吸収力はありえんよ。どこまで行くんだか。リゲルはゴミを捨てに、外へ行くと言っていたがちょっと気になったのだが』

「皆が迷い込む迷路に、これ以上誰にも入れさせな。自分が持って行く、誰かが入りそうになったらリゲルが死ぬって脅しとけと言って、、、。他にもいらない物を、直ぐにでも捨てに行くような話をしていたのですが、動けなくなったようで、、、。ノルドも必死で何とかしたいと、ベテルのフォローの事も、言ったのですが、リゲルが聞き入れませんでした」

ガッシュの周りの光の揺らめきは、次第に変化して彼は厳しい表情になっている。

『それで』
「、、、、、私とノルドが、悲しむ事は、リゲルを、、、苦しめ、、、」
ランは、それ以上説明が出来ずに下を向き、握りしめた手は震えていた。

『落ち着け、リゲルに影響するぞ。そういう事なんだな』
ガッシュは、静かに柔らかなフォローで、ランを包み込んだ。

『大丈夫か?まったくリゲルの奴は、何を考えているんだ。自分が一番苦しい迷路に、はまり込んでいたくせに皆のものを一人で、、、』
「でもリゲルは、もう迷路から出ていました。私の中を覗いて、一緒になって連れ出してくれたのです。なのに、リゲルの為に、何も、、、、」

『ラン、わかったよ。ノルドも何も出来ずにか。ラン、リゲルは今は、こういう時だと言っていただろう、そうなんだよ。互いに辛い時だな。でも彼は大丈夫だ。時が必要なんだろう。ランが変化するまでに時が必要だったように、それを考えると、リゲルは、とんでもないもんになるな』

「ガッシュ、リゲルが心配で、彼の未来を見てきたのですか?」
『俺は未来を見てくることなど出来ない。しかし何より、彼がそうなると言った。そして彼女も心配はしているが、リゲルを信じている。だからそうなる事が分かる、、、というか、んー、これ以上ないだろう。俺の情報処理の仕方だと、こういう結論が出るという事だよ』

「来てくれてよかった、、、ガッシュ、ありがとうございます。リゲルは、私の不安の元となっているものを理解し、共有し取り除いてくれたのに、彼自身に対して不安でしょうがなかったんです」

ガッシュは激しく変化しだした。
ラン、ノルド、リゲルの三人をその光の中に包み込んでいった。

『いや、それはしょうがない。目の前でこんな姿のリゲルを見て、不安にならないわけがない。今はともに辛い。しかし必ずリゲルは、超えていくんだよ。その形は分からないが我々にある程度、付き合ってからだろうな』
「彼を超えるのですか?リゲルが」

『そう、彼がある意味、超えると言っていた。リゲルに都合のいい世界へ行くこともできたのに、別な道を、、、。そして今リゲルは、こういう時を過している。それでも、彼を超える部分が出てくると言うんだぞ。どんな奴になるんだろうな。そう思うと、我々がリゲルを苦しめるほど、悲しんだり悩んだりする事の方が、おろかな事だと思えないか?』

「ガッシュ、、、」
ランは、目に涙を、いっぱいに貯めていた。
寝ているノルドの心にもガッシュは伝えている。
ノルドの目じりからひと筋、耳の方へ涙が零れて行った。

『ノルドも分かってくれたようだな。リゲルは君とノルドを心配していた、安定して来て良かった。少しは役に立ったな。さてその迷路だが、リゲルの中へ入り込む事はもう出来ないし、彼が戻るのを待つかな、、、ともに未来を見つめて、今を越えていくしかない。いやこれからは、もっと厳しいだろう事を覚悟してな。それを限りなく彼も俺も経験して、、、だよ。ラン』


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<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>88

  • 2008/05/14(水) 22:17:26

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>88


リゲルが彼とシティを出て行って、もう8Dが過ぎていた。
ガッシュはシティと外での仕事と行き来していた。

「まだリゲルとは、コンタクト取らないのですか?」ランがガッシュに聞いた。
『それは俺がランに聞く事だろう。俺はリゲルの窓口じゃないぞ。彼の中に二人ともいるんだろうが、ランが意識していけよ。ところでベテルはどうだ?』

「はい、回復して元気にやってます。彼ら全員と個人的にコミュニケーションを取るようにしています」
『それで他のメンバーはどんな感じ、、、ふーん。リゲルの後輩達は人気者だな。彼らは仲がいいようだし理想的か。彼らで情報を大いに共有しているという訳だ。訓練生としても優秀という訳だな。立派なもんだ。たまに遊んでやれ、それぞれが自覚するように』

「ガッシュは?ベテルとアルデだけですか」
『他のメンバーはランがいいだろう』
「そうですね。ところでガッシュの星から来た後輩たちのことは、どうするのですか?いつも、貴方のことを聞かれます」
『あぁそのうちな。今はノルドに任せておくよ。俺がこれでは、彼らとしても何か聞きたいだろうが、物事には順序があるんだ。ラン、時々星へ帰っているか?』
「長老会議に出ています。シティの方も、全体会議以外は、フリーにして貰えたので前より自由に出来ます」

『シティは我々がいなくても、十分に機能していかなくてはならない。それぞれの部署で、仕事をする優秀な人材が益々必要だな。これから彼もリゲルも、私達も常時、ここにいることは少なくなるだろう』
「ガッシュが、いろいろ質問に答えてくれたようで、ありがとうございます。皆が本当に喜んでいましたよ。ボスは助かったと言ってました。くくっ」

『お礼の返事をたくさん貰ったよ。しかし何で俺に聞いてくるのかと言う質問が多いな。そういうのは一括でメインコンピューターの方へどうぞと送り返した。そういえばランのことを聞いて来たのがあったぞ。ちゃんと返事をだしていないだろう。人気者で下手にシティをウロウロできんのは窮屈だな。教育システムの方に来ているメンバーは、面白がって俺達のことを聞いてきくる、シティは平和ボケしているな。どんどん外へ新人達も、引っ張り出すといい。彼らのいい意味での緊張感は、シティをある程度いい環境にする』

ランが彼に声をかけようとした途端、キャッチしたのは、我々の銀河の外周に現われた瞬間だった。『うわっ!銀河外周です。戻って来ますよ』


『!すごい事になっているな。あそこで下げてから戻るつもりかな?』

メイン・コントロールルームから、ランにコンタクトがあった。
『銀河外周に、強い反応があり解析中です』
『彼とリゲルです』
『彼とリゲルだと言うのか!?』ボスからだった。
『そうです。今コンタクトを取ります』

『リゲル遠慮しているぜ、面白い奴だな。ランちょっと行くか』ガッシュが笑っていた。
『遠慮って?』
『行けば分かるさ。あの二人とんでもなく高すぎるから、俺が連れて行くよ』二人はその場からフッと消えた。


                           *

懐かしい銀河の無数の星たちが、眼前に広がり出迎えてくれているように煌いている。真空の音の無い世界に、壮大なパワーが一つの交響曲を響かせている真っ只中に、ガッシュとランは現れた。

『お帰りなさい。すげぇ〜、がははっ!!リゲル、お前本当にバカかぁ?』
ガッシュは、リゲルのパワーを感じて、ガードを高くしながら大笑いした。

リゲルは一瞬、嫌な顔をしたが笑いながら凄んだ。
『あぁ〜ん?!いきなり喧嘩売るってのか?』

彼も微笑んでリゲルを見ている。その濃紺の瞳に銀河とガッシュの光が写りこんで、吸い込まれそうに美しい。
『くくくっ!リゲルらしいだろう。まだまだ付き合うしかないと諦めたよ』

『ラン、リゲルになんか言ってやれよ。言葉が出ないか?』ガッシュがランに言った。
『ガッシュ、だって彼もリゲルも、とんでもないパワーですよ。近寄る事も出来ないじゃないですか。どこが遠慮なのですか』

『おい!リゲルをこんなもんだと思っていたのか?そもそもリゲルの全開のパワーは、誰も知らないからな。すでに別物と言えばそうだがそれにしても、がははっ!たぶんラン達の為に、リゲルは完全な別物になるのを待ってくれたんだぜ』
『そんな〜!リゲル凄くなり過ぎです!』

『ガッシュに笑われる筋合いはないぜ。お前だって中途半端じゃないか』
『俺はしょうがないだろう。もともと種が違う』
『三人とも、似たもの同士であることは間違えないようだよ。くくくっ。ところでガッシュ、何でランを過保護にしている?何かあったのかな』
彼はランを見て笑った。

『ん?あぁ過保護だったか。ランも何とかいえよ!』
『ガッシュが言うので何かあるかなと思っていたのです。すみません』
『本当にそういう所が相変らずだよな。ほら!実感してみろ』と言ってガッシュは、いきなりランに対するガードを外した。

『!、、、』一瞬にしてランは変化した。
『ほぉー、これは大変失礼しました。間違えなく過保護だったな。はははっ!やばいな、ここにいる生命体は。、、、、!ウワァ!リゲルに会いに来た』

一瞬なんとも心地よいパワーにフワァッと包まれ、次の瞬間自分の生命空間が無限の宇宙に向かって、広がって行くように感じると同時に圧倒的な安心感と一体感があった。

『あぁ、、、』

『なんて素晴らしいのでしょう。でも宇宙に存在するいらぬ力に注目されてしまいます。気をつけないと、ただ支配だけを存在意義として戦いを繰り返す者達もいます。今のうちに潰そういう勢力が出てくるかもしれません。星ごと何十億ものバイオエネルギーを食らっていくものや、高バイオエネルギーだけを好む生命体も幾らでもいるのですから、呼び寄せる事にもなります。
私のいる銀河も度々外からとんでもない者達がやってきました。異空間から突然現われた事も有ります。何も存在しない深遠の宇宙でならまだしも、自分達の銀河では大変危険です』
ビックマインドが話し掛けてきた。

『外からもやってくるのですか?でも貴方がいらしてもっと目立ちます』
ランが情報を探っていた。

『そうですね。宇宙は広い、想像を越える者がいくらいても、おかしくありません。
限りなく溢れ続ける宇宙エネルギーを、自らのエネルギーに転換し必要な所に発散している生命がいないと言い切れますか?
意味のないことなのでありえませんが、私が星ごと食らうとしたら?
来て欲しくないものを避ける事の役に立つと思い、この間も来たばかりですし、度々来ていると分かれば危険を感じ取るか、嫌なのがいると分かるでしょう。皆さんで十分に解決できるでしょうが、少しだけでも役に立てれば』

『ここには顔を出さないね。貴女のパワーがよほど美味なのでしょう』彼が言った。

『ふふっ!実はリゲルに一度、会いたかったのです。いかにもリゲルらしい迷路は捨てて来たのですね。皆さんがとてもよい状態にあるのが本当に嬉しいです。心配していました。良かった。これからもっと楽しみですが、リゲル覚悟も必要です。何よりも貴方が一つ越えてここにいる事がどれほど嬉しいか、そうですよね』と彼に向かって微笑んでいた。

『こうして会える時が来るなんて本当に嬉しいです。前は失礼しました。でも抵抗できなくって凄かったです』
『気に入りましたか?それは大変どれぐらい吸収したのです?』
『とんでもない!』

『そうですか?リゲルにその前にないものを感じますよね』
『やはり貴女でしたか』彼がいった。

『吸収した情報を、そのまま自分にあうように展開していく力は驚くものが有ります。肉体をもつ生物として、バランス取るのが難しい。でもリゲルなら大丈夫。私より遥かに、そのバランスはいいのですらら。貴方から得るものは大きいものがあります。私も伝えられる限りを、身近な人たちに伝えました。その緑の大変美しい瞳にも感動していましたよ、リゲル。美しい瞳と視神経に少し変化がありますが、不都合ではないのですか?』

『不都合、、、皆が悲しむかな、、、』リゲルがそう言いながら、伏せた瞼の長い睫が目立つ。

『そう、リゲルの魅力は溢れるほどありますが、他に類のない美しい宝石のような瞳は、皆にとっても、なくてはない物なのでしょう。いかがですか?』
『ありがとうございます。これ以上進まなければと思います』

リゲルは彼女の意思がジーッと見ていることを感じた。

『本当に綺麗。、、、宇宙一の美しい瞳を見る事が出来幸せです。ありがとう』
『ありがとうございます』
『ガッシュはここにいる誰よりも、人らしい魅力に溢れていて不思議な方です。貴方の中に少しの間居る事が出来、よかったと心から思っています。ありがとうございました。ぜひいつか私達の銀河にも、いらして頂きたいものです』
『はい是非とも。貴女はいかがなのですか?』
『皆さんをこうして感じています。できる事と言ったらこの程度でしょうか』
『ありがとうございます。どうぞ、ご自愛ください』

『ラン何か?』
彼女はランが考えている事に気が付いていた。

『先ほどの有り得ないという事ですが、1個の星のもつエネルギーと、その星に住む全てのバイオエネルギーとなると、それは莫大なエネルギーです。生命を尊いものとして、到底有り得ませんが、意味のない事というは、どういう意味で言われたのかと、、、』

『知りたい?、、、時にはその星1つでさえ数十秒から数分、、、。
、、、存在する意味があるでしょうか?あり得ない暴走した生命が、そんな状態で生きる意味も必要もありません。
もう誰にも、こんな狂いは起きて欲しくないのです。ありがたいことに、遺伝子を調べて決して次に繋がりません。途中で矛盾し存在し得なくなるのです。ランの情報から少し外れている者として、ここの3人と一緒に私も入れて下さいといっても、こんな話を聞いてはからではだめですか?』

ランは、すみませんでしたとしか言葉が出なかった。
リゲルは大きな瞳に涙を浮かべて、押し黙って彼女を見ていた。

『お願いがあるのですがよろしいですか』と彼に聞いてきた。

彼が頷くと、彼女のパワーはフワッと彼に触れ伝えてきた。彼は少し表情を変えて真剣な表情になり一瞬苦渋の表情を見せたが頷いた。
彼女のパワーが変化していく。
『受け入れていただいて、本当にありがとう』

『今、彼にも聞いたのですが、ランにも頼みがひとつあります。お願いできますか?』
『はい、なんでしょう』
『リゲルと同じ人として、ランのなら受け入れられると思うのです』

すると突然リゲルは彼女に伝えた。
『俺の為にはやめて下さい!もう十分です。ありがとうございます』リゲルは固い意思で断わった。
『分かりました、、、リゲルの思いですね』

彼女はもう一度彼に話しかけた。
『貴方には余計な事をしたでしょうか?貴方の世界でならどのようにも、使っていただけるかと思ったのですが、、、』
『とんでもありません。貴女にお返しできるものなら、何十倍にでもして共に生きて頂きたいのです』
『では、いつかお願いする事があるかもしれませんね。私のいない未来に、銀河の子孫達の為にいつか』

リゲルの心に不安があるのを感じた彼女が言った。

『彼にできる事と私にできる事を、いくつかを融合したようなものです。リゲルは心配でならないのですね。彼はその力を遥か時に渡って、あらゆる世界の多くの生命に役立ててくれると思います。私のできる事の一部が彼と共に、遥か時を生きる事を感謝します。それではいけませんか?
別な言い方をすれば、私の一部を持って行ってくださいと頼んだのです。もちろん一度断わられましたが、いつかただ消えてしまうより、少しでも受け止めて貰えるならとお願いをしてしまいました。それは私の勝手な思いでしょうか』

ガッシュは、彼女をジッと見ながら、ある未来に辛い思いをしていた。

『また未来で出会えるのでは、なかったのですか?ガッシュ』
『、、そうです。さらに先にですが、、。貴女にも、お会いできるでしょうか』

『さぁ、、、私に出会っても、互いに分からないでしょう。元は人という種の大多数の小さな一人です。事故で突然得た力がある時、暴走し始めたのですから、この世界の輝ける未来に続く、遥かな道を行く人々に幸せを』

彼女はリゲルの大きな美しい緑の瞳を、見つめて微笑んでいる。
『本当に美しい何時までも見とれてしまいますね。リゲル忘れません。ありがとう』
とリゲルに伝えて、彼女の意思は消えた。

『リゲルなぜ?私は兄さんの役に立ちたかった、、、』
ランは強い意思をリゲルにぶつけていた。
『いつかランは俺の横にいるようになるのだろう。それでいいよ。覚悟して置くんだな』
リゲルがフッと消えた。

『リゲル!?』
『大丈夫。リゲルの思いに最後まで、できうる限りの事をしてくれていたんだ。感動が押えきれなかったんだろう。直ぐ戻るよ。さてメディカル・センターの方も、全員退院だね。ランは行ってあげなさい』

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>89

  • 2008/05/15(木) 09:39:20

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>89


ランが、メディカルセンターへ、行くと、医者も、全てが興奮状態だった。

「ラン、一瞬だけど、彼女が来たんだ。すごかった!リゲルたちは?」医長がランに言った。
「まだです、シティ全体が凄い事になってますね」
「ともかく、NO.1に、行って見てください」

ランがNO.1に入った瞬間リゲルの後輩達も患者達、皆から歓声が上がった。
「ラン、私達の星を救ってくれてありがとう!お礼をやっと言えた。すごい事が起こったんだよ」皆が口々に礼を言った。

ノルドがやって来て興奮した表情で言った。
「彼女が来たんだ。一瞬だが初めて見たよ。もう皆が帰れるようになってしまったよ」
「ノルド、彼女のおかげで、リゲルの目は宇宙一のままですよ」
「そうか、よかった、、、、良かったな」
「リゲルの思いに、できるだけ、応えてくれたようです。彼もリゲルも変化したようですが、リゲルは私達の為に待ってくれたようなのです」
「そうか、早く会いたい。あいつらしいな。ラン、ファッジが君に礼を言いたいといっているぞ」

ノルドとランは、ファッジの部屋へ行った。
扉が開いたとたん、ファッジが付き添って来たリュートに捕まって、こちらに歩いて来ていた。

「!ドクター・ノルド、ラン見てください。凄いでしょう!」ベテルは嬉しそうにしっかり横に付いている。
「ラン?」ファッジがはじめてみるランと言う少年驚いた。

「ランです。歩けるのですか?良かった。その姿を皆に見せてあげましょう」
「ラン、私達の星を救っていただき、本当にありがとうございました。皆で、それもこんなに元気になり、帰れるとはなんとお礼を言って良いか分かりません。
それから、ガーランドの事をメイから聞きました。ガーランドを見つけてくださり、ありがとうございます。リゲルは、まだ帰ってこないのですか?」
「たまたま近くにいてその瞬間を察知できました。リゲルはまだですがもう分かってますよ。さぁ行きましょうか」

一歩一歩、ゆっくりと、歩きながら皆のいる部屋に入っていった。
「ファッジ、、、」
部屋の中は、静まり帰った。その姿を見る事が出来た喜びと、痛々しさに声が出なかったのだ。

するとドクター・モールがチップを抱き上げ、ファッジの前にやって来て静かに床に立たせた。
「チップ、プレジデント・ファッジが来てくれたよ。言う事があるんだろう」
チップはモールを見上げて頷いてから、ファッジに向かって大きな声で言った。

「僕はチップ・リーデルと言います。助けてくれてありがとうございました」
「?あっ!あの時の少年か?そうか助けかったんだな。チップと言うのか。そうかよかった。咄嗟の事だったで庇いきれなかった。苦しい思いをさせてしまっただろう。すまなかったね」
ファッジはチップの頬に触れた。

「プレジデント、僕は帰ってから、お母さんに話して良いと言ってくれたら、うんと勉強をして、シティの試験を受け、お医者さんになりたいでんす!シティに来ては、いけないのですか?」
「そうか偉いな。これから私達の星は大きく変わるよ。シティにも人材をどんどんと、送れるようになりたいものだ。チップ、頑張りなさい」

チップはファッジにお辞儀をすると、モールと見上げて嬉しそうに言った。
「やった〜!モール!僕絶対にお医者さんになるよ。ドクター・モールみたいな新米のお医者さんに」
「おいチップ!新米のはよけいだろう。待っているよ。がんばれ!」

他の皆は、この光景を涙ながらに見ていた。

ファッジは改めて皆を見回すと
「皆さん、よく生きていてくれました。私も皆さんと、どうやら一緒に帰ることができるようです。ともに、我々の星の為に、また力を貸して下さい」
ファッジの言葉に、皆の生命力が一段と上がっていくのがラン達に分かった。

ノルドは全員退院できるが、今日か明日に、皆を星へ送る事はできるかと、ランに聞いてきた。

『今からでも、それぞれ好きな所へ送るよ。めちゃくちゃに高い、ビックマインドと彼とリゲルに合ってきたから、これでも押えているので、いつでもOKです』
『ラン、凄い事を言って驚かすなよ』ノルドは、笑っている。
『いいえ、本当です』
ノルドは改めて、ランを見たが確かに雰囲気がいつもと違っていた。

「それでは皆さん。それぞれにどこまで送ってもらいたいかを、ランに知らせてください。慣れるのにもう少し時間がかかる4人は、介助する人が必要です。星に戻ったら一度病院のいった方が良いでしょう」とノルドはいった。
「いつ帰れるのですか?」
「今すぐにでも、いいですよ」
「本当ですか。、、、あの、もう来られないかも知れないので、シティを見学させてもらえないでしょうか?皆さんから、お話を聞いて、素晴らしいですよね。ご迷惑だと思いますが」

ノルドはランを見た。
「どうぞ、シティは、いつでも歓迎です。では、どうでしょう。急ぐ人以外は、見学の後、皆さん一緒に帰ると言う事で」
「急ぐ人は、メイだけかな?ふふっ」ランが、メイに言った。メイは、真っ赤になっている。

「ありがとう。ラン、すぐにでも飛んで帰りたいが、私も将来の為にシティを見学させてください」ファッジがいうと拍手が起こった。
「では、私とモールでご案内しましょう」とノルドはチップを見て言った。
チップはモールを見上げて「やった!」と嬉しそうだった。
周りの大人たちも、「チップ特別待遇だぞ、いいなぁ!」と喜んでくれた。

リゲルの後輩達は時間があいている者が、いつもセンターに来ているので、この光景を本当に嬉しそうに見ていた。
アルデが、ノルドに聞いた。
「できれば私達が介助しながら、見学に付いて行ってもいいですか?」
「巨人の君たち皆が?凄い光景になるな」ノルドが笑って言った。

「リゲルの後輩たちが、皆さんに付いて一緒に行きたいそうですが、ご覧の通り私達の倍以上ある巨人ですので、皆さんが見たいものを塞がないように注意しますので、よろしいでしょうか?」ノルドもランも笑っている。
「おお〜!それは嬉しいな。最後まで世話になるのか。行きましょう!」
「凄い!皆でゾロゾロかぁ。こっちが見学されそうだな。はははっ」
皆は笑いながら、順に部屋を出て行った。

モールは、チップを抱いて出て行こうとすると
「モール、気をつけて」ドクター・ボォンが笑って言った。
「なぁチップ、おぶるより抱き上げていった方がいいよな?足の付け根にまだ負担かかるだろう」
「一番でかい、ベテルの肩に乗せてもらおうかなぁ〜」とチップは言ったが、モールはわざとすねたような顔をした。
「いやだね。チビで新米の俺が連れて行く」と言って、チップを抱いたまま出て行った。

ファッジはメイの前に来ると優しく微笑んで手を出した。。
「ガーランドをよろしく、私もすぐに行きます」

メイの頬に涙が零れ、ファッジの義手と握手をした。
「メイの手は温かいね」
「分かるのですか?」メイが嬉しそうに、ファッジを見ると彼は頷いた。
「良かった、、、ガーランドの所でお待ちしております」
「頼むよ」ファッジは入院中の長男の事を頼んだ。


「ラン、ありがとうございました。お願いいたします」メイはランに礼をいうと、恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「ガーランドの所だね。今向うの病院へメイが行く事を伝えた。ガーランドの事はいつでも力になるよ」
ランのパワーがメイをフッと包み込んだ瞬間、彼女は消えた。


                           *

病院のガーランドのベッドの脇に、メイは立っていた。
ガーランドは静かに寝ていた。

窓が少し開いていて、白いレースのカーテンを初夏の風が揺らしていた。
庭の夏草の穏やかな香りが、カーテンの動きに合わせて、光と共に入って来ている。

『メイ、少し気分が悪いかな。座ると良い、すぐ収まるから大丈夫だよ』
ランがメイに伝えた。
メイはソファーに腰掛けて、ガーランドの顔を見ると涙が頬を伝った。
『メイ幸せになってください。後でファッジと皆を送り無事届けるからね』と伝えると、ランの意識は消えた。


                           *

ランはその光景をファッジに伝えていた。ファッジは思わず手を顔に持っていった。
「ラン、ありがとう」
「もしもガーランドの記憶が戻らないような場合は、いつでも声をかけてください。さぁ、皆が先で待っています」ノルドとリュートが付き添って出て行った。

『ラン次々で悪いな。後でまたよろしく』ノルドからだった。

その日の夕刻には、ランが皆を星へ送った。
ランの横で、ドクター・モールが始めての担当患者チップを送って、嬉し泣きをしていた。

「ラン、ご苦労様でした。それぞれ別な所に送るなど、大変でしたね」
ランはベテルを見て小さく首を振って笑った。

ノルドが、『ランを、よく見てごらん』と言った。
『凄いですよね。普通に我々と暮らしていて、まだ少年の小さな体で、どこまで上がっていくのか』
『彼の家族さ。ランは』ノルドが言った。


<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>90

  • 2008/05/15(木) 14:40:25

<遥かなる時の流れ、一瞬を生きるものとしてここに>90


彼と一緒に、リゲルもガッシュも帰ってきたのはその日の深夜だった。
3人ともリゲルの部屋にいるところへ、ランがノルドとベガを連れてやってきた。

「お帰りなさい。遅くに失礼します。また、どこかへ行ってしまう前に、顔を見に行きたいと、ベガがいうものですから」
『只今、心配かけたね』
「お帰りなさい。ええ、いつもの事です、リゲル。ガッシュが笑っていたと聞きましたが?」
ガッシュはニヤニヤしている。
『それは、ガッシュに聞けよ』
『ベガ、リゲルは俺と同じで、中途半端で帰ってきたからさ』

ベガは、少しの間黙ってリゲルを見ていた。
「パワーが変わったの?それも爆発的な変化を遂げているのね。コントロールの安定が昔のようになったのかしら、素晴らしいわ。どうしてそんな状態で一緒にいられるのか、不思議なくらいね。前のように溢れている部分を、少しずつ出すにしても高すぎるのかしら?」

『ベガ、そんな事まで分かるのか?』
彼以外の皆が驚いていた。
「彼が私に触れてくれてから、私も少しは分かるようになったようです」
ベガは彼を見て微笑んだ。

『よかったね。でもそんなに凄い変化じゃない。ちょっと種類が違うものを得たのと、自分のコントロールがだいぶ回復したかな。そんなもんだよ。だからガッシュが俺をバカかと大笑いした。
それに俺は皆を中毒にするようだから、必要だと思わない限りガードすると言っただろう。これからもだよ。ベガの言うとおり高いしね』

「?かなりの別物だと思うけどリゲル」
ランは嬉しいような寂しいような顔をしていた。

『そうか、、、、でも、ここに皆といたかったし、後に付いていく約束をしたからな。現段階ではギリギリなんだよ』
リゲルは静かにランを見ていた。

『ラン!お前達の為にギリギリの選択をして帰ってきてくれた。リゲルを凹ませてどうするんだ』
『何を言っている。ガッシュは凹ますのではなくて、喧嘩を売っていたじゃないか。ラン、心配するな。くくっ』
彼はランの頭を静かにポンポンを叩くように触れた。
ランは美しいブルーの瞳を、真ん丸くして驚きの表情で彼を見上げていた。

『はははっ!ラン良いなぁ』
ガッシュは冷やかすように屈んでランを見て笑った。

『ガッシュ羨ましいのか?確か私が抱いて助けたのは、ランとガッシュ二人だけだと思ったが』
『そうでした。はははっ!ノルドぉ〜やたらに幸せだよ』
ガッシュの周りの光は急に弱くなり、ノルドの前に行くといきなり抱きついた。
「ガ、ガッシュ!何でいきなり抱きつくんだよ。高すぎるって自覚しろよ。分かっているってガッシュ」

ガッシュは、ノルドから離れた。
『ん。もうしない。でもノルドには分かって欲しかったんだ』
「だから分かっているって何度も言っただろ?!お前の気持ちは、俺が分かってるって、、、それは代わらないだろうが」

ガッシュは美しく輝く眩い光の中で、『ありがとう』嬉しそうに微笑んだ。
皆が本当に幸せを感じる光景だった。

「超が付く美男子の貴方が嬉しそうに微笑むのって危険すぎるわよ!でも本当に幸せそうね。すごく綺麗な光!何だか、皆が綺麗に見えるわ。ねぇガッシュの光で、リゲルの瞳が一段と綺麗に輝いて見えるの、ほら。良かった、、、本当に素敵」ベガがリゲルを見上げて言った。

リゲルは頭をベガの目の高さまで下げて、その大きなエメラルド色の美しい瞳で見て、ベガに礼を言った。『いつもありがとう』
ベガの目には感動で涙が浮んでいた。

『ガッシュ、リゲルを心配しすぎてちょっと、、はははっ!嬉しくて皆を抱きしめたくなったのか?ノルドはまだ動悸が収まらないだろう。もう駄目だよガッシュ。ラン、心配性の長男だから大変だったろう。説教されたかな?』
彼が笑ってランに言った。

「いいえ、リゲルの事を心配する私達を、リゲルを苦しめるなと言って癒してくれました。ガッシュがいてくれなかったら、リゲルの姿を見ている事は辛すぎました」

『わかった。ガッシュは頼りになる兄貴だな。すまないガッシュ』
彼がガッシュに謝ったのを、ラン達は不思議そうに聞いていた。
あれほど嬉しそうにしていたガッシュが一瞬暗い顔をした。

『いいえ、、、、貴方が誤る事ではありません。だいぶ多くの過去を思い出したようですが』
『珍しいな。ガッシュが凹んだか?!光の中てのはいいなぁ。俺もそれで行こうかな』
リゲルは優しい目でガッシュを見ていた。

『リゲル、、、俺と同じになるのなら、同じ苦しみを味わう事になるぞ』
『あぁ、ガッシュと同じならいいさ。一人じゃない』

ガッシュは呆れたように言った。
『人はこうはならんよ。彼女を見ても分かる。もうこれ以上別物にならなくていいから、長生きしろよ。俺はいくらでもお前に分けてやれるよ。お前が断らない限り』
『何をいっているんだ?』
『生きろって事さ』
『俺は、星の者とかけ離れてかなり長生きする予定だぜ。ガッシュが俺に命を足してくれるって言うのか?そう言う事ができるんだ、、、凄いな。でも俺はそれを無駄使いするだけだろう』
『いくら無駄使いされたって、俺は困らない』
『ガッシュ、、、』彼がそれ以上言う事を止めた。

『あっ、皆悪かったな。リゲルお前が中途半端だからだぞ!』
『それならすでにガッシュと同じさ。兄貴に見習ったわけだな』リゲルはニヤッと笑っている、

「何だか、相変わらずよく分からない兄弟愛ね!どっちにしても、お互いが大切だと思っていることは確認できたでしょう。もういい加減にしなさい。永遠に生きるも、一瞬の時を生きるも、どちらにも共通に別れは来るのよ。、、、、ガッシュいい意味、もとの世界の感覚を思い出せると良いのに。余りに情愛が強い人だものね。それでよく、、、、、そうだったわね。ガッシュ、、、、」

『ベガの言うとおりだ。分かっているでも手放せないんだ。俺は人が好きだからな』

「そういうガッシュが、素敵なのよ。貴方がどれほど拒んでも本質的に人が好きな、貴方に皆は引かれるのよ。もう男って面倒ね!
そういう自分だと自覚しなさい。早く飛び越えて、大切で大好きな人たちと、ありのままで付き合っていけば、良いじゃない!それは、ガッシュのお得意だと思っていたわ。
だいたい本質的に誰でも一人なのよ、でもこの宇宙生命の一部として共にあるのでしょう。彼が今まで何を私達に伝えて来たのか。忘れないで欲しいわ。そうですよね」
ベガは彼に向かって同意を求めた。

『くくっ、そうだ。ベガ姫は、益々磨きがかかって凄いな。やはり女性の方が、どこの世界でも生命力が強いようになっている。女性は不思議だね。強くて優しい、怖くて温かい。面白いね。ちょっと変化してみようかな、違う感覚でいいかも。彼女も物凄かったしね』

「え?」ベガだけでなく皆が彼の言った意味が分からないでジッと顔を見た。
『私は必要に応じて、どのようにでもなるよ。相手がそう感じていれば、いい程度にする事が多いが、
老若男女だけじゃない。ん〜ベガと姉妹は怖いな。もうちょっと年上のおばさんにしようか?』
「おばさん?!」

「嫌です!」ランがいきなり、言った。
『そうか、ランのお母さんになってしまうね。くくくっ。それもいいかなと思うけど駄目かな?』
「今のままで良いです!」
『そうか、家族の許可を得なくては、ならなくなった訳だな。女性はこの中でベガ一人じゃないか、
もう一人いてもいいと思うよ。ランがなる?』

「え〜っ!!」彼以外、全員一斉に、驚きの声をあげた。
『くくくっ、冗談だよ。ランを女性にしたりしたら、シティから追い出される』
「でもちょっと面白いかも。ウフフッ。見たいわ!きっと可愛いわよ」
ランに薄紫色の目でウィンクした。

「人が真剣に悩んだのに、何なのですか!」

『いや、それ面白いよ。どんな感じか聞きたいし、お前可愛いし、ベガより絶対に怖くない!』
「ちょっとリゲル失礼よ。謝りなさい!って、怖いわねやっぱり。ふふふっ、ちょっと、、ふふふ」
ベガは笑いが止まらない。
『何俺かよ?!うはははっ!それ怖すぎるだろう。はははっ!』リゲルが大笑いし始めて、つられて皆が爆笑した。

ガッシュは嬉しそうに光の中から見ている。
『ねぇ、ガッシュはそのままなの?』
『そのままって?臥体が良すぎるだろうが、ある意味ベガより怖い。はははっ』
「もう!そればっかり!ガッシュは充分美し過ぎるわよ。彼はガッシュより背が高いし、スタイル抜群で端整な顔立ち、紺色の綺麗な瞳に長い睫毛、本当に美しい、、、やだ」
ベガは自分で言って赤くなっていた。

「ここじゃ俺がいろいろな意味で一番”普通”だな」ノルドがボソッと言った。

『ふふっ、誰が女性になっても、俺から見れば可愛いもんだぜ』
「リゲルは大きすぎよぉ。リゲルの星の女性は平均どのくらい?」
『3mぐらいかな』
「リゲル、小さい女性ってどう?」
『俺より低いければ、いいよ』
「そう!やっぱりランは可愛いから見たいわぁ!」

「姫様、我儘を仰ってはいけません」ノルドは笑って見ていたが口をはさんできた。

『ベガが男になったほうが、釣りあいは取れるんじゃないのか?』
ガッシュは笑いながらベガに言った。

「そうよね。でも私、絶対にガッシュタイプじゃなくて、ランタイプがいいわ!」
『はいはい、そうでしょうとも。ランが暗い顔になってきた。これは貴方のせいだな』

『ん』彼はニッコリ笑って、ランに手を伸ばしてきた。
ランは驚いて一歩下がろうとしたが彼のパワーの中に包まれた。