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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 1
- 2008/03/03(月) 16:40:58
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 1
かつて存在していた文明が、真実を知ろうとしない愚かな者達によって、
破壊され朽ち果て、死の世界となった星を数多く見てきた。
私は、今小さな惑星の軌道上にいる。
調査船で降りた者によると、
この星の文明は周りの惑星まで行く程度のものであったようだ。
その時期までにいくつかの危機を経験してきている筈なのだが。
「選択の時」を迎え結果として選んだ「破滅」。
選択の時に、気がつかないふりをしていると必ず、
この道をたどるのは、宇宙に存在する者達の宿命であろうか。
幸いにして、私の世界は「共存」の道を選択し
今、宇宙の真実を未来に伝える事を
仕事として、他の世界の生命と旅をしている。
決して見たくはない現実がここにある。
しかし、すでに全身の毛が逆立つような、
恐怖・怒り・悲しみの地獄がここまで伝わって来ている。
その星は と呼ばれた。
漆黒の宇宙に浮ぶ宝石”青く輝く水の惑星”であったと
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- 小説・文学
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>2
- 2008/03/04(火) 16:43:10
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに>2
恒星から遠く、暗い宇宙に光る氷の星。
輪を持ついくつかの惑星も。
ここからの眺めは、美しく気にいっている。
全てを氷に閉じ込める星。
遠く輝く恒星の灼熱と相反する世界。
闇黒の記憶は、凍れる世界に閉じ込めて、、。
また呼び出しだ、調査中の惑星の軌道上に戻る。
行かなくてはならない。仕事を放棄するわけではないが、
<危険>心にイメージが忍び寄ってくる。
下からビックパワーの、お迎えだ。
「大丈夫か?」、まったく大きな声だ。
振り向いた途端、声の主リゲルは「NO!」と。
「くくくっ!」
「笑った、大丈夫だ。貴方は繊細だからな」
「ああ、少しばかりな」
「桁違いな”少し”だ、はははっ!」
彼と私は同じ仕事のパートナーだ。
「この星は、異文化がいろいろ入ったようだが、
あとに続かなかった。
興味深いものがたくさんあるが、解らない事が多い。
貴方が必要だとさ、無理はするな」
リゲルは、そう言いながら、静かに情報を伝えてくれた。、
リゲルの笑顔に<危険>の存在はない。
そう、この星は遥か昔に危険な存在ではなくなっていた。
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- 小説・文学
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 3
- 2008/03/04(火) 16:46:00
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 3
この星を破壊した文明を知るすべは、ほぼ壊滅し、
僅かに残ったところが点々とあった。
それを調べる事により、滅んでいった星々に
いくつかの共通点がある事が、ここでも証明されることになる。
探査メンバーが待つ山に降りた。
この山の地には、文明が存在していた事を示すものがあった。
かつて緑豊かな森であった木々の化石群と、
人々の生活を潤していたであろう川の跡と、町と思しき遺跡。
砂を舞い上げて乾いた風が吹いた。
目の前に昔の町が蘇る。
恒星が、眩しく輝き、この星を暖かく見守っている。
川の水が生命たちを育んでいる。
「人」は、水路を作り大地を潤し、作物を育てている。
赤・緑・白・黒・黄色の色彩豊かな長い布を、
穴をあけてかぶるように着ている「人」
(女性)がこちら側に3人、向う岸に2人。
何か植物の葉と根のような物と、赤い実を洗っている。
食事の準備であろう。
「小さい人」(子供)が、5人。
浅いところで楽しそうに水遊びをしている。
いや、もう一人が水の中だ。
後ろ向きの「仲間」をおどすつもりのようだ。
足元に近寄って飛び出した。
相手は「うわぁ!」と叫び声をあげながら、
派手に水しぶきをあげて倒れ、皆、大笑いをしている。
対岸の道を、家畜を引く「人」(男性)が、
髭面の口元を楽しそうにゆがめて、
川の様子を見ながら、森に向かって歩いていった。
「人々」のあたたかな心が伝わってくる。
緑の木々から聴こえる小鳥達の歌。
岸辺で風にゆれている白い小さな花の優しく甘い香り、
そして清涼な水しぶきの湿度を含んだ心地よい風がふく。
恒星の周りを数百回周ったであろう時が過ぎて、
他の陸地から、人が押し寄せ占領と虐殺、破壊。
そして、ここに彼らの子孫は、いなくなっていた。
それからさほどの遠くない間に、
大小の戦争がこの惑星上で頻繁に起こった。
自分達の正義の為に戦争をする彼らは、
戦争を商売にしている者の思惑通りに、
少し時が過ぎるとまた戦争を繰り返し、
悲惨な地獄の爪あとをここ彼処に残した。
誰もが、殺し合いのバカらしさを知っていた。
呪われた人々は、逃れるすべを模索し、
平和と小さな幸せを望んでいた。
目眩?!
軌道上で感じた、恐ろしいイメージが心臓につかみかかろうと、
急速に足元から這い上がって。
いきなり頭と心臓を中から、吹き飛ばされるようなショックが襲った。
それは、一部地域における小競り合いの末、
数人の狂った権力者によって、もたらされた地獄であった。
憎しみを、悲しみを、苦しみを、喜びを、夢を、幸せを、愛を、、、。
その全てが、悲鳴を上げてこの星から宇宙空間に飛びちった。
最初の攻撃で都市という都市は破壊された。
その時点で攻撃すべき敵はいなくなり、
戦争は終っていたが、攻撃は続いた。
悪魔の炎・悪魔の吐く息が、何度も地上を覆った。
この星の知的生命体「人」の多くがいた場所は、
巨大なクレータ−が幾重にも重なり、
その攻撃は、星を繰り返しえぐった。
表面で起る全てを、忍耐の限り静かに信じて見守ってきたが、
おそろしい破壊が、星を包み込んでいった時
この星は、悲惨を封じ込める事を決断した。
地表の多くを、内部から吹き出た怒りの溶岩で、
破壊者達の世界と、その歴史を封じ込めていた。
僅かに残る海も、以前に生息していた生物の環境ではない。
悪魔の核、そして星全体規模の火山活動による
大気・土壌汚染の影響は、
万年・億年の時を凍りつかせ生命を阻むものだった。![]()
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- 小説・文学
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 4
- 2008/03/04(火) 16:48:59
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 4
リゲルが私を支えながら心配そうに見つめていた。
『大丈夫か?』だから言ったんだ。彼を連れて帰る」
「今、ついたばかり、、」ベガはリゲルの目を見て言葉が止まった。
「あぁ今着いたばかりさ、その数分で全てが解ったということだ。もう十分だ」
調査隊の責任者ベガの抗議も、リゲルの怒りには通じない。
そしてベガは、リゲルを超える者がそういない事を知っていた。
・
メディカルセンターの部屋の天井とリゲルの顔がぼんやり見えてきた。
胸が痛い、頭痛もある。そのまま意識を失っていたようだ。
「ひどい顔色しているぞ。俺のようだ」
ニヤッとしながら、私を覗き込んでいる。
「貴方の最近の状態から、地上に下ろす事を反対したんだ。
この仕事を長くやりすぎている、もう十分だ。
貴方なら最後の文明の残骸を見るまでもない事が解っていたからな。
ベガは”それでは、ここの調査が終った事にはならない”と言いやがった。
任務になると冷たい女に変身するな。
この星を最後に、仕事はやめるぞと言ってすっきりした。
まだ痛むようだな。こんなにダメージを受けるとは、本気で止めていれば良かったな、悪かった」
『ありがとう。しかし彼女を脅してはならない』
「そうだな。ベガも顔色変えていた。しかしダメージを貯めているのを見ていて、俺の優秀な頭脳が、貴方の精神を護れとさ」
笑いながらエメラルドのような美しく大きな緑の瞳が、私を覗き込んでいる。
情報を受け取り、リゲルの目は暗く沈み怒りをあらわした。
「うぅ、滅んだ文明はどこもかしこも本当に狂っている。
セントラル・シティで報告と同時に、この調査の終了にしてもらおう。酷い、、」
『伝えられるのは限られた情報だけだ。普通神経が持たない』
「確かに俺は、普通じゃないな」
『いや、リゲルにもすべては伝えていない。しかし間違えなく君のフォローがあってできる事だ』
「くそ!まっいい、俺が役に立っているわけだ。
十分に休養をとってから、あの星の報告をするといい。その時はまた俺が必要だな」
『ありがとう。ドクターが来る』
少しすると部屋の扉が開きドクターが入ってきた。
「患者に大声で何を話しているのですか」巨人のリゲルを見上げて言った。
「あぁ、地声だ」
私がニヤッとしたのを見た医者が
「良い刺激に、は、なっているようですね。」
わざと区切って言いながらモニターを見ている。
「脳は厳重に保護されているようでしたが、心臓へのダメ−ジは酷く一時、皆慌てたのですよ。まったく驚異的な回復力です。
貴方には神経に作用する薬が効かない様で申し訳ありません。他の方法も検討して
いるのですが、リゲル、君がそうして付き添ってくれて助かっているよ。
二人だけの時のデータ―が違うからね」
「少しは回復の手助けになればと思って側にいるんだが、鋼の心臓の持ち主だからもう大丈夫だ」
「しかし今の仕事は、やめなくてはなりません。間違えなく負担が大きくかかっていますよ」
『分かっている』
「さあ、休ませて上げてください。また後で」
「おやすみ」そのままリゲルは、一睡もせずに付き添ってくれた。
*
今朝はすっきり目が醒めて気分も良い。
少ししてドクターがやってきた。
「モニターで経過を見ましたが、もう退院してもいいでしょう。
仕事の件では報告を入れさせてもらいましたよ。暫く休みを取ってください」
と言ったあとに付け加えた。
「メディカルセンターでは、貴方とリゲルを大歓迎します。
なぜならだいぶ前から、一斉におかしな事が起ると度々報告が来ていて、
それは貴方やりゲルに関係あるとメディカルセンターのデータ―管理と
医者達の間で噂になっていました。もちろん外には漏らしてはいません。
医者が要らないことになってしまいかねません。いつか来ていただける事を願っています」
「新しい仕事は、ドクターのお手伝いか。それもいいが、プレイゾーンの管理人を
しながらじゃダメですかね」とリゲルが言った。
「プレイゾーン、はははっ!子供達はいいなぁ。しかしこちらにも来てくれる事になれば嬉しいですね」
この5日間点滴だけで後は大きな声の持ち主の力強いパワーが静かに私を包んでいてくれた。
彼のパワーに癒される事の気持ちよさは、すでに経験済みだった。
精神と身体に傷をつけてでも自分のコントロールできる限り、
ここの者達と共に生きる事が大切なのだ。
ベガは毎日来てくれたが、ある緊張感がつきまとっていた。
リゲルには彼女に伝える事があると、入院以来始めて部屋を出てもらった。
私と同じようにリゲルの素晴らしさを知っていた。
しかしリゲルは私の事でかなり強い調子で言ったらしい。
過去に彼女が経験した何らかの怖れが復活し、彼女の心にプレッシャーをかけていた。
ベガの瞳を見つめながら
「毎日ありがとう。私は心に叫びがあるのをほっては置けない、その為なら違反行為もする。
不必要な記憶は消しても良いし、利用できる部分だけ残しても良い」
と言ったがこれからの為に彼女の意見は無視した。
「今の仕事はもう降りる事にするよ。君は責任者として立派な仕事をした。
また別な仕事を一緒にしたいね」
「ありがとう、私が誘ってしまった事で、大変なことになってしまい、、」
気丈な彼女の目に、うっすらと浮ぶものがあった。
「私があえて、望んでやった事だ。皆に迷惑をかける事になった。
私の方こそ謝りたい。もう大丈夫だね」
彼女はゆっくりと頷くともう一度謝って、笑顔で部屋を出て行った。
退院の際に医者は、
”残念ながらメディカルセンターでは、あなたの神経構造は複雑すぎて手におえなく、
ショック状態を緩和する為のものを中心に強化栄養剤を投与するしかありませんでした。
暫くはゆっくりしてください”と嘆いていた。解りきっている事だった。
*
異星人同士が行動する為に必要な検査は、どこでも当然行われる事だが、
ここでは仕事の関係上、徹底した検査が全てのメンバーに対して行われた。
科学者も医者も興味の全てを持って、”能力と影響の実態”という研究課題で
リゲルと私は何度か調べられた。
結論はそれぞれ惑星人の中でも希な突然変異だとされている。
解明できるまで付き合うつもりは無い。ここでも私は違法行為の常連者となった。
リゲルは、
「俺たちはきっとコンピューター登録機密事項に、特殊生命体か化け物となっているぜ」
と冗談を言っていた。
宇宙に存在する全てが、唯一無二の存在である事実は変えようが無い。
しかし、どうも一定の枠に入れて同じかそうでないかを、分別したい種が多くて厄介だ。
これで子供達の元気に遊ぶ姿でも見れば、かなり完璧だろう。
若い生命は、個々がエネルギーに満ち溢れ、周りに燦燦と生命エネルギーを
惜しむことなく降り注ぐ。
それはまるで恒星のようだ。いや、生きた宇宙そのものなのかもしれない。
この子等に「すばらしい未来を」と思わない者はいないはずなのだが、
現実はあまりに悲惨な事が多い。
久しぶりに
「プレイゾーン”に行ってみようか」とリゲルに声をかけると
「おぉ行くかぁ?! だが適当にしないと、滅茶苦茶に遊ぶのは、まだ早いだろう」
「それはリゲルだろう。私は君と子供たちが遊んでいるのを見ている」
「確かにそうだ!ハハハッ!」
彼は入院中一睡もせずに、付き添ってケロッとしているのだ。
そしてメディカルセンターの治療だけでは、私はまだ深い眠りについていただろう。![]()
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- 小説・文学
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 5
- 2008/03/04(火) 16:49:51
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 5
調査隊のメンバーと展望ルームへ来ていた。
自分が宇宙空間に浮いている感覚を得られる。
私は、今ここの銀河を外から見ている。そしてそのイメージを皆で共有していた。
漆黒の宇宙に忽然と、まばゆく広がる光の銀河の渦。完璧な調和を保ちつつ恒星が誇り高く輝いている。
聴こえないはずのない銀河の回転の音が、足元から登って全身を包み込む。それは、宇宙の大交響楽と光の共演。
まったく言葉を失う美しさとはこの事だろう。
暫くその美しさに酔いしれていた時、ふと思い出したイメージが静かに浮んできた。
まるで”忘れないでくれ”とでも言うように。
真っ暗な闇に圧倒的なインパクトで輝く”青く輝く水の惑星”
それは、水蒸気の白く輝く雲に、見え隠れする緑の森と土の大地。
エメラルドグリーンの波、マリンブルーのグラデーションが美しい生命の母、海。
両極に凍てつく太古の氷をかかえ、
青く透き通る薄い大気の層で包まれた”奇跡の惑星”であった。
間違えなくあの星のかつての姿であった。なぜか懐かしいような全員言葉も出ない。
少しして
「オイ〜、勘弁してくれ。大の大人が揃いもそろって」と巨体のリゲルが沈黙を破った。
皆、夢から覚めたように笑った。
「これがあの星の姿、、、、綺麗」ベガが呟いた。
地上に降りた調査メンバーの一人が、
「あの星の現状からは想像もつかないな、あまりに美しいだけに辛いものだ」
”青く輝く水の惑星“は私達の前から姿を消し、展望ルーム一杯に星の瞬く見慣れた世界がそこにあった。
私は皆に謝ってそこを出た。
ベガは、リゲルに『一緒に行って』と伝えていたが、
リゲルは返事をせずに私の後についてきた。
全てを報告するため、シップの中央にあるメインコンピューターとコンタクトを取る宇宙港の区画内にあるブースへ向かった。
本来外から帰ってきた者は、エア洗浄と全身チェックをされ、ここに直行する規則になっていた。
静かに後から来たリゲルはブースの前でニヤニヤしながら言った。
「最低な顔色しているぞ大丈夫か?ここで待っている。頭来てコンピューターをぶっ壊さないでくれ」
「ああ、その時は教えるさ。全区画に非常事態、退避命令をだせとな」
「がははぁ〜!何光年離れたらいいんだ?全員が逃げるまで我慢して欲しいもんだな」
「我慢?この宇宙に、知的生命が誕生して以来、悲惨な歴史が未だに繰り返されている。
時にはこの世界の悲惨な記憶ごと、すべてを消してしまいたいと思う事があるよ」
「この銀河ごとかぁ?!それは勘弁してくれ。フフッ、ここで待っている。」
リゲルらしい反応が返ってきた。
「ここで待っている」と2度言った。
吹っ飛ぶな、必ずここへ戻って来いと言うメッセージだ。
リゲルには何度か迷惑をかけていた
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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 6
- 2008/03/04(火) 16:51:28
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 6
私は、我々の銀河の中で、”みる・かんじる“能力が優れているといわれる星の出身だ。
我々の間では、互いにそれが当たり前なので問題は無いのだが、
一歩外に出るとお構い無しに襲ってくる情報は、我々を苦しめ,
時に死に至らしめる事さえあった。
そのため長い間、星の外へ出ても知的生命体との交流は避けていた。
しかし次第に他の星から宇宙空間へ飛び出してくる情報に、
自分達のあり方を変えざるを得なくなり、我々の恒星が銀河を
一回りするほどの時間をかけ、コントロール方法を学習していく中で、
他の星の人々と交流し、時と共に繊細ではあるが少しずつ強い精神力を持つ種となった。
あらゆる生命達の存在する惑星上におこる悲惨な歴史の事実を調べる仕事には、
現在我々の星の者がつく事では無かった。
なぜなら過去に発狂、時にはショック死もあり、
仕事を許可した者が間接的な殺人者となりかねないかった。
「どうしても解明できない不可解な部分があるので、その部分だけ調べて欲しい」
という、調査委員会から是非ともと言われましたと、ベガが申し出1回だけという
約束で行った。
それまで多くの時間を割いても解らなかった事が、数秒で結論が出る。
それ以降、何度か私が行く事となった訳だ。
もちろん終ってから、すぐに呼び出された。生命保護違反、ETC.だと。
ベガも私も、罰せられるところだったが、私の熱望により許可が出たことになっている。
(気分が悪くやっとの思いで我慢して立っていたのだ)ともかく早く終らせたかっ
た。審議委員の心とメディカルセンターのコンピューターを、少しばかりコントロールした。
テレパスである事は知られているが、殆どのものに影響できる事は誰も知らない。
(どれほどセキュリティーが高かろうが知りたいと思えば良い)
そして同時にそのパワーの限界は人の世界で知りようがなかった。
宇宙では無数の非常事態が、同時におこっている。
”地獄を見に行く事”が仕事なのだ。
滅んだ星の調査の度にストレスを溜め込んでいた。
我が家に戻って少し休めば楽になるが、そう頻繁にこの世界に出入りするのは、
私にも影響が大きい、まだ慣れていないということころだ。
リゲルは「ここで待っている」と言ったが、私が青ざめた顔でブースから出て来るか、リゲルが飛び込んで来る事もあった。
1度は周辺のブースごと外へ吹っ飛んだ事もある。
この時けが人が出なかったのは、異変を察知したその瞬間、
リゲルがこのブースのある区画にいた全員を、安全な場所へ移動したおかげだった。
皆の安全を確保した次ぎの瞬間、宇宙空間で意識を失っている私を、
連れ戻しに飛び出して行った。
私は、ストレスにより、コントロールを失い暴走した事になっている。
皆からこの記憶を消してしまいたかったが、自分の方が意識を
失っていたのでしかたがない。
メディカルセンターで数日間、治療という名の検査付けの隔離状態になった。
リゲルは私の傍らにずっといたが、退院する日に心の中の疑問を伝えてきた。
『意識が無い状態で、宇宙空間にいた貴方は何か違うと感じた。
俺が保護しようとしたその瞬間戻ったようだった。いったい貴方は?』と
禁止保護条項にあたる質問をした。
『強いダメージを受けるとそうなるのだろう。自己防衛本能の一つだ』と伝えておいた。
このままでは、危険な存在となる可能性がある事を認めざるを得ない。
メディカルセンターを出てすぐに、この任務を降りる事を申し出たが、
許可が下りるどころか、危険な目にあわせた人たちへのカウセリングを、
当の本人がするという事になってしまった。
「皆は、貴方と直接話しができるならと喜んでいる。是非そうしてくれないだろうか」
責任を取れと言う事である。
意識が戻って事態が解った時すぐに、皆にコンタクトを取っていたのだが
それぞれのプライベート・ルームに再度謝りに行った。
「もういいのですか?」
「怪我は?」
「貴方だったなんて信じられませんでした。大変でしたね。お体はもう良いのですか?」と口々に気遣ってくれた。
しかしその先に個人的な聞きたい事が山ほどあった。
プライベートな禁止事項の質問が心から溢れていたのだ。
「規則違反になるから答えられないのだよ。皆が想像している事と
今、目の前で話をしている私とに差があり過ぎるのだが、くくくっ」
と、真実のみを答えた。
カウセリングと言うよりも、皆の間で噂に上っていた事を聞かれ、頼まれた。
「美しい銀河を、一度見たかったので是非お願いいたします」
誰かが話したのだろう他の区画の人たちにまで集まってきた。
展望ルームは満員状態で、溢れた人や来たいと思っていても来られなかった人に
も、皆で一緒に共有して、我々の美しい銀河を外から眺めた。
漆黒の宇宙に浮かぶ、無数の光の渦があまりに美しい。
壮大な生命の交響曲の中にいるような感動が心を捉えて離さない。
『これが私達の銀河、、』
『何て綺麗なんだろう』
『なんだか怖いくらいに美しい』
それぞれの思いが静かな感動となって溢れていた。
シティの人たちとの、いいコミュニケーションになった2日間だった。
皆の喜ぶ心が降り注いできて、終ってみれば私が癒してもらったという事になった。
その事故以降、リゲルと私は必ず2人で行動する事になった。
常に一緒で行動する私達を仲間は「最も危険な二人」と呼ぶようになった。
通常パワー的には、巨人のリゲルは私より遥かに危険な存在だった。
私にとって、緊急事態が同時に幾つ重なろうが、どんな場合であってもコントロールできないと言う事は、あってはなら無いことであった。
しかしベガは、
「我々生き物は、完璧ではないのです。私達にとって完璧でない事が、貴方を”人”として、受け入れられる大事な一つです。」という。
私は、”人”としてとしてまだ初心者に入ると思う。
「どう見ても人ではないかな?完璧な存在には程遠い」
「でも、、、、元々そういう方なのですか?」
「なんと言えば良いのかな。ある程度皆に合わせて今ここに皆と居る。私はこういう人だと言う事だ」
「さらに興味が湧いてきます。もちろん礼儀を護って勝手に覗き込んだりは、致しませんが」
「そうだね。ベガの為に脅かすつもりではないが、パワーレベルが違いすぎる。
普段は問題ないが、私の意識状態が不安定な時は、下手に精神に入ってこようとするとかなりまずい事になる。どちらにしても、声をかけるかテレパシーで、呼びかけると良い。シティの人達の潜在意識の中にインプットして置く必要があるかな」
「あら!それって大変。その前に一応シティ全体に特例として情報を伝えなくては」
「くくっ!意識状態が不安定のため絶対に覗かないようにと?ここの構造は筒抜け過ぎるな。ちょっと手を入れるかな。許可を貰っておこう」
「貴方の星は大変美しいし、そこの人々もとても神秘的です。その事は有名で皆知っていますわ。
礼儀として勝手に除いたりしない事は当然として、要注意事項として覚えておく必要がありますね。
子供達には本当に暗示にでもかけておく事が必要かもしれません。怖〜いかもしれない、おじちゃんだよって、ふふふっ!」
彼は驚いたような顔で言った。
「!おじちゃん?ひどいな。子供達からは見るとおじさんか?お兄さんって感じるのはどのくらいまでだ?」
「それぞれ年代によって感じ方が違うのは当たり前じゃないですか、不思議な事で悩むのですね」
「私は幾つに見える?」
「えっ?見た目よりきっと年上だとは思うけど、20代前半から25くらいでしょう?」
「酷いなぁ、それはおじさんだ!」
「うそ!幾つなのですか?」
「せめて10代にしておいて欲しかったな。私の星では成人は、殆ど自己申告制で友達と祝うのが一番多いが、私はまだ成人してない」
今度はベガが目を見張った。
「そんなぁ!だって貴方は、、、驚きました。不謹慎ですが、ますます興味がわいてきてしまいましたが、プライベートな事ですね」
薄紫の美しい瞳を持つ彼女に、彼が優しく微笑んだ。
「なんて、、美しい」ベガは言葉を失って、彼を見上げていた。
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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 7
- 2008/03/04(火) 16:52:22
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 7
メディカルセンターから仕事に対して、厳重にドクターストップがかかり、
何を希望するかを、考えた方て欲しいと言われた。
教育者、カウンセラー、医者、プレイゾーンのスタッフETC.仕事はいくらでもある。
メイン・コントロールルームの管理スタッフに、ボスと面会したいと伝えた。
「解りました。お待ちください。、、、、、直接お話を。」
「今メイン・コントロールルームにいます。こっちヘ来てもらえますか」
「わかった」
メイン・コントロールルームの奥がボスのプライベート・ルームだ。
「ドクターと、リゲルから報告を受けました。『こちらへ戻ってこられるのですか?』」と聞かれた。
「リゲルをつれて行けば、そう長居は出来ない」
「なるほど。しかし、異星人をそう簡単には連れて行かれないのでは?
二人一緒で、それもいつ帰れるかわからない状態では、困ります。
緊急に対応できるメンバーの訓練中でもありますし、今では、2人ともここでは、なくてはならないメンバーズの一員です」
「わかった『、、ON』さしあたって今この近辺に危険は無いし、可能性も低い」
「なっいきなり、、、」
「一瞬目眩がしたか?私がONと言った時は、少しパワーの質がが変化するという意味だ。他の人がいる時に黙ってやらない。
リゲルの事は、大丈夫だ。このシティにとって、今の状態の私はやや危険だから、
リゲルが送る事にしてもらえば、入るのはたやすい」
「セントラル・シティに危険は無いと言われましたが、どのくらいの範囲ですか?」
「今回私の星を行き来する短期間で、セントラル・シティ及び関係惑星国家に対する危険を限定し、この周辺からすべてを確認した。
ブラックホールの変動も近くにはない。星の自然活動のいくつかは、問題があるが、何かあるようだったらその場で対処するから心配はない。隣の部屋にいるようなものだ」
「一瞬!?近未来までその場で判断して?以前に我々の使用しているメインコンピューターを、”単に小さな入れ物だ“といわれた、意味が解ったような気がします。リゲルの件はお任せします。
あちらでゆっくりできると良いのですが、貴方が戻ってこられる事を全シティが、お待ちしております。
ところで今の”ON”、仕事のとき以外は、ずっとOFF状態なのですか?」
「くくっ、常時OFFだ。一瞬のONで周りはそれだ、常時はとても出来ないだろ?
私も周りに神経を使って仕事にならない」
「常時OFF?!仕事中も?」
「プライベート情報だね」
「規則違反」とボスは笑いながら呆れたようにいった。
リゲルに送ってもらって、一緒に帰ってくるだけだ。
一応私の貢献度からして、星の方でも文句はないだろう。
*
2つの恒星育てられた、二重輪を持つ美しい大惑星だ。
過去において、文明の崩壊か共存の道の選択かという時に正しい選択を選び、
自分達の掟を変えてでも、周りの星との交流を持ったという歴史をもつ。
一度、展望室で調査隊のメンバーに私の星の紹介をしたことがあった。
「綺麗だな、、、2つの恒星の光が、二重の輪を、神秘的に次々と変化して見せる、銀河一美しい星かぁ、素晴らしい眺めだ」
「不思議な魅力がある、いかにもあなたの星ですね」
「そうかな?くくっ。いつでも招待する。休みが取れればだが」
「異星人は、厳しい審査が必要なのだろう?」
「私の管理下ならリゲルでもOKだ」
「管理下?!」
「これでもそのぐらいできる立場だ。それに登録情報上は、リゲルはかなり危険だ。行くなら私とでなくては永遠に入れないぞ」
「俺のコントロールは、今まで問題は無い!貴方の方がよほど危険だろ」
「そうだな。私の監視役君、あの星は間違えなく気にいるぞ」
「ははは、止めても行くさ! 立場ってどんな?プロジェクト以外に
ここで仕事しているから、役人と言うことはあるまい」
「当たり前だ、役人ならとっくに首だ」彼は笑っている。
「ところでどの上司も尊敬をもって話すけれども、もしかして王族のそのまた
親戚とか。はははっ!星を代表する役職に付いていては、
ここには来られないだろう?するとたいした権力じゃないと言う事かな」
「プライベートな事に話が及んでいるじゃない。規則違反ね。
それにしても異星人に対しては大変厳しいはず。星が唯一自分達が平静で
居られる場所なのでしょう?滞在区は限られているそうだし」
とベガは私を見ながら言った。
「あぁ、規則違反間違え無しだ。異星人に対しては審査があるが、来客をもてなす
意思として、素晴らしい景色の所に最高の環境設備を具えた滞在区がある」と
私が言うと、リゲルがその大きな声で、
「そうか〜!滞在区の管理者の御曹司か、憧れの行って見たい星だからな
丁寧に話すわけだ。楽しみだな、俺は行くぞ!はっはっはっ」
彼は巨体を揺らして笑った。皆もそれで納得したかのように笑った。
「それなら、リゲルも尊敬を持って話すほうが良いんじゃないか」
「なるほど、いや、尊敬は誰よりもしているぞ!」
「何がなるほどよ、尊敬してるって威張っているんじゃないわー、まったく」
柔軟な心は楽しい。
リゲルは、もちろん輪の中の本星に行くつもりだ。
私の星でも、すでに巨人のリゲルは有名なので、子供たちが、喜ぶ姿が目に浮ぶ。
現代では多くの子供達が、外へ出る事を目指して早くから自分のコントロールを
訓練する。システムがはじまって以来の騒ぎになるな、子供達はリゲルには会って
見たいだろう。
長老達は私に、”出て行かれて以来、一度もお帰りにもならずに”と眉をひそめるだろう。
皆のお相手は、少し休みを取ってからにしたい、我が家に直行だ。
外から来る船は全て、輪の外にある宇宙港から入る。
異星人は、必ずここでの審査をパスしなければ、客にはなれないが、
帰る日が決まり次第、
<別ルートにて直行・こちらからコンタクトを取るまで完全OFF>と厳命して置かないと、騒ぎになる。
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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 8
- 2008/03/04(火) 16:53:17
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 8
惑星リトル・ログは、衛星も無く単独の大惑星で、外見は険しい。
遥か昔に星ごと消滅するかという戦いがあり、美しい星を破壊し、今のような険しい不自然な形の山々が過去の悲惨さを伝える姿となっていた。
巨大なクレーター群、2万メートルを越す深海もあった。
この星は本来”力ある生命”の住処であった証明として、今では破壊されたはずの自然も復活し、多くの生命が生息する森の大陸であり、そのまわりは美しい碧の海である。
この惑星の重力が大きいため、外からの訪問者はほとんどいない。
この星の住人の身長は平均3.82。リゲルは、4.89あり、この重力の中で長身の太い骨は筋肉をと共に育ち、まさにこの銀河一の巨人たちの星だった。
そしてそのパワーは、この銀河のヒューマンタイプでは類を見ない。
しかし彼らは、その巨体に似つかわしくない繊細さと、ユーモアを持ち合わせてた。
肌の色は薄い灰色のろう人形のようだという人もいるが、長い睫と宝石のような美しく輝く大きな緑の瞳で、人々に安心感を与える優しさを持っている。
大昔、突出したパワーの持ち主がいた。その力で権力をつかみ誤りを侵し、次第に自分の星だけでは飽き足らず、外の星まで制服しよう画策をした。
その理不尽な行いに、我慢の限界を超えた民衆が永い時と共に眠っていたパワーを爆破させた。それがどれほどのことになるか、狂っているが故に権力者には想像がつかなかった。
星ごと、この宇宙から消えていたはずだった。
しかし戦いの混乱の中、民衆の暴走した力を押さえ統率する勢力も各地に目覚め、多くの犠牲とともに狂った権力者を葬った。
しかし負の歴史は、形を変えて起った。
2度と同じ過ちを繰り返すまいとしてはじめた検査制度により、強大なパワーを持つようになるであろう人々を隔離し矯正した。過去には矯正による錯乱で大量虐殺も起った。
愚かな行いは歴史に裁かれ1000の時を経て、外の世界と交わる度に自分達の影響力の大きさを自覚し、コントローする事を学び、現在まで安定した平和の歴史をもっている。
今では外の世界から”絶対平和主義の心優しき巨人”として、有名である。
遥か時を経て、とてつもない存在がまたこの星に誕生していた。それがリゲルであった。
これはリゲルのプライベート情報の為、彼自身に許可をしOPENにしている一部分だ。
リゲルはこの星の教育システムに入れられる優秀な子供として育てられたが、その時点でもっと優秀な子供達は他にもいた。体格は同年代の子供達の中でも際立って大きかった。
リゲルは何よりも特別になりたくなかった。
「優秀」という基準で、都市から離れた辺境地域にある、教育センターに家族と共に移る事になる。
いつも遊んでいた友達と一緒でいたかっただろう年頃に、隔離されて教育を受けるのだ。
教育センターの大人たちはプログラムにそって頑張っている子をよく誉めた。
皆どんどんそれぞれの才能を伸ばしていった。リゲルも誉めてもらえる事がうれしかった。
ある日リゲルと同じ歳の子が、一番優秀だったが精神的面で未発達の部分があったのだろう、突如暴走したが、すぐに彼は大人たちの手によって助けられ、リハビリセンターへ移って行った。
当然子供達は強いショックを受けた。
教育センターシステム全体の問題であり、それ以上に大人たちは、過去のあやまちの歴史に震えた。
以来さらにリゲルは、本能的に自分を押さえる事を身に付けていった。
数年して教育センターを無事に卒業し、リゲルの家族は、新しい仕事と共に都市に移り住んだが、半年後に軌道上の宇宙港職員として務めることになり、家族とはその時別れた。
ここは貿易外交の仕事が主だったものだが、職員に教育センターを優秀な成績で卒業した先輩達がセキュリティー部門に数人いて、リゲルに声がかかったのだ。
私の星とは貿易以外の外交があった、それは互いの個性豊かな能力を認め合い学びあうことで、この銀河に貢献できるのではないかと、そのためのプロジェクトが行われていた。
この2つの星の住人たちはある意味突出した個性のため、まだこの世界で活躍している人は少なかったのである。
リゲルは、以前に職員として一度、私の星の輪の外にある宇宙港に来た事があった。この星に来るに当たっての注意事項を聞いて、緊張した。もちろん宇宙港止まりで、星に入ることは無いが、何か自分を見透かされるような気がしたらしい。
先輩は、「特に私たちは異星人に対する、配慮を当然しなくてはならないが、それほど緊張する事は無い。ここへ来て感じた事の意味を、君自身がよく考えて今後の方向性に繋げて行けばいい、学ぶ事は沢山あるのだ」と笑って言った。
この星側のメンバーの一人として、たまたま来ていた私とリゲルはこの時、初めて出合ったのだ。
「これはめずらしい。貴方がいらっしゃるとは」リゲルの上司が言った。始めて来たメンバーは、私を『誰?』と思っていた。
「提案者の一人として時々参加したいと思っているが、なかなかこられなくて残念です」
「それでは、今回始めて来たメンバーをご紹介したいと思います」
一人づつから挨拶を受けた。
リゲルの番だった。
「リゲルと言います。先輩と同じく教育センターの出身です」
「私は、貴方方の宇宙の宝石とも言える美しい瞳に心癒され、その素晴らしいパワーに尊敬の念を抱きます」と言うと、リゲルの瞳は緊張で色が少し変化していた。
「おー、そこまで言って頂けたのは始めてですね。ありがとうございます。どうも皆、緊張しているようですが、よろしくお願い致します」と上司は嬉しそうに言った。
「こちらこそよろしくお願いたします」
『あっ、、、』私の心にリゲルは言いかけたので、私は頷いた。
『大丈夫だ。後で良かったら』と伝えた。
リゲルはそれだけで安心したのであろう、その大きな目は元の美しいエメラルド色の瞳になっていた。
彼等リトル・ログ星人の緑の瞳の色は、同じ緑色だが、一人として同じではない。特にリゲルは僅かに色を変化させる事がある。
リゲルの美しい緑の瞳の色が著しく変化する時は,気をつけなくてはならない。
仕事仲間で、リゲルの目の激変を見たものは、わずかに数人であろう。
一通り今回の課題が終った時、私はリゲルのところへ行った。
「何か、課題以外に聞きたい事はありませんか?」
「今日は、大変興味深い体験をさせて頂きありがとうございました。」
「あなたは上司の事をよくご存知ですか?」
「えっ?彼の事ですか」向こうから、上司が真剣にこちらを見ている。
リゲルは一瞬ドキッとしてガードしたようだった。
「彼は、素晴らしい存在です」
「? もちろんです」
「いえ、他の人に比べてどうも貴方と近いようですが、違いますか?」
「それは、、、違います」
『私には勘違いはありません。しかし貴方の上司には勘違いとしておいたほうが良いのですね』
『あっ、、、いえ』
『彼も初めて私達にあったときは、今の貴方と同じようでしたよ』
リゲルは、上司がこちらに向いているのを感じた。
振り向くと彼は優しい目でそこに立っていた。
「リゲル、この方には、本来の自分でいいのだ。私はそれがどれほど嬉しかったか、意味が解るか?」
「ゆっくりでいいのでは?リゲルに任せたいと思います」
「そうですね。リゲル事は、挨拶の時に貴方がおっしゃった事で、確信しました」
『貴方と出会えた事を嬉しく思います』と、リゲルの緑の瞳を見つめて伝えた。
私はリゲルに大変興味を持ったというより、運命的なものを感じていた。
「セントラル・シティに運ぶ物資があるので立ち寄る予定がありますが、お時間が取れるようでしたら、ご一緒にいかがでしょうか?」
「ありがとう。多くの世界の人が宇宙の為に働いている、憧れますね。私もそこに仕事をしたいものです。せっかく出て来たのですから、行きましょう」
「貴方が仕事を?!ご自分の星で大変な事になりますよ。はははっ!今日は御一緒できるのですね。素晴らしい。この星の人も数人働いていますが向うで顔を会わせることがあれば、ビックリしますね。このプロジェクトの事は、向こうも歓迎しているのでシティの皆に喜ばれます」
「いや今回は、プロジェクトの新規メンバーの一人と言う事でなら」と、リゲル彼の上司に言った。
「そうですか、解りました。貴方の事は新規メンバーと言うことで、今回は静かに行きましょう」
リゲルのまだ出てきていない静かなパワーを秘めた心に、触れてみたかった。
そして彼にも私に少し触れさせてみたかった、どんな反応を示すのか。
私の星では帰ってからがうるさい、少しばかり調整をした。
宇宙港で少し滞在し、美しい輪を見ながら仕事をしていた事に、、。
それから、暫くしてセントラル・シティでの、長い仕事についたわけだ。
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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 9
- 2008/03/04(火) 16:54:28
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 9
今日リゲルと共に私の星に行く、同行許可が出たからだ。
我が家にいる間だけでも、少しリラックスさせてもらおう。
輪の外にある宇宙港に暗証コードを使って連絡を入れた。
[別ルートにて直行・こちらからコンタクトを取るまで完全OFF]
[暫くお待ちください]
これだから、シップで帰るのは面倒でいやなのだ。入港規約改正を申し出よう。
『私だ直行する。完全OFFだ 解るな』
『アッ、はい!失礼致しました。コンタクトを、お待ちしております』
『よろしい』
私の船はりゲルには少し狭い、我々に合った船を新しく作らせよう。直行便登録をして(笑)
普通の移動には乗り物が無くても良いが、緊急事態に対応する為にシップが必要だ。
「さあ、送ってもらおうか?」
「おい!連れて行ってくれるんじゃないのか?俺じゃ、入れないぞ」と困ったように笑った。
「くくっ、一瞬で着く」
「ONか、、な、何度経験しても慣れる事はないな」
「リゲル、どこを見ている?ここが私の家だ」
ゆっくり周りを見回して「あ〜嘘だろ〜、、、イメージが違った」
壁のように高く山頂に雪をかぶった山々に囲まれた、高原の美しい湖のほとりに我が家はある。
「そう?ジャングルを越えて山の洞窟の奥深くにある家か?」
そう言いながら船を下りた。
「気持ちのいいところだな〜。山も湖も本当に綺麗だ」と言いながら深呼吸して
「?あっ!空気が、俺の周りの空気は俺の星のものか?」気がついたようだ。
「そう、いいもてなしだろう」
「良い、肺の細胞が喜んだ!」
「くくっ」
そのまま歩きながら水際へ来ると、向こうから3羽大きな白い水鳥がやって来た。
「ひさしぶりだね」と彼が声をかけた。
頭を下げるようにして、嬉しそうによってきた。
『リゲルは、私の大切な友人だ』と私を紹介している。
すると水際までバシャッ、バシャバシャッ!!と魚達が集まってきた。
「どこへ行っても周りに人といわず、あらゆる生き物が寄ってくる。なんか楽しくなってくるよな」
「昔からね」
「ここでは私がコンタクトを取るまで静かに休める。さあ、私の家へ。リゲルにもくつろげると思う」
一見して質素で小さな建物だった。巨人りゲルから見ると物置程度の大きさだ。
正面の壁だったところに、スーッと筋が入って音も無く入口が開いた。
「まるでシェルターの入口じゃないか」
「ビックパワーのプライベート・ルームみたいなもんだ」
「なるほどね」
中へ入ると外観とはまったく異なり、充分な広さがあった。
[お帰りなさいませ]とどこからとも無く、柔らかな小さな声がした。
バルコニー側の全面が、大きな透明の扉で、外に広がる景色を満喫できた。
「!このリビングからの景色は、まるで絵だなぁ」
「刻々と変化する絵画と言うところだろう。ところで何か飲み物は?」
「メイドのアンドロイドでもいるのか?」
「いや。今は木苺の時期だな。木苺とミントのお茶も口がすっきりする」
「あぁ、そうか、、え?」
テーブルの上にお茶と、木苺のチョコが。
「この家全体が、客をもてなしてくれる」彼が微笑みながら言った。
「、、、すごいな。なるほど滞在区は、お客が喜ぶように出来ている訳だ」
「ここは私の家だ。滞在区はこことは違う。後で連れて行こう」
「!滞在区以外に、私を連れてきて大丈夫なのか?」
リゲルは少し驚いて言った。
「私の家だOKよ。私がコンタクトを取らない限り誰にも分からないからな。ここでは私もONでもOFFでもない。少し開放の状態でいられる。
リゲルも私が目を回さない程度にガードをはずせ」とニヤニヤしながら言った。
リゲルは、やっと私の変化に気が付いたようだ。
「本当に不思議な能力の持ち主だな。普段は我々に合わせているわけなんだ」
「そう、ある程度合わせている。でもそれはリゲルも同じだろう。私は他より少しばかり心が柔軟なだけだ。宇宙は常に変化し続けるが
不変の法則と真の自在そのものだ。そして君も私も本来自在のだ」
「あなたを見ていると本当なんだと思うよ。」と美しいエメラルド色の瞳を輝かせて私を見つめている。
「ところで御曹司というわけでもなさそうだし、星ではいったい?」
「外の世界で多くのことを学んだ。役立つ新しい情報は、すべてこの星のデーターに課題として保存と選択・活用をしている。
この星だけでなくこの世界で役に立てたいと思っている」
「えっ?情報収集が仕事なのか?」
「くくっ、この星で情報を仕事にする者はいないよ。知ろうとすればその人の能力に応じていくらでもできるのだから。
それらの情報を最小の形でどれほど多く残し、それぞれに役立てるかは、歴史的日常だ」
「頭に他の人より遥かにでかい倉庫を持っているようなもんか」
と言いながら笑っている。彼の頭の中には、巨大な頭の私がいた。
「おい!それは酷すぎる。宇宙の情報は宇宙に置いておくし、リゲルの情報は君が持っている。それでいいのだ」
「はぁ?どういう事?」
彼は静かに微笑むと
「知りたいか?巨大コンピューターをいくつも用意する必要が無いぞ。くくくっ」
「それって、また少し目眩のするやつか」と少し嫌な顔をした。
「?どういう事だと聞いたのは、お前だろう」
「ん」
一口お茶を飲んだ途端、すっぱそうな顔をしている。
「そんなにすっぱくはない、はずだが」
「その能力があるのに、あの仕事をあえてやっているのは何故なんだ」
「その場に行けば、より多くの情報が得られる。それに未来に残すべきものだと判断したからだ」
「命がけで、貴方がそこまでしなくてもよかったじゃないか」
「命がけ?そんなつもりは無い、最初あの状態の自分に何が起こるか予測がつかなかったのだ」
「そうか。もうあの仕事はしないしな。貴方も今は少し良い状態ということだ」
「そのとおりだ」
リゲルは、ニヤッ!と笑いながらガードを解いた。空間が一瞬揺らぎ、エネルギーによる圧迫を感じた。
『くくっ、過小評価だ』と笑いながら伝えた。
リゲルは驚いたような顔をしたが、次ぎの瞬間、さっきとは比べものにならないエネルギーを全身に感じた。
それはリゲル特有のとても気持ちの良いパワーだったが、同時にここの調整もしなけければならなかった。
「大丈夫か? 自分の星でもこんな事はした事が無いよ。騒ぎになるからな」
「一瞬圧迫感はあったが適応範囲内だ」
「本当に負担にならないか?一瞬の圧迫感だけで適応って、どこまで上がるんだ?なんだかこんな気分は初めてで嬉しくなる。
でも俺は、目眩はさせないだろう」
小さく頷くと
「そうだな。しかし最初でいきなり、空間が揺らぐほど上げるか?普通危険だろう。まったく。くくくっ」
「それで過小評価と言ったじゃないかぁ!常に周りを意識して生活しているから、お互いに、本来の自分の普通の状態が、どのくらいか分からないわけか?すげぇ、はははっ!」
「この、、、。コンタクト取るために普段からOFFでギリギリの状態だ」
とリゲルの瞳を見つめて言った。
「この、何だ?」と言って、リゲルは少し首をかしげたままOPENにして私を見ている。彼も私も互いに対する警戒感など存在しない。
「いや、なるべく目眩が起らないようにだな」と笑って答えた。
僅かだがリゲルの目の色がめまぐるしく変化し続けて、その大きく美しい緑色の瞳は、一瞬別の色に変わったように見えた。
情報をどこまで理解したのか、リゲルほど私をワクワクさせる存在はいない。
私の方もリゲルのとてつもないパワーを含む、尊敬すべき個性の一部に触れた。
その夜遅くまで湖に面したバルコニーで、夜空に浮ぶ神秘的な輪と、無数の小さな金の流れ星を鑑賞しながら、
氷河のかけらの入ったグラスを片手に、静かな時をすごした。
「まるで花火の雨のようだな。これほど降り注いで、どうやって外と行き来しているんだ?」
「ほんの塵だ。バリアをはっているし、たとえぶつかっても大きな問題はない」
「そう?結構派手に見えるけど」
「監視システムは早くから発達している。それに人々は感知するからね。たとえ地上に落ちてくるような物があったとしても、それまでに逃げている」
「あぁそうだった。良いな、、、毎晩全天で金の流れ星か」
たまに吹いてくる夜風に乗って、どこかで小さな虫の声がする。
「これ、すごく美味いけど、何杯も飲むもんじゃないんだ。結構効くな」
手に持ったグラスを覗き込んでいる。
「そうか?リゲルが珍しい体質なんだろう。そろそろ中へ入ろう」
リゲルもあの後の緊張が解れたのであろう。
リビングにもどると「ここすごく気に入った」と言うと、フカフカ絨毯の上にその巨体を横たえた。
「暖かいなぁ。ここで寝ても良いかな?」
「ベッドの用意ができるのにか?」
[俺でかいから、床に寝るのに慣れているが、とても暖かくてフカフカで狭いベッドより最高に快適だ。ん〜良い気持ち、お休み」
少しすると規則正しい寝息が聞こえた。
私も休むことにしよう。
*
「おはよう」私の声でリビングの窓が開く、早朝の清々しい空気を吸った。鳥達が挨拶にきていた。
まだ恒星は低い位置に1つしか出ていないので、輪が淡い虹のように輝いて見える。
湖の水際まで続く庭に小さな花が出迎えてくれたかのようにこの家の周りに咲いている。
「こっちへこないか?」
「あぁー、貴方が観ているのが俺に伝わっているよ」と言いながら、リゲルはバルコニーに出てきた。
「今朝の目覚めはどうかな?」
「最高に気分良いよ、いやぁ〜本当に綺麗だな。開放された心の気持ち良さが分かる気がするな。ちょっと昨日のことを考えていた。
説明がつかない混沌さが残っているような感じだ」
「それでいい。必要な時に使えるようなら、たいしたものだ」
「そういうものなのか。ところで夜中に目が醒めたら、居なかったようだがどこへ?」
「寝ているところを起して悪かったな、別の空間へ行っていたほうが周りへの影響を考えずにゆっくり休めるからね」
「寝室が異空間?やっぱり変っているな」
これは私に対する否定ではなく、リゲルの理解の表し方だ。
リビングへ戻り「朝食を」と言うと数十秒後テーブルの上には、私とリゲルの為に別々な朝食が用意された。
「俺が付いてきてよかったのか?体調はどうだ」
「リゲルの気持ち良いパワーに触れているから体調もいい。寝室はここよりも更に自由でいられる。そのうち連れて行こう、きっと自分にビックリする」
「この状態で貴方に役立っているというのか?こんなにも違う存在なのに。初めての体験だらけで、自分にビックリしている暇なんか無いな」
「私には、リゲルは大変興味深い存在だが、君の方も興味を持ってくれたかな?」
「興味を持つも何も、時々同じ人という種に入れていいのかと思うよ」
「同じ人という種?自分の生れた星に連れてきた巨人に言われたくないな。
くくっ、しかしこうしてリゲルの美しい瞳の変化を見てすごすのは、本当に楽しい」
「俺も他の人々にこのでかい緑の目を見つめられる。シティでは貴方の瞳を”時に漆黒宇宙のように見えるその瞳は、人々を宇宙まで連れ出す”と言われているけど、ジッと覗かれると抵抗できる者は、いないな」
彼は柔らかに微笑むと
「抵抗しなくて良いから、好きな物を食べてくれ」
「でた!それがまた美しく見惚れるって女性陣が騒ぐんだよな」
「良いから、早く食べろ!」
「はいはい。美味そうだ、いただきます」
美味いを連発したリゲルは、大きなグラスの水を口にすると、一瞬驚いたような顔をして一気に飲んだ。
「う、美味〜い!この水美味い!」
「この周りの高い山々と深い森が年月をかけて作る、湖の底に懇々と湧く水だよ」
「へぇ〜感激だな」
リゲルがグラスをテーブルに戻した瞬間、水が満たされた。
「いいなぁこれ!」リゲルは子供のように嬉しそうだった。
「まるで俺が休養を取らせてもらっているようだ。ところで少し開放していいと言うことは、この家の中と外は別の空間ということか?」
「船を下りてから直接湖にも行ったし、バルコニーから出て湖にも行っただろう。何か違和感あったか?」
「いや、違和感とは違うが、ここの美しさに感動しただけじゃない、なにか高揚感があったが」
「ん、ここはいくつかが重なり合った状態になっている。外からは発見できない。多重空間のようなものだ」
「へぇ多重空間のような場所が、貴方の隠れ家というわけだな」
「そうとらえてもいい」
「はははっ、そうして置く。その多重空間の向こう側に寝室か、、、」
「その質問の答えは、そのうち行けば解るだろう」
白い透かし模様のカーテンを僅かに揺らして、湖の湿気を含んだ風が、ほのかに花の甘い香りを運んで来る。
日差しが少しずつ強くなり、白い絨毯が眩しそうに光をあびていた。
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<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 10
- 2008/03/04(火) 16:56:37
<遥か時の流れ、一瞬を生きる生命としてここに> 10
リゲルとはじめて、セントラル・シティへ行った短い旅行は、とても楽しいものとなった。
困惑した思いが交錯しているリゲルと他のプロジェクトメンバー、貿易外交メンバーと共にシティへ着いた。
物資は検査も済み納入がおわったが、
「せっかくいらしたのだからお時間の許す限り、ゆっくり見学して行って下さい」
と言いながら、シティ総合案内の女性は、驚いた表情でリゲルを見あげた。
シティでは、この銀河の多くの星から、優秀な人たちが来て働いている。
外見も内面もいろいろなタイプがいるので、驚くことが少ないはずの彼女も、
さすがにリゲルの大きさには、ビックリしているようだった。
彼らは体が巨人であるだけでなく、パワーもたぶんこの銀河で右に出るものはいない。
その巨人達の中でリゲルは、更に大きいのだから思わず目を見張ってしまったのだ。
「今日は残念ながら、シティの責任者ボスが不在ですので、皆さんにはご挨拶
できません事をお許しください」
彼は私のことをプロジェクト立ち上げの一人として、少しばかり知っているので、
かえって留守で結構。新規メンバーの一人として、滞在時間内限定で少しばかり
コントロールさせてもらった。
メインコンピューターは、完璧なセキュリティーシステムと言う事になっている。
それを簡単に変更できるのでは大問題になるが、そのうちここのものに手を
入れさせてもらう時も来よう。
私の<総合的に”みる・かんじる”能力>は、宇宙に存在する事象に対してある
程度まで影響する事ができる。
その中の一部の情報が、メインコンピューターに我が星の住人の特徴として、
登録されている。
目立つ我々を率いて、メイン・コントロールルーム。メディカルセンター。
教育システム管理ルーム。プレイゾーン。コンピューター・コンタクトブース。
居住区etcへ案内してくれた。
リゲルが変化を見せたのは、メディカルセンターでの事だった。
少し前まで硬く閉ざされていたリゲルのパワーが、ジワジワとそれも優しくまわり
に流れ出して、生命を優しく包み込んで、癒して行く。
他のメンバーはメディカルセンターがそういう環境なのだろうと感じているようだ。
私には患者の痛みや苦しさが感じるので無視できない。
早く退院できるように彼らの免疫力・回復力に力をかすと共に、心の不安を取リ
のぞいた。
アレルギー体質の為、かぎられた治療しか出来なく、痛みを感じている子供の部屋
にも立ち寄らせてもらい、小さな彼女の痛みを取った。
これで回復力も増すだろう。気持ちよさそうに寝ていた。
リゲルの瞳の色が、僅かにだが変化している。私が何をしているか少し解るように
していたのだが、自然な事と受け止めたようだ。
『良かったですね』と嬉しそうにしている、リゲルは人一倍優しい性格のようだ。宇宙の計らいに深く感動を覚える。
『内緒だ。秘密の一つだよ』と、伝えると、リゲルはニヤッと笑った。
教育システムはスペシャリストを目指す、ここで教育に携わるのもいいものだ。
宇宙に浮ぶ総合教育の場であり、もちろん居住区からすべてそろっていて、多くの
星の優秀な人々が、ここに来て学んでいた。
セントラル・シティは、仕事の分野別にどこへでも要請があれば区画ごと移動ができるようになっている。
戻ってきたときは、全教育システムの区画ごとシティの一部として連結されている。
教育システム自体が、星へ講演活動・研究調査活動を行う為に移動する事もある。
特にメディカルセンターの移動区画は、星の大きな地殻変動や、疫病対策、戦争
(知的生命の歴史が若い星に多い)他、緊急出動でどこへでも行く。
プレイゾーンの入口にある巨大スクリ−ンで一通り説明を見てから、案内の女性が、
「さぁ!皆さんご自由に好きな場所を選んで短時間ですが、楽しんでください。できれば子供達とも遊んであげて下さい」と言う。
リゲルは、キッズゾーンを選んでいた。
「リゲル、君は、子供がすきなのかい?」
「子供と遊ぶのが一番です。はははっ!」と、目を輝かせていた。
中は、子供達の楽しそうな声に溢れていた。入口を入ってすぐに巨人のリゲルは、
あまりに目立つので周りに子供達が集まってきていた。
「わぁー!でっか〜い!!」
「馬鹿でかいな〜」
「バカは、よけいだ!」とその子の頬を軽くつまんだ。「痛てっ!」
「何が痛いもんか、はははっ!」
「声もでかいや〜!ハハハ〜」
「どうする?」と私が聞くと、
「じゃあ、スポーツパークへ行こう!」と周りの子供達に言っている。
「お兄ちゃん遊んでくれるの?」
「おう!めちゃくちゃ遊ぶぞー、覚悟しろ〜!」
その後は、ここのルールを子供に教わってやり始めたが、そのうちに何でもありでやる。
「お兄ちゃん、違反だぁ!レッドカード!」
「レッドカードかぁ〜!よし。皆ボールもって並べ。ゴールキーパーやりたい
奴いるか?」
「え〜〜っ!やだ〜」
「よし、俺がやる!皆でいっせいに攻撃をするのだ!いいかぁ〜誰か1個でも
ゴール決められたら、他の遊びも付き合うぞ!!」
「わぁ〜い!」
「ええ〜、じゃあ、野球がいい!」
「やっぱ、サッカー!」
「誰か入れるんだぞ。もっと面白い事で遊んでやるよ」
小さな子が多いので見当違いな所に行くボールをわざわざ追いかけて、他の子達の
ボールがいくつもゴールに入ってしまう。
「コラー!俺のゴールにボールを入れた奴は、くすぐりの刑だ」と皆を追い掛け
回している。
もちろんケガをしない程度に、彼らを保護しながら遊んでいた。
微重力の場を作って、子供達を捕まえては、空中に投げて、フワフワと落ちて来る
のを追いかけて、また投げる。ワイワイ、きゃーきゃー!と笑いながらの鬼ごっこだ。
「逃げろ〜!」「投げて―、投げて!」と言いながら、皆次々ボールをゴールに
入れている。
キッズ用のスポーツパークなので、そう広くないところに次々人数が増えて、
すごい事になっていた。
笑いすぎて「あっはっは〜!お腹痛いー!」泣き笑いしている子もいる。
幼児を連れて来たお父さんは子供を抱いたまま、投げられて大笑いしながら、親子
でフワフワ落ちてきている。
私は途中から見学に回って、眩しいばかりの子供達と彼のパワーを浴びて、とても
いい気分でいたが、次第にここの騒ぎを見て、他のプレイパークから、大人も子供も沢山集まってきていた。
「一緒に遊んで良いんだよ」と言うと入っていく子もいれば、はにかんで「見ていてもいいの?」と聞く子もいる。
そういう子供達は、私の所に来て見ていた。彼らは、それで十分楽しいのだ。
いつのまにかギャラリーの大人たちにまざって、プロジェクトメンバーまでここに来て、大いに笑っている。
「君達も入りなさい。おっきい人達と遊んだと、子供たちが喜ぶぞ」
「あ〜!おっきいお兄ちゃんの仲間がやってきたぞー、すっげー!」
「反撃だ!行くぞ」リゲルが仲間達に声をかけた。
「きゃー!」「逃げろ〜〜!」さらに大騒ぎだ。
彼の上司が私の横にやってきて、「入場制限で止められましたよ。私達の事を説明し、安全は保障すると言って入ることが出来ました。
きっと誰も、こんなリゲルを見たことはないですよ。教育センターでは、いつも冷静で、決して積極的な方では、なかったのですから」
と興奮気味に、嬉しそうに話した。
この調子では、子供達がくたびれ果てて帰ると言い出すまで、プレイゾーンから出られないだろう。
リゲルの瞳は、さっきとはまた微妙に違う光で輝いていて、そのパワーもメディカルセンターとは違うものが周りにこぼれている。
たまらなく生命がいとしくなるような、嬉しさ優しさが混じったような不思議な。
これは、、、、、。「くくくっ」
私にとっても他のメンバーにとっても、セントラル・シティは大変魅力的な所であった。
リゲルと言う生命体が、私自身のこれからの生活に影響があることを予感した
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